【インタビュー】世界の舞台で戦った中島健人「コンコルディア」ショーランナーが「素晴らしい」と絶賛する資質とは?

ショーランナーのフランク・ドルジャー「セリフを自分のものにしていて、本当に素晴らしかったです」

【インタビュー】世界の舞台で戦った中島健人「コンコルディア」ショーランナーが「素晴らしい」と絶賛する資質とは?

11月15日(金) 20:00

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中島健人が海外ドラマデビューを果たすHuluオリジナルの大型国際ドラマ「コンコルディア Concordia」が、11月8日から独占配信されている。このほど映画.comは、「ゲーム・オブ・スローンズ」「THE SWARM ザ・スウォーム」などで知られ、制作総指揮を担うフランク・ドルジャーにインタビューを敢行。全編で流ちょうな英語のセリフを披露し、ドルジャーが「素晴らしかった」と絶賛する、世界の舞台で戦った中島の裏話を聞いた。(取材・文/編集部)

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舞台は、カメラと AI に生活の全てを網羅されたコミュニティ「コンコルディア」。社会と住民の健全さを守るためのデータ管理は、鉄壁のセキュリティを誇っていたが、ある日、起こるはずのない殺人事件が発生。未然に犯罪を防ぐはずのAIは、何を見逃したのか――?殺されたのは、コンコルディアの分析官オリヴァー。やがて彼は、自身の立場を利用して、第三者の情報を不正閲覧していたことが明らかになる。町の理念と価値観を揺るがす事態に、人々は翻ろうされていく。

――各国の実力派俳優陣が集結している点が見どころですが、言葉も文化もさまざまなキャストたちが集まる作品づくりにおいて、大切にされていることを教えてください。

最初に大切なのは、題材を真にインターナショナルなものにすることです。最初からインターナショナルであるということを意識して、プロジェクトを進めました。

例えばコンコルディアは、未来の共同体です。いま、我々が直面している移民という社会問題も当然、反映されなければならない。だからこそコンコルディアは、バックグラウンドに関係なく、皆を歓迎するような場所にし、そこで暮らす人々の文化も具体的に描くことが大事だと思いました。

改めてにはなりますが、キャラクターをしっかりと定義づけることが重要ですね。どんな役割を持っているのか、内側から、一からしっかり作るようにしています。かつてあったような、海外のキャスト・スタッフにあとから参加してもらって“国際制作ドラマ”と呼ぶわけではなく、テーマ設定や脚本づくりの最初から意識して作っていくことが重要です。

――さまざまな作品を経て、ドルジャーさんは、インターナショナルな作品づくりや、現代の問題を反映したリアリティのある物語づくりに惹かれているということでしょうか。

HBOなどで長年、歴史ドラマや時代物を手がけてきて、「ゲーム・オブ・スローンズ」が終わった時に、次に何がしたいか、考えました。それまでは、いまの時代に通ずる問題提起を行ってはいるんですが、過去を舞台にした作品が多かったんです。フィルムメイカーとして、自分の次のチャプターを歩み出すにあたって、未来を見据えたいなと。

より目を向けるべきトピックが、まだまだある。ドキュメンタリーで扱われがちな題材を、あえてフィクションで描く方法はないかと考えた結果、こうした作品づくりに取り組むことになりました。以前のスタイルに戻ることも可能ですが、新しいことにトライしたいという気持ちがありました。

またフィルムメイカーとして、一緒にお仕事をする機会が持てなかったキャストやスタッフが、世界にはたくさんいるわけです。ですが、インターナショナルな作品だったら、そうした方たちとご一緒できる。これまでも自分は、皆さんが見てくださるような作品づくりができている。だから今後は、あまりフィルムメイカーたちが扱わないようなテーマの場合でも、皆さんに見てもらえるような作品を作るだけのスキルがあるんじゃないかという自負があります。

――本作の中島健人さんも含め、Huluドラマは、日本人俳優が海外進出する起点となる重要なコンテンツだと感じています。キャストのチームワークや現場の雰囲気はいかがだったでしょうか。またドルジャーさんが、こうした大型国際ドラマに参加する俳優に求める資質を、教えてください。

新会社を立ち上げたときに、パートナーと、国際的な作品づくりをしようと話していました。インターナショナルといっても、周囲はヨーロッパのことしか想定しておらず、僕はインターナショナルの定義としては小さ過ぎると思っていました。Hulu Japanさんとご相談しているときに、真にインターナショナルな作品ができるんじゃないかと話して、「THE SWARM ザ・スウォーム」には木村拓哉さんが参加されることになりました。

俳優に求める資質は、国や文化は関係なく同じですが、脚本に求められるものをもたらしてくれるか、ということです。木村さんは、海運業で財を成した実業家アイト・ミフネ役で、大企業のトップとしての権威を感じられるような資質を求めていました。

今回の中島さんが演じたA.J.オオバは、大学生のような20歳くらいの青年で、頭脳明晰で、テックの天才的な才能を持っている。天才でまだ若いがゆえに、社交術というか、人との付き合いに関しては、まだぎこちなさがあるキャラクターです。中島さんは、キャラクターに知性を投影することができる。またA.J.オオバは、周囲に対して「僕の方が優秀だ」という傲慢さをもつ役どころです。そんな甘やかされた子どものような部分も、中島さんが見事に表現してくださいました。

――ドルジャーさんの目から見て、撮影現場での中島さんの姿勢は、いかがでしたか。

僕がすごいなと思ったのは、中島さんの学ぼうとする姿勢です。ほかの世界的に知られている役者さんとご一緒することは、人によっては緊張してしまうかもしれない。ですが彼は、リスペクトを持ちながら、皆がどんなことを口にするのか、しっかり見聞きして学ぼうとしていて、素晴らしいなと思いました。

英語のセリフもすごく正確なんですが、イントネーションや言い方を調整する必要があるところで、イギリス人のルース・ブラッドリーさんに、「ルースさんだったら、どう言いますか?」と聞いていたんです。

役者が役者に「どう演じますか?」と聞くことは、すごいことだと思うんです。ある意味、負けず嫌いゆえに「自分ができないと思われたくないから、ほかの人には聞かない」という方も多いなかで、すごく聡明な行動だったと思います。中島さんはミュージシャンだからこそ、ルースさんの英語のセリフを聞けば、リズム感をすぐに掴んで、セリフを自分のものにしていて、本当に素晴らしかったです。

中島さんのオープンな姿勢を見て、フランスやスカンディナビアなど、いろいろな国から集まった役者さんたちに、「お互いに頼って良いんだ」という空気が生まれた。そこが、国際ドラマの面白さでもあると思います。その環境で聡明な方は、チャンスを無駄にせず、キャストやスタッフから学ぼうとするわけです。そうした国際ドラマならではの面白さは、「THE SWARM ザ・スウォーム」でも「コンコルディア Concordia」でも感じました。

「コンコルディア Concordia」(全6話)は、Huluで独占配信中。毎週金曜に、新エピソードが更新される。

【作品情報】
コンコルディア Concordia

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(C)Hulu Japan
映画.com

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