元TBSアナ・39歳の私が抱く後悔…退社して初めて知った「必死にガツガツ働くよりも大切なこと」

元TBSアナ・39歳の私が抱く後悔…退社して初めて知った「必死にガツガツ働くよりも大切なこと」

11月15日(金) 8:47

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2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。

第10回となる本記事では、アラフォーになって若者たちに対する思いが変化したというエピソードです(以下、アンヌさんの寄稿)。

年下の子たちに、ついつい口を出したくなる



アラフォーになった今、年下の子たちにああだこうだ言いたくなっている自分の存在に気づき、戦々恐々としている今日この頃。

これだけ見ると、〇〇ハラスメントにもなりかねないので、ほんとめんどくさいことやめろよ! とツッコミたくなる人が多くいらっしゃるかと思いますが。

不思議な現象なのですが、アラフォーにして、とにかく1人でも多くの人にしっかりとお金を稼いで欲しい、そして心から幸せになってほしい、そのために私ができること、これまでの経験でわかっていることをまんべんなくお伝えしたいなんていう……本当に厚かましくて仕方ないのはわかっているのですが……妙な“人類愛”のようなものが自分の中で湧き起こってきているのを感じています。

なんでしょうね、今思えば20代、私がまだテレビ局員として、アナウンサーとして仕事をしていた頃、当時は自分の事しか考えていなかったなぁと、つくづく思い出すのです。

20代の局アナ時代は空回りばかり。自局の番組ばかり観て…



時代も時代だったのかもしれませんが、少しでも忙しくしていることが良いことだ、多く仕事をいただけることがベストだという価値観のもと、とにかくがむしゃらに仕事をしていました。

自分も頑張り、そして周りも一緒に頑張って、組織そのものが向上していくことこそが、ビジネスモデルとして理想的な姿では無いのではないかとも今では思えるのですが。当時の私はとにかく、頼っていただければそれが無性に嬉しくて、その期待に応えなくてはと無駄に空回りしていた記憶があります。

私が現役のアナウンサーだった頃にやらなかったことで、反省していること。それは、他局のさまざまなアナウンサーの方の仕事の様子をテレビやラジオできちんと研究しなかったことです。

物理的に時間がなかったのもあるかもしれませんが、チェックするのはいつも自局ものが中心。他局のアナウンサーがどういった話し方をしているのか、どういった見せ方をしているのか、しっかりと勉強しなかったのです。これはやるべきだった。

TBS退社後に初めて気づいたこと



以前こちらの連載でも書かせていただいたのですが、テレビ局退社後、NHKラジオをしっかりと自宅で聞く機会に恵まれて、そこで「アナウンサーの仕事ってこうだよなあ」なんて初めて気づいたことがあったのです。

NHKラジオ「すっぴん」の藤井彩子アナウンサーも素晴らしかったですし、昼ニュースを伝えるベテランの男性アナウンサー陣の姿からも学ぶことが多くありました。現役時代の私は、とにかく面白くしようとか、人とは違うような爪痕を残したいとか、そういった雑念が多くあったなあとつくづく感じるのです。

アナウンサーとしての安定感やら安心感、また正確さに、きちんと向き合っていたのだろうかと反省することが多くありました。

いちリスナーとしてNHKラジオを聴いていても、淡々とお伝えする中に時おり知性や個性が浮かび上がってきて、それが聴取者として心地良いんですよね。人生において積み上げてきたものは、こういった形でうっすら垣間見えるものなんだなぁなんてことを痛感したのです。

世話焼き奥様の気持ちがよくわかる!



20代といえば、誰もが必死でガツガツ行ってしまうところはあるあるかもしれません。私は会社を辞めて、かつ年齢を重ねたことで、さまざまなものを俯瞰して見ることがやっとできるようになったのでした。

そして、自分だけじゃない、みんなで一緒に業界そのものを向上させていこう! という姿勢そのものがとても魅力的で大切なことなのでは、と大人になり、やっと気づけたのでした。

アドバイスを求められてもいないのに一方的に伝えるのはご迷惑だと思いますので、なるべくしないようにはしていますが、今の私は、いち社会人として、および元アナウンサーとして、何かアドバイスを求められたときは、もう張り切る張り切る! 持ち得る限りの集中力を行使して、最善の策をその人のために考え尽くします。

不思議なことに、今は「この子は実はこういうことに悩んでいるんじゃないか、あんなことが苦手なんじゃないか」というのが、うっすらと千里眼のようにわかっちゃうんですよね。それをお伝えすると、どうしてわかるんですかとびっくりされたり……。

とにかく今の私は、私が経験したことを踏み台にして、多くの人に成功してもらいたい、そして幸せになってもらいたいのです。

むかーし、お仲人さんとして大活躍する世話焼きの奥様というものが、近所に1人はいたものですが、今、私はその気持ちがよくわかる。

若い世代には頑張ってほしいし、幸せになってほしいと心の底から思うのです。そして世話を焼きたい。北海道の一部マスコミ関係者からは「アンヌ教」と呼ばれており、ほんのりとご好評いただいております。

このパッションそのものが、大人になった証かなあ……あ、若者たち、いつも口うるさくてごめんね。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中

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