11月19日(火) 2:00
作業療法士、理学療法士、言語聴覚士は同じ給与条件で募集されることもあり、収入に大きな差はないと考えられるでしょう。事実、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」においても、「視能訓練士」とともにひとくくりに扱われています。
ただし、「理学療法士と作業療法士は月24万円~、言語聴覚士は月25万円~」など、給与に差を設けている医療機関もあります。まずは志望先のホームページを確認するとよいでしょう。
なお、「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、勤め先の従業員が10名以上である「理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士」の平均月収は30万900円、平均年間賞与は71万4400円です。「平均月収×12ヶ月+平均年間賞与」を推定平均年収とすると、432万5200円になります。
給与の差が小さいとすれば、仕事内容や自身の適性などを重視して進路を選ぶ人もいるでしょう。ここからは、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の仕事や、求められるスキルなどについて解説します。
作業療法士は、身体や精神に障がいがある人の心身機能の回復と、日常生活・社会生活への復帰をサポートする職業です。具体的には、関節障がい、アルコール依存症、脳性まひ、認知症などの患者が対象となります。
作業療法士の仕事は、カルテや患者との面談などを通じ、患者の現状を把握することから始まります。その後、身体能力や認知能力などについて観察や検査を行い、訓練プログラムを作成する流れです。病院に勤務する場合は、医師や看護師、理学療法士などとチームを組むこともあります。
また、家事や遊び、スポーツなどの身近な動作を取り入れたリハビリを指導する点も特徴です。
求められるスキルには、日常の動作をリハビリに結びつける応用力や、自立を促す支援制度への知識などが挙げられます。
理学療法士は、身体障がいの回復や維持、向上をサポートする職業です。事故や老化による障がい、脳性まひなどを抱えた患者に対応するほか、予防やスポーツ分野などの仕事も増えています。心身の自立を助ける作業療法士に対し、理学療法士は身体の改善に重きを置いているといえるでしょう。
作業療法士はおもに患者へのヒアリングを通じてプログラムを組みますが、理学療法士は、医師から提案された理学療法に基づいてプランを立てることが一般的です。提案された理学療法を点検したのち、患者の身体を検査し、具体的なプログラムを作成します。
リハビリは運動療法が中心であり、時には患者を介助する必要もあるため、体力や繊細な神経が必要です。また、電気刺激やマッサージ、温熱などの「物理療法」のスキルを求められる場合もあります。
話すこと、聞くこと、食べることに関する訓練や指導を行う職業が、言語聴覚士です。患者の症状には、失語症、聴覚障がい、言葉の発達の遅れ、嚥下障がいなどがあります。
言語聴覚士は、医師らの指示のもと、患者が抱える問題の本質などを明らかにし、症状の程度に応じたリハビリプログラムを作成、指導や援助にあたります。患者と接するにあたっては、知識や技術だけでなく、患者の感情をうまく引き出す力も必要です。
また、これらの治療は言語聴覚士だけで完結しません。医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、教師など、さまざまな職種との連携が求められます。
作業療法士、理学療法士、言語聴覚士に収入の差はほぼないと考えられます。そのため、進路を選ぶ際は、収入以外の要素で判断することになるかもしれません。それぞれが携わる患者の性質や、リハビリの内容、必要なスキルなどを比較し、検討するとよいでしょう。
政府統計の総合窓口(e-Stat) 厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
看護師と保育士の平均年収ってどれくらい?