11月18日(月) 20:03
荒木飛羽&曽野舜太&藤本洸大共演による、好評だったドラマシリーズ『スメルズ ライク グリーン スピリット』を紹介しよう。原作は2011年から2012年まで「コミックBe」で連載された永井三郎による人気コミック。閉鎖的な田舎を舞台に、少年たちのひと夏を描いた青春ストーリーとなっている。
・ 7ORDER阿部顕嵐「10代の精神を忘れずに生きている僕ですが…」ドラマ『スメルズ ライク グリーン スピリット』で初の教師役に挑戦
“髪が長い”という理由で同級生からいじめられている三島フトシ(荒木)、彼のことをイジメているグループのリーダー・桐野マコト(曽野)、桐野と同じバスケ部員で何かと三島に絡む夢野太郎(藤本)らの成長が綴られる。
この作品が実写化されると聞いたときはいささか驚いた。10年以上前の作品であり、その時代を感じさせる内容だからだ。主人公の三島は「男のくせになよなよしやがって!」と言われ、気持ち悪いと言われて髪を切られるイジメに遭う。さらには同性愛者というだけで揶揄されてしまうが、今は世の中全体がそういったことはなくってきている。
でも、本当になくなったんだろうか。差別は良くない、差別をなくそうという風潮のために水面下に潜り込んで見えにくくなっただけかもしれない。自分の本当の気持ちを抑え込んで生きている子はまだまだたくさんいるんじゃないだろうか。なんだかそんなことさえ考えさせられるようなリアリティがこのドラマにはあった。
本作は単純なイジメの構図だけではなく、当初はいじめる側だった桐野の事情も明らかになっていく。そして、三島と密かに友情を育んでいき、そのようすはかわいらしくもあり切なくて感動的だ。夢野は夢野でどうして三島のことがそんなに気になり固執してしまうのか、夢野なりに考えてきちんと向き合って答えを出そうとする。三島も桐野も夢野も実は健気でいつのまにかハートを掴まれて彼らを応援したくなってくる。
そんな彼らが悩みながら、間違えながら、とんでもない目に遭いながら、過ごす夏の日々が乾いた笑いを交えながら展開されていく。テーマは決して軽いものではないが、重たい空気ばかりでなく、フッと息を抜きながら見守ることができる。
原作は10年以上前のもので、ドラマの舞台も平成ではあるが、古さを感じることはなく、悩める登場人物たちの思いが現実味をもって伝わってきた。いったい彼らに答えは出せるだろうか。彼らがどんな生きる道を選ぶのか、ぜひ見届けて欲しい。(文:牧島史佳/BLライター)
『スメルズ ライク グリーン スピリット』※放送は終了
≪配信≫
MBS放送後から「TVer」「MBS動画イズム」にて最新話無料配信
FODにて独占見放題配信
ドラマフィル『スメルズ ライク グリーン スピリット』Blu-ray&DVD BOX
2025年3月26日に発売決定
Blu-ray BOX:16,500円/DVD BOX:14,300円
発売・販売元:ポニーキャニオン
(C)「スメルズ ライク グリーン スピリット」製作委員会
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