11月16日(土) 7:00
贈与税とは、個人がほかの個人に財産を譲り渡した際にかかる税金のことです。贈与税は、贈与を受けた側が支払う義務を負い、年間110万円を超える財産を贈与された場合に課税されます。
この110万円は「基礎控除」と呼ばれるもので、それを超えた分に対して税率が適用されます。家族間での財産のやり取りであっても、このルールは適用されるため、親子間での贈与にも注意が必要です。
贈与税の制度は、資産の不平等な移転を防ぐために設けられています。例えば、親が子どもに多額の財産を無税で渡すことができてしまうと、資産の格差が拡大する恐れがあるでしょう。
しかし、全ての贈与が課税対象となるわけではなく、生活費や教育費として合理的な範囲で使われるお金は非課税となる場合があります。
毎月10万円の仕送りを行う場合、年間では非課税枠の110万円を超える120万円となりますが、贈与税はかかるのでしょうか?
「毎月10万円の仕送り」についてですが、親が子どもに仕送りするお金は、一般的に「生活費」や「教育費」として扱われます。
税法上、生活費や教育費は必要な範囲内であれば贈与税の課税対象外です。つまり、大学生が一人暮らしをするための家賃や食費、授業料などの支払いは、贈与ではなく必要な支援と見なされるため、贈与税がかかる可能性は低いといえます。
ただし、仕送りが生活費や教育費の範囲を超え、ぜいたく品の購入や投資に回されるような場合、その一部が贈与として扱われることがあります。そのため、仕送りが合理的な範囲内で行われ、生活や学業のために使われているかどうかが重要です。
一人暮らしの大学生の生活費といっても、居住している地域や人によって異なりますが、一般的にどれくらいなのでしょうか?
日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査結果」によると、一人暮らしの大学生が支出している生活費の平均は年間で107万1800円ですので、月額にすると約9万円です。
この調査は、全国の国公立および私立大学の学部および大学院生が対象ですので、都心に近い場合はもっとかかる場合も少なくないでしょう。
仕送りに関して注意すべき点は、あくまで「生活費や教育費の範囲内であること」です。生活費や教育費は、親が子どもに対して必要な支援をするものとして非課税ですが、その範囲を超えると贈与税が課されるリスクがあります。
例えば、子どもが仕送りを貯金や投資に回したり、なくても困らない車を買ってあげたりすると、生活費や教育費の範囲を超え、贈与とみなされる可能性があります。
親としても子どもの生活費がどれくらいか把握し、生活費の範囲を大きく超えた金額を支援しないように注意しましょう。
親が大学生の子どもに対して行う仕送りは、生活費や教育費として合理的な範囲であれば、贈与税がかかることはありません。
毎月10万円の仕送りは、関東で一人暮らしをする大学生の生活費を考慮すると、一般的には必要な範囲に収まるため、贈与税の対象になる可能性は低いといえます。
ただし、仕送りが貯金やぜいたく品に使われると贈与税がかかるリスクがあるため、用途をしっかり把握し、支出の記録を残しておくことが重要です。
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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