11月17日(日) 4:30
遺族基礎年金は国民年金に加入している人などが亡くなった場合に、亡くなった人に生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子」が受け取れる年金です。
遺族厚生年金とは、厚生年金保険に加入している人が亡くなった場合や障害厚生年金を受け取っている人などが亡くなった場合に受給対象者が受け取れる年金です。受給対象者は「子のある配偶者」「子」「子のない配偶者」「父母」「孫」「祖父母」となっています。
また、遺族厚生年金の支給期間は妻・夫の年齢によって異なります。
例えば、夫が亡くなったときに30歳未満で子のない妻は5年間のみの支給、30歳以上の妻は一生涯の支給となります。しかし、妻が亡くなった場合、子のない夫は55歳未満の場合は支給されず、55歳以上の場合にのみ60歳から受給できます。
このように妻と夫によって支給の期間が異なり、夫の場合は年齢によっても妻と比べて支給される場合が限定されているのが現状です。
前記のように、遺族厚生年金は「妻・夫の年齢」によって支給期間が異なるので、男女差があると問題視されています。そこで、遺族厚生年金の支給期間について見直し案が出ているのです。
見直し案の内容は「20代から50代の子のない配偶者は、夫もしくは妻が亡くなってから5年間の支給とする」といったものになっています。このように遺族厚生年金の支給期間を年齢・性別に関係なく5年間とすることで、男女差をなくす設計です。
仮に現在40歳の子どもがいない場合は、現行制度であれば遺族厚生年金を一生涯受け取れることになりますが、見直し案になると5年間の支給となってしまいます。年に40万円の遺族年金を受け取っている場合は5年間だと200万円の支給です。
現行制度では200万円以上受け取れる可能性が高いので、見直し案が実施されると受け取れる年金額は大きく減ってしまうことが予想されます。
もっとも、子のない夫については現行制度の場合は55歳未満だと支給されませんでしたが、20代から50代であっても支給されるようになります。
見直し案には遺族厚生年金の期間変更だけでなく、中高齢寡婦加算の段階的廃止といったものも盛り込まれています。中高齢寡婦加算は夫が亡くなった際の年齢が40歳から65歳未満までの子のない妻が、就労が困難になることを危惧して遺族厚生年金に加算されるものです。
しかし、こちらについても社会情勢が変化したため、段階的に廃止していくことが案として出ています。
見直し案は今後すぐに実施されるわけではなく、現状は現行制度のままで支給されます。しかし、見直し案は現在の社会情勢から考えると実施される可能性もあるので、今後の動向に注目しておきましょう。
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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