11月18日(月) 10:20
法定速度とは、道路交通法施行令で決められた速度制限を指しますが、軽車両(自転車)に関しては速度制限について書かれていません。
道路交通法施行令では、自動車は時速60キロメートル、原動機付自転車(以下原付)は時速30キロメートルと速度が定められています。しかし、自転車に関する記述はなく、法定速度が決められていない状態です。
道路標識などで速度指定がある道路では、指定されている速度が上限となります。例えば、指定速度が時速40キロメートルの場合、自動車・原付・自転車の制限速度は以下の通りです。
・自動車:時速40キロメートル
・原付:時速30キロメートル
・自転車:時速40キロメートル
速度指定がある場合はその速度に従う必要がありますが、法定速度の方が遅い場合は法定速度が優先されます。そのため、原付は速度30キロメートルに制限されてしまうでしょう。その結果、原付より自転車の方が速度を出せるようになってしまいます。
そのため、指定速度が時速40キロメートルの道路では、原付と自転車が時速40キロメートルで並走している場合、原付は違反となりますが自転車は違反とならない事態が起きると考えられます。
速度指定がない道路では法定速度が上限速度となりますが、軽車両(自転車)には法定速度がないため、法的な規制がかからない状態となるでしょう。
したがって、自転車はスピードを出し放題となるように思えますが、道路交通法で安全運転の義務が定められており、他人に危害を及ぼすような速度による走行は禁じられています。
そのため速度指定のない道路で自転車が暴走している場合は、安全運転義務違反となる可能性があるでしょう。
自転車が道路交通法違反となった場合、自動車や原付と比べると特殊性があります。どのような影響があるのか確認しましょう。
自動車や原付が道路交通法違反を犯した場合、反則金制度による違反点数の減点と反則金の支払いが科される可能性があります。反則金を支払うことで行政刑罰として処理されているようです。
自転車(軽車両)が道路交通法違反を犯した場合は、反則金制度を受けられません。そのため、不起訴にならない場合は刑事裁判を受けることになるでしょう。
違反点数の減点や反則金の支払いだけでは済まされず、罰金や懲役刑が求められる可能性があります。しかし、速度制限のない道路の場合は自転車の最高速度はないため、法的な速度超過はありません。
制限速度が時速40キロメートルの道路で、それ以上のスピードで走行する場合は違反となり、6ヶ月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金となる可能性があります。また、無茶な運転をして安全運転義務違反となった場合は、5年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されるといわれています。
自転車は反則金制度を受けられず、交通違反をした場合は刑事罰を受ける可能性があるでしょう。自転車のよくある交通違反の罰則は、表1の通りです。
表1
信号無視 | 3ヶ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金 |
無灯火運転 | 5万円以下の罰金 |
酒酔い運転 | 5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 |
2人乗り | 5万円以下の罰金 |
制動装置不適合(ブレーキの故障) | 5万円以下の罰金 |
※筆者作成
例えば、無灯火運転や2人乗り・ブレーキの故障などは5万円以下の罰金、信号無視は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。警視庁によると、信号無視に関しては反則金制度を受けられる場合は普通車で9000円となるため、自転車による違反の方が罰金の金額が大きくなります。
また、酒酔い運転は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となり、重い懲罰となるため注意が必要です。
自転車は法定速度が定められておらず、速度指定のない道路では法的な規制がありません。速度指定のある道路では指定された速度が上限となるため、その速度を超えた場合は交通違反となるでしょう。
また、速度に関係なく他人にけがをさせる危険な運転をした場合は、安全運転義務違反となるようです。自転車は反則金制度の想定外となっているようで、違反をすると自動車や原付よりも重い懲罰を受ける可能性があるため注意が必要です。
e-Stat 法令検索道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)
警視庁反則行為の種別及び反則金一覧表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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