唐橋ユミがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「NOEVIR Color of Life」(毎週土曜9:00~9:30)。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。各界を代表して活躍する女性ゲストが、自らの言葉でメッセージを伝えます。
今回の放送では、歌手で俳優の島田歌穂さんが出演。人生のターニングポイントとなった、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の出演エピソードなどについて語っていただきました。
島田歌穂さん
島田歌穂さんは1974年に子役デビュー。1982年にはミュージカル「シンデレラ」で初舞台を踏む。1987年のミュージカル「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役で脚光を浴び、2001年までロングラン公演に参加。出演回数は1,000回を超えました。同作の世界ベストキャストに選ばれ、英国王室主催のコンサートに出演。参加したアルバムが米国にてグラミー賞を受賞。
他にも「ウエストサイド・ストーリー」「飢餓海峡」「メリー・ポピンズ」など数多くの舞台に出演。芸術選奨文部大臣新人賞、紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀女優賞など受賞多数。
近年では2017年にディズニー映画「美女と野獣」、2019年に「メリー・ポピンズリターンズ」の吹き替えを担当。女優、歌手として幅広く活躍するなか大阪芸術大学教授も務めています。今年でデビュー50周年を迎えました。
◆オーディションの合格は予想外だった
唐橋:島田歌穂さんが出演されたミュージカル「レ・ミゼラブル」で演じられたエポニーヌ役は、観客の涙を数え切れないぐらい誘いました。海外からも高い評価を受けておりますが、島田さんが出演された1987年が、日本での「レ・ミゼラブル」の初演ですよね。
島田:そうですね。1985年、ロンドンにてミュージカル「レ・ミゼラブル」が生まれ、大きな話題となって、すぐに日本でも上演することになり、大々的なオーディションがおこなわれました。全国で1万2,000人の応募者がいたそうですが、私は3,000人以上応募者がいたエポニーヌ役に応募しました。あまりにも大きな作品だったので受かるなんて有り得ないと思っていたのですが、なんとラッキーなことに受かることができました。
唐橋:すごい! エポニーヌ役が、一番応募者が多かったとお聞きしました。オーディションは時間がかかりましたか?
島田:そうですね。全部で四次審査までありました。最初は日本人のスタッフの方だけで、思うように歌えなかったんです。ダメだなと思っていたら「また来てください」と言われて。そこで初めて演出家のジョン・ケアードさんと出会ったのですが、私1人にすごく時間をかけて丁寧にオーディションしてくれたんです。それだけで感動してしまい、「もうこれで十分!」と思っていたのですが、最終的に受かることができました。
唐橋:最初は受かるはずがないと思っていたけれど、徐々に「もしかして」と感じるように?
島田:いや、本当に受からないと思っていました。変に期待しちゃって、あとから傷つくのが怖かったのかもしれないですね(笑)。受かるわけがないと自分に言い聞かせていました。
◆印象的だったジョン・ケアードからの言葉
唐橋:オーディションに受かっても、稽古が続くわけですよね。
島田:長いお稽古がありましたね。でも、ジョンの稽古はすごく演劇的で、1シーンごとに本当に丁寧に作品を作っていく過程に毎日感動していましたね。夢のような、楽しくて幸せな時間だったなと思います。
唐橋:舞台をされる方は、海外の演出家からもらった言葉ですとか影響を受けたことが大きいそうですね。
島田:やはり、時間をかけてじっくりと稽古できる期間が多いので、そのぶん演出家は一人ひとりと向き合いながら丁寧に作ってもらえる現場が多いんですよね。なので、それだけ思い出が大きくなっていくのかなと思います。
唐橋:ジョン・ケアードさんに言われて心に残っている言葉はありますか?
島田:いっぱいあるんですけど、忘れられないのが初演の稽古の大詰めの頃ですね。海外の演出家はわりと褒めて育ててくださる方が多くて、ジョンも「歌穂、よかったよ!」と言ってくれたんですけど、私は自分で納得がいかなくて、いつも「ダメです」って言ってしまっていたんです。そうしたら、あるときジョンが「いい加減にしなさい。演出家の僕がよかったと言っているんだから、それを信じなさい」と笑いながら怒ったんですね(笑)。「よかったと言われたら、『ありがとう』と言うことを覚えなさい」と言われました(笑)。
唐橋:そうですか。
島田:褒められたら、素直に「ありがとう」と受け止めることも大事なんだって思ったのはすごく覚えていますね。
◆「レ・ミゼラブル」が“初心”をいつも教えてくれた
唐橋:島田歌穂さんは「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役での出演回数が1,000回を超えまして、この作品の世界ベストキャストに選ばれています。すごいですね!
島田:自分でもそんなに長い間続けさせていただけるなんて思ってもみませんでした。無我夢中で1回1回を重ねていき、気が付いたら1,000回を超えていました。
唐橋:同じ役をこれだけ続ける難しさはありますか?
島田:私は1987年から2001年まで14年間ロングランに参加させていただいて、そのあとも特別公演があったので、最終的に2011年に卒業したんですね。四半世紀近く同じ役をやらせていただいて、年齢も20代から40代まで、ずっと16歳の役をやらせていただきました(笑)。その間、人生のなかでいろんな経験がありましたし、結婚や両親との別れもありました。でも、どんな時も「レ・ミゼラブル」という舞台に帰ると、初演の初日、初めて帝国劇場の舞台の上でお客様から熱い拍手をいただいた、あのときの何とも言えない感動の瞬間に立ち帰らせていただいたんですね。「レ・ミゼラブル」は、常に初心を思い起こしながら、多くを学び、与えてもらった、生涯感謝し続ける作品です。
唐橋:人生とともに「レ・ミゼラブル」があったんですね。
そんな島田さんは11月からは舞台「プロデューサーズ」が始まり、11月20日にはアルバム「島田歌穂・シングス・ディズニー」のリリース、そして12月にはクリスマスコンサート「島田歌穂&島健Duo Xmas Special vol.14」も予定しています。50周年の節目に、島田さんのさらなる活躍が期待されます。
<番組概要>
番組名:NOEVIR Color of Life
放送日時:毎週土曜 9:00~9:30
パーソナリティ:唐橋ユミ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/color/