11月18日(月) 8:30
話題となったネトフリドラマ「地面師たち」は、不動産詐欺に特化した詐欺師グループ通称「地面師」が大手デベロッパー(不動産開発業者)に対して、約100億円相当の土地を利用して大規模な詐欺を仕掛ける物語です。
このドラマは、2017年に実際に発生した積水ハウス事件をモデルにしています。当時、積水ハウス(大阪市)は都内の旅館跡地に目を付けた地面師グループによって、約55億円もの代金を騙し取られました。
事件の計画は、品川区の旅館跡地を所有する女性の情報をもとに行われ、詐欺グループは複数人で犯行を企てました。グループの一員である偽の所有者役の女性を使い、2017年3月から6月にかけて積水ハウス側と交渉を進め、不正に土地の売却代金を得たのです。
地面師の活動は長い歴史を持ち、日本では特に昭和から平成初期のバブル経済期に多くの被害が報告されています。この時代は不動産価格の高騰に伴い、土地の売買が活発化したことから、詐欺グループの暗躍が目立ったようです。
地面師たちは、現在も手口を巧妙化させて活動を続けている可能性があるため、依然として注意は必要です。
地面師に一度騙し取られたお金は、取り戻すのが非常に難しいといわざるを得ないでしょう。例え犯人が逮捕されて刑罰を受けたとしても、警察が直接お金を回収して返してくれるわけではありません。
被害者は「不当利得返還請求」などの民事裁判を通じて返還を求める必要がありますが、裁判で勝訴しても、犯人が既にお金を使い果たしていれば取り戻せないことが多いようです。
こうした背景から、詐欺被害に遭った場合には「一度払ったお金は戻ってこない」という覚悟をしておく必要があります。警察が事件として扱ったとしても、返金が保証されるわけではなく、泣き寝入りすることも少なくありません。そのため、詐欺に遭わないよう、事前の確認や慎重な行動が何より重要です。「騙された後に取り戻す」のではなく、「最初から被害を防ぐ」ことが大切というわけです。
ここからは、土地取引における詐欺を防ぐためのポイントを見ていきましょう。
詐欺のターゲットになりやすい土地は、「更地」「長く放置された家屋がある土地」「抵当権がない土地」です。更地や放置された土地は、所有者を特定しにくいため、詐欺グループにつけ込まれやすくなるといわれています。
また、抵当権がある土地は、抹消手続きで所有者が確認されることが多いため、詐欺の対象になりにくいようです。
詐欺では、契約から決済までを急いで進めることがよくあるとされています。犯人は「すぐにお金が必要」などと言って急かし、他社の競争相手がいることを匂わせて焦らせることが多いようです。
通常の不動産取引では、契約時に手付金を支払い、数ヶ月後に残りの金額を支払います。契約と決済を同時に行う場合は詐欺のリスクが高いため、慎重に対応することが大切です。
一般的な土地取引では、売主と仲介業者がいれば十分なことが多いですが、取引の中心に代理人が立つケースや、親族や友人、第三者の会社が関わるような取引は、所有者になりすますためのカモフラージュである可能性もあるようです。
不動産取引では、早い段階で司法書士や弁護士といった専門家に相談することが重要です。
専門家の関与によって詐欺のリスクを抑えることで、安心して取引を進められると考えられます。
ネトフリドラマ「地面師たち」は、実際に起きた不動産詐欺事件をモデルにした作品で、巧妙な手口で人々を騙す地面師の実態を浮き彫りにしました。地面師は、古くから存在する詐欺グループで、特にバブル経済期には多くの被害を出したといわれています。
彼らは、現在も手口を巧みに変えながら活動している可能性があり、今後も注意が必要です。不動産取引の際は、十分な情報収集と専門家への相談を怠らず、慎重に行動しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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