11月16日(土) 5:30
金投資とは、現物の金や金に関連する金融商品を購入することで、資産を運用する投資方法です。歴史的に見て、金は価値が大きく下がることが少なく、外国為替や株式と異なり、経済危機やインフレ、有事に対して強い資産とされています。このため、長期的な資産保全の手段として利用されることが多いのが特徴です。
金価格は時折変動するものの、過去の推移を振り返ると、長期的には右肩上がりで上昇しています。例えば、2000年代初頭は1グラムあたり1000円台だった金価格が、2020年代には6000円と順調に値上がりしています。また、2024年10月には1万4000円を超えるなど、ここ数年でさらに高騰しています。
このように、金は「安全資産」として注目され続けているのです。
金投資とほかの投資方法、例えば株式や不動産投資と比較すると、いくつかの重要な違いがあります。株式投資は企業の業績や市場の動向に左右されやすく、配当金という収益が期待できる一方で、リスクも大きく、元本割れの可能性もあります。不動産投資は実物資産を保有できる魅力がありますが、初期費用が高額で、物件の管理や維持にコストがかかるという点がデメリットです。
これに対し、金投資は物理的な保管が必要な現物金以外にも、金投資信託などの金融商品を通じて手軽に投資できる手段があります。ただ、金は配当金や利息を生まないため、短期的な利益を狙うには不向きといえるでしょう。
また、元本割れの可能性も完全にゼロではありません。経済状況や国際情勢に影響を受けるため、価格が変動することがあります。購入時よりも金の価格が下がった場合、売却時に損失が生じることは十分に考えられます。
このため、金投資を行う際は、価格変動リスクをしっかり理解しておくことが重要です。
金投資の最大のメリットは、インフレに強い点です。経済のインフレが進行すると、紙幣の価値が下がる一方で、金の価値は大きく変動しないため、資産保全手段として優れています。また、株式や不動産のように市場や企業の業績に大きく左右されないため、経済的混乱時でも一定の安定感があります。
一方で、注意すべき点もいくつかあります。まず、現物の金を購入する場合、保管方法が問題になります。自宅での保管には盗難のリスクが伴いますし、金庫や専用の保管サービスを利用する場合、保管費用が発生します。さらに、金の取引には売買手数料がかかるため、これもコストとして考慮する必要があります。
また、金の売却時には所得税や消費税などの税金も発生するため、購入や売却のタイミングによっては税負担も考慮すべきポイントです。
金投資は、ほかの資産と比べて価格下落リスクが低いとされ、特に経済不安時には強みを発揮する投資方法です。しかし、価格変動や保管コスト、売買時の各種税金などのリスクも存在するため、十分な理解と計画が必要です。投資を始める前に、自身のリスク許容度をしっかりと見極めた上で、慎重に判断することをおすすめします。
田中貴金属工業株式会社 金価格推移
国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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