【マンガを読む】「悪の組織の子育て日記」を最初から読む
「赤ちゃんと初めて二人きりで過ごす夜が不安で仕方ない」
「おむつ交換やミルクのあげかた、やり方があってるか不安」
「全部ひとりでやるの?いつ寝ればいいの!?」
…そんな「あるある」な悩みを抱えているのは新生児の母親だけではありません。
世界征服を目論む、ある「悪の組織」の総帥もまた、小さな生き物を抱いて途方に暮れていました…。
イラストレーターのオオカミタホさんが描くファンタジー漫画、『悪の組織の子育て日記』は、新生児育児の経験者なら「あるある」「わかる!」と大笑いしながら共感してしまうこと間違いなしの、ユニークなギャグ漫画です。
この作品のあらすじと、著者のオオカミタホさんのコメントをご紹介しましょう。
■『悪の組織の子育て日記』あらすじ
舞台は悪のアジト。悪の総帥は科学者の松戸(マツド)に命じて、世界征服のための「最凶の人造人間(ホムンクルス)」を完成させました。しかし、悪事のために作ったホムンクルスは、なんと新生児の姿。「あっ新生児からやる感じ? えっこれで完成?」と悪の総帥は動揺を隠せません。
新生児と二人きりで部屋に取り残された総帥は、不安で思わず涙…! そこへミルクやオムツを手に戻ってきた松戸。入手した『悪の育児辞典』によると、ホムンクルスを育てるには少量のミルクを一日8回くらい与えることが必要とのこと。つまり、朝も夜中も3時間おきにミルクを与える必要があるということでした。寝床に置こうとすると泣き出すホムンクルスを朝まで抱っこしながら、ミルクとおむつ交換を繰り返して、悪の総帥はすっかり寝不足になってしまいます。
「この生活っていつまで続くの?3日くらい?」と尋ねる総帥に、松戸は「すくなくとも1ヶ月はこんなかんじで…その後も一年くらいは昼夜問わずミルクや寝かしつけがありますね」と返答。世界征服の野望が遠ざかった総帥は思わずクラリ…。
そんな悪の総帥とサイエンティストのマツドとのやりとりに思わず笑ってしまう『悪の組織の子育て日記』、著者のオオカミタホさんにお話を伺いました。
■『悪の組織の子育て日記』著者インタビュー
──この作品を描こうと思ったきっかけについて教えてください。
オオカミタホさん:私にとって出産・育児は「人類こんなことやってきたの!?」という驚きの体験でした。もちろん学校の授業で妊娠・出産の仕組みについて勉強したことがありましたし、書籍などで育児について知ることもできたのですが、いざ育児が始まらないと実感できないことも多かったです。
慣れない育児生活の中で 辛いことや、怒りを感じることも多かったですが、笑ってしまうような面白いこともあり…そんな心身ともにバタバタした日々を、何か記録できないかな?と思い、子どもが1歳を過ぎた頃に漫画を描き始めました。
──総帥が育児の大変さに驚いていますが、実際の育児経験からインスピレーションを受けたエピソードはありますか?
オオカミタホさん:ほとんどが実際の育児経験を元にしたエピソードです。特に新生児育児中の、「ミルク(授乳)今日、何回目…?」となる感じや、「いつ寝ればいいんだ…!?」という絶望感は覚えています。今となっては、そんなに深刻に考えなくてもよかったのに…と自分に対して思うのですが、当時は一生懸命でした。
──悪の組織という非現実的な設定と、育児という現実的なテーマを組み合わせた理由は何でしょうか?
オオカミタホさん:自分の育児体験を漫画にしたいと思った時、私自身を主人公にすると、産後の心身のボロボロさとか、怒りや悲しみのエッセンスも多めになってしまいそうな気がしました。もちろんそういうリアリティや感情も無視したくはないのですが、そういう実際の体験記的なものは他のかたにお任せして、私は年齢性別とわず、育児への関心の有無もあんまり関係なく読めるテンションの漫画にしたいな〜と思いました。その結果、悪の組織を舞台にしたファンタジーギャグ育児漫画となりました。
***
読みながら笑っているうちに、だんだん「悪の総帥」に感情移入してしまうこの作品。「おつかれさま!」と総帥の肩をもんであげたいような気分にすらなってしまいます。新生児育児の大変さを笑い飛ばしてくれるこの漫画で、日々の疲れを癒やしてくださいね。
取材=ツルムラサキ/文=レタスユキ
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