昨年の「オオカミの家」の大ヒットで話題を集めた、チリの鬼才アーティスト・デュオ、クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャの長編第2作「ハイパーボリア人」の公開日が2025年2月8日に決定。短編「名前のノート」が同時上映される。このほど、ポスタービジュアルが披露された。
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本作は今年5月に開催された第77回カンヌ国際映画祭の監督週間でワールドプレミアされ、その後、世界の映画祭でも上映。批評家たちからは「没入体験型の野心的で実験的なサイコドラマ」(screendaily)、「政治的健忘症に警鐘を鳴らす痛烈な作品」(The Film Stage)、と熱量高く評されている。チリの女優で臨床心理学者であるアントーニア・ギーセンが主人公。自分の患者が悩まされている謎の幻聴を元に、レオン&コシーニャ監督と映画を撮ることに。だが、その幻聴は、実在したチリの文化人でありヒトラーの信奉者ミゲル・セラーノの言葉だった……という物語だ。
タイトルの「ハイパーボリア人」とはギリシア神話やH・P・ラブクラフトらの創作による「クトゥルフ神話」に登場する架空の民族だが、この映画では、太古の昔に宇宙からやってきて地球を支配していた半神の巨人たちと説明され、チリという国との驚くべき関係も明らかにされる。
実在した親ナチ文化人ミゲル・セラーノやチリの政治家ハイメ・グスマンを登場させ、チリの現代史やナチス・ドイツをモチーフにする一方、主演俳優のアントーニア・ギーセンや、監督のレオン&コシーニャが実名で登場することで、現実と虚構、過去と現在の境界を巧妙に見失わせる。また、20世紀初頭にトリック撮影を駆使した映像世界を生み出したフランスのジョルジュ・メリエスやスペインのセグンド・デ・チョーモンをリスペクトする二人だけあって、実写、影絵、アニメ、人形、16㎜フィルム、ビデオ、デジタル……と最初から最後まで何が飛び出すかわからない“闇鍋”映画を生み出した。
前作同様、美術館で来場者に制作プロセスを見せながら撮影するスタイルで、画面に登場する背景や人形は多くの若者たちとのワークショップで作られた。監督たちは「何かを決断する、ものを作り上げるといったことに関する困難にまつわる作品でもある」とも語っている。
このほど公開されたポスタービジュアルは、主演のアントーニア・ギーセンを中心に、劇中に登場するパペットの監督たちや親ナチ文化人、政治家、妖怪、UFOといったあらゆるモチーフを散りばめコラージュした日本オリジナルのもの。予測不可能な展開をする作品の空気感が伝わってくる。
同時上映される短編「名前のノート」は、ピノチェト軍事政権下で行方不明になった未成年者たちを追悼する重厚な「描き」アニメーション。本作も、映像、音響(合唱)ともに、こちらも若者たちとのワークショップによって誕生した。
25年2月8日から、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
【作品情報】
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ハイパーボリア人
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(C)Leon & Cociña Films, Globo Rojo Films