来年50歳、退職してフリーの営業代行を始める予定です。国民年金のみになるので年金が減るのが心配…… 年金を増やすために、iDeCoと国民年金基金どちらが有利ですか?

来年50歳、退職してフリーの営業代行を始める予定です。国民年金のみになるので年金が減るのが心配…… 年金を増やすために、iDeCoと国民年金基金どちらが有利ですか?

11月18日(月) 9:20

平均寿命と健康寿命は、毎年延びています。定年がないといわれるフリーランスの方でも、自分が働けなくなる時期について考えることもあるでしょう。 自身の仕事を辞めた後は年金生活になるわけですが、公務員や会社員の場合は厚生年金がありますが、自営業やフリーランスの方は国民年金が主な年金収入となります。国民年金に加えてiDeCoがありますが、国民年金加入者には国民年金基金という選択肢もあります。 今回は国民年金基金について、iDeCo等との兼ね合いについて説明します。

国民年金基金とは?

国民年金基金とは、国民年金法の規定に基づく公的な年金です。老齢基礎年金とセットで、自営業者等の国民年金第1号被保険者に対し老後の所得保障をすることで、会社員等との年金額の差を解消するために創設された公的な年金制度であり、平成3年5月に創設されました。
 
これにより、自営業等の公的な年金も「2階建て」になりました。会社員等との違いは図表1のイメージのとおりです。
 
図表1

図表1

 

加入条件や加入資格は?

加入条件や資格について、確認しましょう。
 
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、自由業、学生等国民年金の第1号被保険者および60歳以上65歳未満の方、海外に居住されている方で国民年金の任意加入されている方が加入対象者です。
 
よって、厚生年金保険に加入している国民年金の第2号被保険者(会社員や公務員等)や、国民年金の第3号被保険者(第2号保険者の配偶者)は加入できません。また国民年金の第1号被保険者であっても、農業者年金の被保険者や、国民年金の保険料を免除・納付猶予されている場合も加入できません。
 

加入のメリットは?

加入のメリットは以下の5つです。
 

1. 基本終身年金

国民年金基金は65歳から生涯受け取れる「終身年金」が基本となっていますので、長い老後にも備えることができます。
 

2. 税制上の優遇

まず、掛金は全額社会保険料控除となり、確定申告で所得税と住民税が軽減されます。また、その際に同一生計の配偶者や親族の掛金を負担した場合もその掛金は全額所得控除の対象です。受給時には公的年金等控除の対象となり、遺族一時金は全額非課税となります。
 

3. 年金額が確定していて掛金額も一定

国民年金基金は、途中で口数を変更しないかぎり、加入時の掛金が払込期間終了まで変わりません。そして同じく、口数を変更しないかぎり将来受け取れる年金額は加入時に確定します。
 

4. プラン設計が自由

上記の3に記載のとおり、途中で口数が変更できます。例えば、余裕がある月に1ヶ月だけ掛金を増やすといったことも可能ですし、支払いが厳しい場合は中断することもできます。その場合は未納期間に応じて年金は減額されますが、2年以内であれば追納できます。
 
ただし、基本の1口目は減口できず、確定年金の年金額が終身年金の年金額を超えて加入できません。
 

5. 万が一のときは、一時金

年金受給後保証期間中に亡くなった場合には残り期間、年金受給前に亡くなった場合には加入時年齢・死亡時年齢および死亡時までの掛金支払期間に応じて、遺族一時金が支給されます。
 

加入時の注意点は?

注意点は以下の2点です。
 

1. 任意で脱退できない

国民年金基金は、一度加入すると途中で任意で脱退できません。よって、解約返戻金のように途中でお金が戻ってくることはありません。
 

2. インフレに対応できない

上記の「加入のメリット3」にも記載のとおり、加入時に年金額は確定していますので、国民年金のようにインフレによって年金額が増えるといったことはありません。
 

iDeCoと国民年金基金、どっちがいいの?

最大の違いは、確定給付年金と確定拠出年金です。つまり、国民年金基金は支給額が確定していますが、iDeCoは運用成績しだいで給付額が決まりますので、どちらがいいかは加入時点では分かりません。
 
ただし、この2つは併用できますので、両方に加入するのもリスクヘッジになるのではないでしょうか。併用する場合は、掛金の合計が6万8000円までです。
 

質問者のケースではどうなる?

冒頭の質問者のケースで考えてみましょう。
 
国民年金基金は60歳になると加入資格を喪失しますが、国民年金に任意加入していれば国民年金基金にも加入できます。まだ、年齢的にも働くことができそうな年齢ですし、ファイナンスの問題がないようであれば、両方に加入することも考えてはいかがでしょうか。
 

出典

国民年金基金連合会 国民年金基金
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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