11月14日に世界配信されたNetflixシリーズのラブストーリー「さよならのつづき」の前夜祭ジャパンプレミアが11月13日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、W主演の有村架純、坂口健太郎をはじめ、生田斗真、中村ゆり、三浦友和、黒崎博監督、脚本家の岡田惠和が登壇。有村たちが万感の想いを胸に撮影を振り返った。
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本作は、事故で最愛の恋人を失った女性、菅原さえ子(有村)と、その恋人に命を救われた成瀬和正(坂口)が、北海道やハワイの壮大な風景を舞台に繰り広げる美しくもせつないラブストーリー。イベントの冒頭で有村は「1年前に撮影をしていて、去年はこの作品で頭がいっぱいだったんですが、無事に撮影も終わり、こうしてこの日を迎えることができて、とっても幸せに思っています」と感慨深い表情で挨拶。
坂口は「撮影自体は去年の夏の暖かい時期から始まったんですけど、四季折々いろんな景色を皆様にお届けできる作品でもあります。この作品の良さが少しでも伝わればうれしいなと思います」と作品への想いを語った。
生田は「本当にこんなすばらしい作品にかかわることができて、とても幸せに思っています。皆様の心のなかにこの作品がずっと残り続けてくれることを祈っております」と、中村は「個人的にすごく最終話が好きなので、ぜひ皆さん最後までご覧になってください」と挨拶。
黒崎監督は「長い長い旅をして、やっとここにたどり着いたと思っています。丁寧にみんなで力を合わせて、毎日全力を振り絞りながら作り上げた作品です。これだけは自信を持って言える」と、制作にかけた想いとチームの努力に自信をにじませた。
キャスティングについては、エグゼクティブプロデューサーの岡野真紀子と脚本の岡田による話し合いで決定した。有村は「さえ子は、自分の人生を自分で切り開こうと常に思っているような女性で、なにに対しても自分の正義だったり、いろんなことに誠実に向き合って歩みを進めていた女性だったように思います。とてもエネルギッシュで生命力のある印象で、そういった要素を大事にしながら、無邪気さのあるチャーミングな女性に演じることができたら、より魅力的な女性としてお届けできるかなと挑戦させていただきました」とコメント。
また、作品を鑑賞した感想について有村は「作品を1度拝見した時は、物語を再確認しながら観ていたので、客観的に観ることが難しかったのですが、韓国の釜山国際映画祭でお客さんと一緒に観た時に涙が出てきて、やっと客観的に見れたのかもしれないと思いました。それぞれのキャラクターの思いが交錯してる物語なので、すべての言葉とか感情が痛いほど伝わってくる印象でした」と語った。
坂口は「僕から出てくる台詞が本当に成瀬の台詞なのかと、すごく迷いながら撮影をしていました。でも、雄介が100%になってしまった瞬間に、それは成瀬ではなくなってしまう感覚もちょっと怖かったし。そういう意味では、すごく探りながら、時々もしかしたら2歩後退しちゃう時もあったかもしれないけど、少しずつ積み重ねていった記憶はありますね」と役作りについて振り返った。
さえ子の恋人、雄介役の生田は「ピアノを弾くシーンがあったかと思うんですけど、本当にピアノを弾いたことがなくて、ドってどこですか?っていうところから始まってるんです。そこからもう半年以上、毎日毎日ピアノに触れて。初めてピアノのレッスンに行った時に監督も同席されてたんですけど、『今回Netflixで、世界配信で、当て振りすることもできますが、僕は嘘をつきたくありません!』と熱い言葉をいただいて、嫌だな~(笑)と思いましたけども、一生懸命やったかいがあるすばらしいシーンに仕上がったんじゃないかなと思ってます」と話す。
それを受けて黒崎監督は「本当に申し訳ありませんでした。でも本当に吹き替えてるカットはないです。坂口さんも生田さんもおふたりとも全部弾いてます」と話すと、会場からは驚きの声と大きな拍手が上がった。
成瀬の妻、ミキ役の中村も「実際に心臓移植を受けた方々のご家族だったり、受けた方の手記を読ませていただいて、ポロポロ泣いて。ミキさんのキャラクターを作るうえでのヒントになって。明るい人だからこそ、悲しいことが表現できるんだろうなと思って演じました」と役作りについて明かした。
さえ子を支えるヒロを演じた三浦も「こんなこと言っていいかわからないですけど、普段連ドラって全然観ないんですよ。全部で8話なので、4日間に分けようと思っていたんですが、止まらないんですよね。これがね、辛かったですね」と絶賛。また「1番感動したのは、出てくる女性が強いんです。凛としてるんです。そこにすごく感銘を受けました」とキャラクターの魅力についてコメント。
本作は脚本の立ち上げ段階から多くのリサーチを行い制作されたとのことで、黒崎監督は「人間の生死を扱った作品でもあるので、小さなところで嘘をつきたくないなという思いが強かった。だからこの作品のなかに生きてる人たちが本当に息づいてるという感じを出したくて、ロケーションには徹底的にこだわって撮影をしました」と本作の見どころである、力強くて美しい景色についても語る。
完全オリジナルストーリーとして本作を執筆した岡田は「岡野プロデューサーのお父様が心臓の病気で入院されていた時に主治医の方との会話のなかで、どうやら心臓移植において記憶が転移することがあるらしいという話を聞いて、その時に、ラブストーリーにおいてこういうことがあったらいいなみたいなファンタジーではなく、強い愛情の物語として書けるんじゃないかなと思いました」と本作が生まれたきっかけを振り返った。
本作が恋愛や人生について深い議論を巻き起こす作品であることから、もう会えないけれど会いたいと願う人はいますか?との問いに有村は「祖父母です。もう会えないんですが、祖母がまだ生きていた時に教えてもらったポテトサラダが好きでいまもずっと作っています」とコメント。
好きな人が他の誰かに惹かれたらどうしますか?という質問に対して坂口は「仕方ないなって思う方が強いかもしれないですね。すごく悲しい瞬間なのかもしれないけど、別れてしまうことも縁があって別れるということがあると思うので」と答えた。
さらに、運命を信じたくなる出会いをしたことがあるかとの問いに生田は「運命とは偶然的な要素が強い言葉に感じられるけれど、自分の力で手繰り寄せた縁や機会も運命の一部ではないか」と回答。中村は大好きだった人と似た人を、好きになったことはあるかとの問いに「新しく好きになった人に失礼かなって思っちゃう。似た人だから好きになったと言われた人の気持ちはどうなんだろうって思いますね。だからないです」ときっぱりと否定。
三浦は愛する人にもう会えないとわかったら、なにを伝えるか聞かれ「残酷な問いかけですね。20代でも40代でも50代でも、つい最近でも、いろんな意味で愛する人を亡くしている。亡くなる前に、その人にかける言葉はないですね。励ましもできないし、頑張れというのもおかしい話だし、そこで思いを伝えると、そのまま亡くなってしまうような気もするし」と答えた。
また、配信当日となる11月14日には、有村と坂口が北海道の小樽へ飛び、約4か月間長期ロケで滞在した思い出の地にて舞台挨拶と、凱旋レッドカーペットスペシャルイベントを実施。現地ファンの前で撮影時の思い出を振り返った。
まずは、イオンシネマ小樽での舞台挨拶へ。有村は、北海道の観客に「約4か月、この小樽の街にも大変お世話になって、とてもすてきな作品に仕上がり私も嬉しく思っています」と感謝すると、坂口も「小樽に帰って来れました。この土地にとても協力していただいて作りあげた作品です。小樽の街はどれもが新しくて、とても美しくて、そんな小樽の街で撮影できたことを幸せに思います」とコメント。
続いて開始された小樽港マリーナでのレッドカーペットには400人のファンが集結。ここではステージに設置されたグランドピアノで、坂口が実際に劇中で奏でた「I Want You Back」の生演奏を披露すると、会場から大きな拍手と歓声が沸き起こった。演奏の感想を聞かれた有村は、「すごい!すごい!すごい!」と興奮気味にコメント。坂口は、「寒さじゃない緊張でちょっと弾き外してしまいました」と照れくさそうに返すも「なんのブランクも感じなかった!ピアノを習ってる訳じゃないのに本当にすごい!」と有村がフォローし、会場を温かい空気に包んだ。
最後に坂口は「愛情って普遍的なものだと思うし、皆さんもいろんな出会いや別れがあると思うんですけど、その中で1つこの作品が皆さんの心の中に大切なものとして、残ってくれたらすごく幸せだなぁと思います」と思いを語ると、有村は「この物語を見て、自分が生きた中で出会った大切な人、過去の出会いも、いま皆さんの中にいる大切な方々すべてをまるっと包みこんで、大切な人を想いなおすきっかけの作品になったらいいなと思います」と締めくくった。
文/山崎伸子
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