賞金シード喪失危機の47歳・近藤智弘の表情が清々しいワケ「“25位以内のもの”を来年使おうと」

近藤智弘はシード争いから解放され、気持ちも楽にプレーを続けている(撮影:米山聡明)

賞金シード喪失危機の47歳・近藤智弘の表情が清々しいワケ「“25位以内のもの”を来年使おうと」

11月17日(日) 10:30

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<ダンロップフェニックス3日目◇16日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>

今季の国内男子ツアーは今週含め残り3試合と、ラストスパートに突入。そのなか、賞金王争い、賞金ランキングによるシード争いも大詰めを迎えている。



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47歳で同82位の近藤智弘は、初日は48位だったが、2日目に「65」、3日目に5バーディ・2ボギーの「68」で回りトータル9アンダー・12位タイまで浮上してきた。

この日は朝から雨が降り続く、難コンディション。「(ホールの距離が)長いところがけっこう雨が強くて、(雨で飛ばないこともあり)厳しかったんですけど、なんとかしのげた。僕のいまの調子だったら、アンダーパーで回ることができていれば満足という感じです」と、納得のいくゴルフができている。

「いまの調子」というのは、昨年から抱えている腰痛のこと。「去年も4カ月ぐらい休んで、結局12試合しか出られなかった。上手くシードが獲れたのでよかったものの、今年もヘルニアが出たりヒジも痛くて、1カ月ぐらい休んでしまった。練習も全くできていない状況。出場資格もあるし、頑張ってやりたいけどなかなか思うようにいかないですね」と苦しいシーズンを振り返る。

今年はこれまで13試合に出場し、予選落ちが8回。最上位は「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」の5位タイだ。賞金シードは65位以内で、現在のランキングは圏外。しかし本人は「あまり気にしていない」と表情も清々しい。その理由は、「“25位以内のもの”を来年使おうと思っているよ」という言葉にある。

この“25位以内のもの”は、1973年のツアー制施行後の『生涯獲得賞金ランキング上位25位以内の者』に適用されるフル出場権のこと。本人が選択した1年間に使用できる。近藤は2000年にプロ転向し、これまでツアー通算6勝。生涯獲得賞金額は9億5728万5123円で17位にランクインしている。ケガが悪化しないように…と思いながらも「試合に出られるのがまずいいなと」戦い続けたい気持ちは大きい。これまで積み重ねた成果が、こういった苦しい状況で生かされている。

同制度は、次戦の「カシオワールドオープン」終了時点で、生涯獲得賞金ランク25位以内の選手が対象となる。17位であれば、現時点で圏外に落ちることはない。04年以前は上位25位以内にいる限り何度でも資格適用が可能だったが、翌05年からは原則、1度しか使用ができなくなった。ただ、『適用後に賞金ランキングによるシード権を獲得すれば同資格は再び適用可能になる』という“復活条件”もある。

近藤は18年、20-21年にも使用しているが、どちらも適用シーズンに賞金ランク入りを果たしているから。「年齢を重ねると、思うようにいかない部分はある。少しでも試合に出たいという思いで、応援してくれるファンの人もいるし、やっぱり一生懸命やりたいなと思っている」。自身が少しでもゴルフができる体調でいる限り、戦うことをやめない。そんな強い思いを持ちながら、近藤のゴルフ人生は続いていく。

しかし、こういったケースもある。昨年、07年に初めて獲得してから守り続けてきたシード権を喪失した46歳・小田孔明は、今シーズン、この生涯獲得賞金の資格で出場を続けてきた。だが、今年は賞金ランク95位(392万9703円)にいて、今週は予選落ち。残されたチャンスは次戦で、優勝、上位フィニッシュが必須となる。この場合、生涯獲得賞金の権利が“復活”していないため、前週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」の会場では来季に向けて「とりあえずQTを受ける」と表明していた。

若手が存在感を見せるなか、ベテラン勢もまだまだ上を目指して戦っている。出場権を得るための“選択肢”も、人それぞれだ。(文・高木彩音)


<ゴルフ情報ALBA Net>
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