東国原英夫氏、県知事時代に体験した“男性更年期障害”の過去。発汗、不眠、やる気の欠如…「たけし軍団時代は何を言っても許されたけれど」

元宮崎県知事の東国原英夫氏(写真/産経新聞社)

東国原英夫氏、県知事時代に体験した“男性更年期障害”の過去。発汗、不眠、やる気の欠如…「たけし軍団時代は何を言っても許されたけれど」

11月16日(土) 8:53

提供:
テストステロンの減少で中高年男性の6人に1人がなるといわれる男性更年期障害。以前、実際に医師から男性更年期障害と診断された人たちの事例を紹介した。

変調の理由について当人たちは、年齢のせい、疲れているだけという意識であったが、一様に医師から、男性ホルモン「テストステロン値」の低下を指摘されていた。

そもそもテストステロンとは何なのか。減少することで起こる心身の変化とその理由とは何か。いまいち認知されていないこの問題について、専門医とゲストに聞くトークイベント「2024年『国際男性デー』特別企画 ぼくたちはどう生きるか?―仕事と趣味と健康と、家庭と職場と人生に、役立つライフハックFES―」が11月10日に行われた。

県知事就任後に感じた“体の変調”

登壇する医師は、男性更年期障害の国の実態調査を主導している順天堂大学の堀江重郎教授。ゲストは元宮崎県知事の東国原英夫氏。2007年から11年まで、宮崎県知事を務めた東国原氏は、知事に就任した50歳の当時、発汗、不眠、イライラ、集中力の欠如、倦怠感など、今にして思えば、男性更年期障害と思える不調を感じたという。

「実際に診断されたわけではありませんが、明確におかしかったです。エネルギーみたいなものが感じられないというか。それでも、年のせいで疲れやすいだけかなと思ってました。また、お笑いタレントから行政職へ、そして東京から宮崎へと職場環境が180度変わったせいもあり、体が慣れていないだけかもと自分に言い聞かせていました」(東国原氏)

医師の堀江氏によれば、これら東国原氏に起きた変化は「教科書的な男性更年期障害の特徴」という。

「男性更年期障害とは、男性ホルモン・テストステロンの減少による諸症状を指します。テストステロンは、認知機能や丈夫な骨、筋肉、すべすべな肌など健康な状態を保持したり、チャレンジ精神や競争心を高めてくれます。が、これが下がることにより、意欲・集中力が衰えたり、チャレンジできない、人間関係がおっくうになるといった弊害が出てきます。身体的な特徴としては、頻尿になる、眠りが浅いというのも特徴です。いわゆる女性更年期は閉経から始まるもので全員が経験しますが、男性更年期は症状の有無、重さで個人差がありますが、東国原さんがそうだったように、仕事や住環境、立場など、社会的変化で生じることが多いです」(堀江氏)

褒められることが“薬”ではあるが…

まさに、たけし軍団から宮崎県知事へ変わった東国原氏の当時の状況は、男性更年期障害を生じる要因として、そっくりそのまま当てはまる。また、堀江氏は「よく眠ることや適度な運動、そして褒められることで改善に向かう」とも解説するが、知事に就いたばかりの東国原氏にとっては難しかったという。

「そもそもマラソンが趣味でしたが、県知事という自分の立場は警護対象になるので走ることは控えてました。また、仕事柄、褒められるというよりもお叱りを受けることが当たり前です。例えば、マンゴーやチキン南蛮、肉巻きおにぎりなど、特産品の魅力を伝えることで生産量をあげたとアピールしても『あなたがPRしすぎて、去年まで買えたマンゴーが高くて買えない。マンゴーみたいな顔して!』と地元の方から怒られることもありました。一言一句に責任が出ますし、それがストレスだったかもしれません。たけし軍団時代は何を言っても平気でしたから(笑)。」(東国原氏)

一挙手一投足が耳目を集め、ニュースになる知事職にあって、健康不安を感じさせぬよう、不調を感じていても易々と病院にかかることはなかったという東国原氏。知事退任後に訪れたメンタルクリニックで男性更年期かもと診断され、泌尿器科の受診を勧められたのは、心身の不調を感じてから実に7年後のことだった。

「そもそも当時は男性更年期障害というものを認識してなかったのも医療機関の受診が遅れた一因だったかもしれません。あの頃、男性更年期障害を知っていれば、もっと救われたのにと、今になれば思います。ほどよく体を動かしてください、という医師の勧めでジョギングも復活し、少しずつ改善していきました」(前同)

男性更年期障害とうつ病、どう違う?

男性更年期障害は不眠、倦怠感などのうつ症状も伴うが、“うつ病とイコール”というわけではない。堀江氏によると、「男性更年期障害がうつ病と明確に違うのは、うつ病は体重が減りがちだけど、男性更年期障害はそうではない」という点だとか。

「更年期症状を自覚しているなかで、実際に受診する男性は2割程度です。自分でも認めがらないし、人にも言わない。ただ、テストステロンが低いままだと、高血圧、糖尿病、がん、心血管疾患、うつ病、サルコペニア(筋肉が減る病気)等の罹患率、死亡率が高くなります。不調を感じたら医療機関への早めの受診をおすすめしますし、夜トイレに起きる、笑顔が減るなどの変化もあるので、ご家族や知人など周囲の人も気づいたら声をかけてほしいです」(堀江氏)

テストステロンが持つプラス作用

長い間、男性中心の社会で経済発展してきた日本。「弱音を吐かない強い男性像」を目の当たりにしてきた中高年世代にとって、病気を自認したり、周囲に明かすことには抵抗があるのかもしれない。

しかし職場環境が変わり、男性の多様な生き方も認められている昨今において、男性ホルモン「テストステロン」を知ることで「個人の人生設計をするうえで有利に働く」と、堀江氏は続ける。

「テストステロンには意欲やチャレンジ精神、他者に貢献したい気持ち、公正を求められる正義感など、社会生活を送るうえで必要な力と関係があると言われています。男性が獲物を捕りに出かけた狩猟採集時代から培われているホルモンで、イギリスケンブリッジ大学によれば、テストステロンの値が高いグループは、投資の利益が高かったという研究結果が出ているなど、ビジネスの現場でも有利に働く可能性があります」

公私にわたって自分らしく力を発揮できるテストステロン。堀江氏によれば、牡蠣、豚レバーなどに含まれる亜鉛、そしてキノコ類や鮭に含まれるビタミンDの摂取が効果的だという。テストステロンを味方につけて、豊かな人生につなげたいものだ。

<取材・文/日刊SPA!取材班>



【関連記事】
「収録中に動悸がし始めて…」男性更年期と診断されたヒロミ、治療を経験して気づいたこと
「イライラや落ち込みが激しくなった」54歳男性が診断された“うつ病ではない”病気の正体
「イライラが抑えられず家族にあたってしまう」51歳男性が、医師に告げられた“意外な病気”
中高年男性に増える「男性更年期障害」のリアル。理由もわからず苦しむ当事者たちの思い
「座っているだけで動悸がして汗が止まらない…」男性更年期障害と診断された52歳。訪れるのは女性だけではない
日刊SPA!

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ