11月18日(月) 13:50
『関西演劇祭2024』が11月16日、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA SSホールにて開幕、フェスティバル・ディレクターの板尾創路をはじめとする審査員らと参加劇団10団体の代表者が登壇した開会式のオフィシャルレポートが到着した。
『関西演劇祭』は、2019年に「“つながる”演劇祭」としてスタート。「参加するすべての人がさまざまな形でつながる演劇祭」をテーマに掲げ、「“つながる”演劇祭から“ひろがる”演劇祭へ」へと6年目を迎えるにあたり次のフェーズへと進んだ。これまで培ってきた演劇人たち、これから出会う参加者たちとの“つながり”を、“ひろげる”ことで劇団や俳優、若いクリエイターたちが夢に向かって進んでいける場を目指している。
参加するのは、多数のエントリーから選りすぐられた10劇団。「上演時間45分」かつ「オリジナルストーリー」の作品というルールのもとで競い、恒例となっている上演後のティーチインも行われる。
開幕式のMCを務めるのは、木尾モデル。まずは『関西演劇祭』を担う面々から、参加劇団へのメッセージが語られた。過去5回の演劇祭で計50劇団の作品を観てきた板尾は、「出し物がいろいろあって全部個性的だが、演劇祭が終わる時はひとつの塊になっている感覚がある」と語り、今年もこれまで同様に「自分たちの劇に集中していただくが、最後はギュッと固まってつながっていくので、それを楽しみに、自分たちのやりたいことを全力でがんばって」とエールを送った。
木尾モデル 板尾創路スペシャル・サポーターとして参加する野上祥子は、ミュージカル『テニスの王子様』やライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』など2.5次元ミュージカルを中心に多くの舞台をプロデュースするネルケプランニングの代表。「ここにいらっしゃるみなさんが、いろんなジャンルがあるなか演劇をチョイスしてくれたのが本当にうれしい。みなさんがいる限り、もっともっと演劇が盛り上がっていく」と喜び、「(演劇祭が終わった時は)草っ原で横たわって“なかなかやるな、お前”という感じになると思う。それが関西演劇祭の醍醐味。やる側も観る側もそれを体感・共有できたら」とコメントした。
野上祥子(ネルケプランニング代表取締役社長)第9回シアトル国際映画祭で『Red』が最優秀監督賞、『インペリアル大阪堂島出入橋』最優秀撮影賞など、合わせて4冠を受賞した映画監督の三島有紀子は、「音楽もダンスも文学も好きで、今年のパンフレットを見ると私の好きなものがたくさん出てくるんだろうなと思った。皆さんも一緒に楽しんでほしい」と期待をふくらませた。
三島有紀子(映画監督)連続テレビ小説『ひらり』『まんてん』『おひさま』など数多くの人気ドラマを演出し、今年2月には『お別れホスピタル』を手がけ話題を呼んだNHKエンタープライズドラマ部エグゼクティブディレクターの笠原友愛は、「テレビドラマは、ある程度リアリズムに縛られるので、舞台は空間や時間を飛び越えたりと自由なところがうらやましい。ドラマで作ることの多い45分という尺だが、それとは全く違う45分になるだろうと期待している。十分に持ち味を生かして、思い切りやってほしい」と激励した。
笠浦友愛(NHKエンタープライズドラマ部エグゼクティブディレクター)第1回から参加してきた脚本家・演出家の西田シャトナーは、10劇団の稽古やゲネプロなど下準備からすべてチェックしたとのこと。「それぞれの信念を感じる作品が揃っていた。僕や観客の皆さんが“自分と違う感性”を見た時、世界の広さを感じると思う。皆さんがそれぞれの世界を見せてくれることで、世界が広がっていく。今年は審査はしないので、客席でお客さんと一緒に楽しみながら観たい」と述べた。
西田シャトナー参加劇団は「暁月-AKATSUKI-」「EVKK/エレベーター企画」「エンニュイ」「劇団☆kocho」「劇団さいおうば」「The Stone Ageヘンドリックス」「teamキーチェーン」「つぼみ大革命」「fukui劇」「WAO!エンターテイメント」の10組で、それぞれ代表者が舞台に上がった。
「暁月-AKATSUKI-」は、「我々は殺陣と生演奏を中心に、普段はライブハウスで活動している。我々の殺陣と芝居、生演奏の熱量を、観て感じて楽しんでいただき、より広がっていければ」とアピール。「EVKK/エレベーター企画」は、「今回のお芝居は、全身で感じていただく劇となっている。感性おっぴろげてよろしくお願いします!」とシンプルかつ力強くコメントした。
「暁月-AKATSUKI-」 「EVKK/エレベーター企画」「僕は主宰、作・演出で出ないので、観て楽しもうかなと思っています」と飄々と語ったのは「エンニュイ」。「劇団☆kocho」は今年40周年を迎えたそうで、「歌もダンスも全部オリジナル。ハッピーで楽しいお芝居をお届けします。がんばるぞ!」と胸を張った。「劇団さいおうば」は、設立2年目でメンバーは20代中心の若い劇団。開会式後、トップバッターで公演を行うため、「ものすごく緊張していますが、がんばります」と気合を入れた。
「エンニュイ」 「劇団☆kocho」 「劇団さいおうば」「関西では今週末、来週末といろんなところでたくさんの公演があるが、関西の演劇を盛り上げていく、その渦がこの関西演劇祭であればうれしい。今日は関西小劇場の代表のつもりで来ています」という「The Stone Ageヘンドリックス」。「teamキーチェーン」は、「まだまだ無名の団体ですが、今回は関西演劇祭に見つかりに来ました。私たちの時間で皆さんを魅了してみせます」と自信をのぞかせた。
「The Stone Ageヘンドリックス」 「teamキーチェーン」「つぼみ大革命」を代表して挨拶したのは、ライブの脚本・演出を担当している3時のヒロイン・福田麻貴。「吉本興業のアイドルグループが何をするのか不思議だとは思うが、等身大の生き様を見せたい!」とコメント。「とにかく一丸となってがんばることを目標としている。がんばりだけでも認めてください」と前のめりで訴えた「fukui劇」。「WAO!エンターテイメント」は、「“つながる”から“ひろがる”のメッセージを背負って、45分を仲間と精一杯戦いたい」と意気込んだ。
「つぼみ大革命」 「fukui劇」 「WAO!エンターテイメント」昨年、MVOを受賞したPandAと観客賞に輝いたMousePiece-reeからは映像が到着。関西演劇祭の期間中に仲が深まり、合同で公演を行うことになったという2劇団は「初めはライバル心があったが、(舞台を)観るとだんだん話したくなって、仲良くなった」「緊張して、どんな大会になるかと思ったが、楽しい期間だった」「いろんな劇団を見る機会はなかなかないので、いろんな刺激を受けた。皆さんも今年、いろんなものを吸収して楽しんでください」とメッセージを送った。
「PandA」「MousePiece-ree」最後は『関西映画祭2024』アンバサダーを務める女優の伊原六花がVTRで出演。「暇があれば劇場に足を運んでいる」というほどの演劇ファンで、アンバサダー就任が決まった際は「なんて魅力的なお祭りなんだろうとすごくワクワクした」という。「今回、どんな劇団や作品に出会えるか楽しみ。ティーチインも初めてなので、すばらしかったと思うところを皆さんと共有できたら。全力を出して表現してください!」と続け、「関西演劇祭2024、スタートです!」と“お祭り”の幕開けを告げた。
伊原六花開会式を終えた板尾創路のインタビュー──開会式を終えて、今の心境はいかがですか?
雰囲気よかったですね。みんな緊張もしてるんでしょうけど、ワクワクしてる気持ちの方が勝ってる感じで、僕もすごく楽しみ。開会式の雰囲気は、毎年ちょっと違っていて、今年はあんまり堅苦しくなくて、なんかよかった。司会の木尾くんの感じがいい雰囲気にさせてくれたんやと思います。
──今年の10劇団に、板尾さんが期待することは?
賞もあるんですけど、やっぱりお祭りなんで、みんなで楽しんでやっていただきたい。10劇団でやり切って、みんなでひとつになって終わるっていう。ほんまにそれが一番です。
──フェスティバル・ディレクターとして、『関西演劇祭』の楽しみ方を教えてください。
予備知識がない劇団のお芝居ってなかなか観に行けないと思うんですが、『関西演劇祭』はこういうスタイルなので、空っぽな感じで観に来ていただければ。「名前が面白そうやな」「ビジュアルが面白そうな感じの劇団やな」「タイトルが面白そうやな」……それだけでもいいんです。急に誘われて準備もなく行った旅行がなんかおもしろかったとか、あるじゃないですか。「関西演劇祭」も“お祭り”なんで、ぶらっと縁日みたいな感じで観に来てください。1劇団45分、それがふたつセットになっていて、“お気軽”っていうとちょっと失礼なんですけど(笑)、肩肘張らずにフラットな状態で楽しめます。45分と45分の間にインターバルもあって集中力が続くし、観やすい環境が整ってるんですよね。そういう中で、何かいい出会いがあったりすると、「ああ、来てよかったな」って思えるはずです。
──ちなみに『関西演劇祭』では上演後のティーチインも名物になっていますが、演劇初心者でも発言していいんでしょうか。
もちろんです。「面白かったです」だけでもいいしね。板に立ってる人って、普段はそういうことがなかなか聞けないですから。自分たちのことを知らないのに観に来たお客さんが、「楽しかった」って言ってくれる──それだけでも「稽古大変やったけど、ここまでやってきてよかったな」って思えるんで。もちろん、気になることを質問すれば、それもまた持って帰ってもらえるし、双方のメリットがあるんです。
<公演情報>
『関西演劇祭2024』
参加劇団:暁月 -AKATSUKI-、EVKK/エレベーター企画、エンニュイ、劇団☆kocho、劇団さいおうば、The Stone Ageヘンドリックス、teamキーチェーン、つぼみ大革命、fukui劇、WAO!エンターテイメント
アンバサダー:伊原六花(女優)
フェスティバル・ディレクター:板尾創路(お笑いコンビ130R・俳優・映画監督)
スペシャルサポーター(審査員):野上祥子(ネルケプランニング代表取締役社長) / 三島有紀子(映画監督) / 笠浦友愛(NHKエンタープライズ ドラマ部エグゼクティブ・ディレクター)
スーパーバイザー:西田シャトナー(劇作家・演出家・折紙作家)
日程:2024年11月16日(土) ~24日(日)
※11月19日(火)・20日(水) は休演日
※11月24日(日) 表彰式のみ
場所:大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA SSホール