ミヒャエル・ハネケに師事した気鋭監督ジェシカ・ハウスナー(「リトル・ジョー」)が、ミア・ワシコウスカ(「アリス・イン・ワンダーランド」)を主演に迎えたスリラー「クラブゼロ」。教師の「少食は健康的」という教えを信じ、断食する生徒たちがやせ細っていく変化を、黒澤明監督作「どですかでん」(1970)に影響を受け、衣装やメイクで表現したことがわかった。
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【フォトギャラリー】「クラブゼロ」断食し、やせ細っていく生徒たち
物語の中心となるのは、名門校に赴任してきた栄養学の教師ノヴァク(ワシコウスカ)。彼女は「意識的な食事(conscious eating)」という、「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放することができる」という食事法を、生徒たちに教える。無垢な生徒たちは彼女の教えにのめり込んでいき、事態は次第にエスカレート。親たちが異変に気付き始めた頃には時すでに遅く、生徒たちはノヴァクとともに「クラブゼロ」と呼ばれる謎のクラブに参加することになる。生徒たちが最後に選択する究極の健康法とは?そしてノヴァクの目的とは――?
ノヴァクが説く「意識的な食事」は、「『食べないこと』こそがヘルシーで幸福度がアップする」というもの。彼女の教えを忠実に実践する生徒たちは、次第に痩せ、顔色も悪くなっているように見える。しかし実際には、生徒役を演じるキャストの体型は変わっていない。
ハウスナー監督は、脚本を執筆中の段階から、「出演者は撮影のために痩せるべきではないと思っていました」と明かす。さらに、「生徒たちの体重が減少していることを表現するために、衣装やメイクで工夫することにしました。例えば服が大きくなっていけば、着ている人が痩せて見える」と、視覚的なトリックを使ったと語る。ワシコウスカも、ハウスナー監督の痩せていく生徒たちの描き方に賛同し、「若い俳優に減量を求める作品だったら、出演していなかったかも」と振り返っている。
どんどん顔色が悪くなっていく生徒たちのルックスと、「意識的な食事」の効果を感じ、満たされていく表情のギャップが、物語に不穏なムードと緊迫感を与えている。顔色を悪く見せるメイクについて、ハウスナー監督は「メイクをグレー系にすることでげっそりして見え、本作の人工的なスタイルにも合う」といい、「どですかでん」から着想を得たことを明かす。
ハウスナー監督「『どですかでん』での、魚にあたって死にそうな人の顔が緑色だったりグレーや黒になるという、誇張した表現など、大胆で表現豊かな映像を好む黒澤監督の人工的なスタイルが好きなんです。自然にこだわるよりも、より普遍的な可能性があると思います」
「クラブゼロ」は、12月6日から東京・新宿武蔵野館ほか全国公開。
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クラブゼロ
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