駅の天井からぶら下がっている看板を見て、こう思ったことはないだろうか。
「結局どっちなの!?」
矢印は書いてあるけれど、いまいちピンとこない......。そんな悩みを見事に解決したアイデアが、X上で注目を浴びた。
こちらは、神奈川県内の大学に通う学生・半球電鉄(@Hemisphere_ex)さんが2024年11月7日に投稿した画像だ。
どこかの駅のホームらしき場所。その天井付近に、電車ののりばへの道を示した黄色い案内図が設けられている。
これだけなら見慣れた光景だが......なんと、方角を示す黒い矢印だけ、看板から飛び出しているではないか!
よくある「飛び出しているように見える技術」ではなく、本当に飛び出している。一体なぜ......?
Jタウンネット記者は8日、まずは発見者の半球電鉄さんに話を聞いた。
簡易かつわかりやすい表現に感心
半球電鉄さんが「3D矢印」を見かけたのは7日の午後1時ごろ、広島電鉄広島駅でのことだ。
駅のサイン(案内看板)を見ることは、半球電鉄さんの趣味の1つ。自身の研究内容にも関連しているという。
そこで、現在リニューアル工事が進められている影響で、動線の変更などによる仮設看板が多く設置されている同駅のサインを見て回っていたところ、偶然この矢印を発見したそうだ。
「現場の判断で設置されたサインを趣味者の間では『野良サイン』といい、簡易な印刷によるものからテープで文字を構成したものまで様々なバリエーションがあるが、このような立体のものは初見。看板の設置角度を変更するよりも簡易かつわかりやすく、面白いアイデアだと思う」(半球電鉄さん)
それにしても、なぜこの部分だけ平面ではなく立体的な矢印になっているのだろうか。
記者は14日、広島電鉄(本社:広島県広島市)の社員にも話を聞いた。
「お客様の混乱を防ぐことができるよう」
取材に応じた広島電鉄の社員によると、注目を集めた「3D矢印」のある看板は、2024年の夏頃、広島駅南口にある路面電車5号線(広島駅―比治山下―広島港)のりばに2人の社員によって設置されていたもの。
当時、この案内板は路面電車の「のりば」を指すものであるにも関わらず、のりばの隣にある「おりば」を指していると捉える利用客が非常に多いことが課題だった。
業務中に利用客から「矢印の向きがのりばを指していない」と言われることもあったそうだ。
「このような声から、案内板そのものの向きを変更することも検討したがすぐには難しかったため、課題に早急に対応すべく、矢印を3Dにすることでお客様の混乱を防ぐことができるよう努めた」(同社員)
立体的な矢印が使われた看板はこれだけ。そこには「利用客がスムーズに構内を移動できるように」という思いが込められていた「3D矢印」には、X上で1万8000件以上のいいね(15日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「手作り感満載ですけど、分かりやすくて素晴らしいですね」
「Good Design賞あげるわ」
「ありがたい。平面だと『つまりどっちだ?』て考えることが多いので」
こうした反響に対し、同社員は
「素直に嬉しい。ネガティブなご意見をいただくことがあるかもと思っていたため、Xで多くの反響をいただいていることに驚いている」
とコメントした。
なお、現在は案内板の向きそのものが変更されたため、注目を集めた「3D矢印」はすでに取り除かれているとのこと
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