ロス五輪への第一歩となるアジア杯予選へ、比江島「全力で全う」、渡邉伶音「毎日刺激」

比江島慎

ロス五輪への第一歩となるアジア杯予選へ、比江島「全力で全う」、渡邉伶音「毎日刺激」

11月14日(木) 18:00

提供:

バスケットボール男子日本代表が『ロサンゼルス2028オリンピック』へ向けて、新たなスタートを切る。11月13日、『FIBAアジアカップ2025』予選 Window2への強化合宿をメディアに公開。合宿3日目のトレーニングを終えたトム・ホーバスHCは次のように感想を口にした。

トム・ホーバスHC

「Bリーグ中なので選手は本当に疲れていて、小さなケガが多い。23名呼んだけど、今日トレーニングしたのは11名くらい。今は我慢。思ったより若い選手が多いバランスになる。でもがんばる。自信はある」

身長204cm・18歳の渡邉伶音について聞かれると、指揮官は?
「昨日と今日で、オフェンスのコールやセットや考え方、ディフェンスの全部を説明した。それで彼はちょっと迷っている。でもがんばっている。彼は役割をわかっている。ピック&ポップから3ポイントシュートを結構打っている。あの年齢だからまだ身体は強くないけど、ピック&ポップ、シュートもできるし、リバウンドもできる」

ホーバスHCは新たなPG勢も楽しみにしていた。
「中村(拓人)、大浦(颯太)、佐々木(隆成)、牧(隼利)に富樫(勇樹)。PGは面白い選手が結構いる。うちのシステムを上手にできるなら強くなると思う。河村(勇輝)は2年前全然考えていなかったが、でも彼はすごい勝負をした。これから誰が勝負するのか。佐々木は速さ、飛ぶ、3Pがある。中村はチェンジ・オブ・ペースがうまくて身体も強い。この3年間は(テーブス)海、西田(優大)も少しPGをしたが、力もある、ディフェンスもできる、スイッチしても全然問題ないPGも面白いと思う」

『パリ2024オリンピック』のデータ分析について問われると。
「『五輪』は2ポイントのパーセンテージが足りなかった。『(FIBAバスケットボール)ワールドカップ(2023)』のディフェンスは良かったが、『五輪』は足りなかった。『W杯』の3Pは足りなかったが、『五輪』はすごかった。意味がわからないくらい。トランジションディフェンスだけは一緒。どちらも良かった。『W杯』のいいところと『五輪』のいいところを出せるなら勝てる。全部をうまくできれば次のラウンドへ行ける。そこは自信がある。これから新しい選手を探したらもっと強くなる。本当に楽しみ。『W杯』の2Pは55%、『五輪』は38%、『W杯』の3Pは30%、『五輪』は39%」

今回の『FIBAアジアカップ2025』予選 Window2が『ロス五輪』へのリスタートとなることを質問されると。
「この合宿からスタートラインに立つ。今回は初めての選手、2回目の選手が多い。本当にスタートするという感じ。練習前にスタッフやコーチの説明が多いが、初めての選手が勝負しているのでいい感じ。経験のある選手が若い選手に色々教えているので、いいチームワークができている」

ホーバスHCは34歳の比江島慎、31歳の富樫勇樹と今後の代表活動について話し合ったと言う。
「富樫は『僕が呼びたいなら来ます』と言っていた。『ロスまで行けるかどうかわらないが、もし自分が必要なら来ます』と。マコは『この合宿はやります。でも、次はわからない』と言っていたが、今回はマコがキャプテン。今日は彼が若い選手にうちのディフェンスのやり方を説明した。めっちゃ長かった(笑)。最初も声が聞こえなかったし、みんな笑っていた。彼は長く代表やっていたし、栃木で試合があるから、彼が主将」

主将に任命された比江島は最初ジョークだと受け止めていた。
「会った瞬間に『キャプテン』と言われて、『たぶん冗談なんだろうな』と思っていたが、次の日も『キャプテン』と呼ばれて(笑)。理由も聞いていないけど、初めての経験だが、今のところ無難にやらせてもらっている。今日もディフェンスの説明をしたが、声が小さいのと説明が遅いということで、途中からトムさんが説明し出した。少しずつ、キャプテンをやらしてもらっている」

(写真左より)富樫勇樹、川真田紘也

比江島主将評を富樫前主将が「今回は比江島主将ということで不安です」と言えば、川真田紘也も「ダメですね。ハドルを組む時に富樫さんはずっとハキハキ話していたのに、比江島さんはフニャフニャ言っている。『一番年上なんだから、もっとハッキリ言いなさいよ、キャプテンでしょ』と言ったら、比江島さんは笑ってました」とイジった。もちろん、川真田のこと「本当に尊敬する先輩。僕も正直比江島さんの主将は想像がつかないけど、代表経験も長いし、言葉よりプレーで引っ張るタイプ。試合になれば、必ず力になってくれる人だと思う」とフォローすることも忘れなかった。

比江島主将はホーバスHCの続投を歓迎した。
「結果を残しているのは間違いない。世界で通用するのは証明しているし、長期計画は今までなかったことなので、そこは自分自身の中で楽しみな部分が大きい。いいコミュニケーションを取りながらできるので、僕はとてもいいことだと思う」

比江島は『パリ五輪』で届かった1勝へのリスタートを重要視していた。
「『アジアカップ』予選のWindowだが、僕らが超えられなかった『五輪』の1勝、ベスト8に向かっていくと思うので、そこの第一歩に関わることができるのは光栄。何か代表に残せればと思う。このWindow、全力で全うしたい」

さらに比江島は最後のつもりで今回のWindowに臨むと言う。
「協会やトムさんと相談しないといけないが、僕は最後のつもり。『五輪』は不完全燃焼だったので、それを払拭するプレーをできればと思う。(今後の代表については)都度都度相談して考える」

富樫も自分の年齢に向き合っていた。
「トムさんと話した中で、次の『五輪』が35歳になり、正直僕自身も35歳でどれだけの身体でどれだけのプレーができるかわかっていない。一個一個のWindowを重ねて自分の身体とプレーを色んな相談しながらやっていければと思っている。
今回呼んでいただいたが、2月はわからない。いろんな選手を試したいだろうし、河村選手のバックアップとして『パリ五輪』に出たが、サイズのあるの選手を育てたいという面もあると思う。その中で、一個一個、『アジア杯』、『W杯』、『五輪』とあるが、どこがゴールとは考えずに、大会大会で僕が選ばれれば全力でやるし、選ばれないのであればそれは日本バスケ界の成長につながると思うので、あまり先を見過ぎずにひとつずつやれればいいなと思う。『東京五輪』も次の監督次第で最後かと思っていた。最後になるかならないかは監督に呼ばれるかどうか。『五輪』で代表引退するのが一番きれいな形だと思うが、バスケをやる以上代表を目指すべきだと思う。僕はバスケットを引退する時が代表を引退する時だと思っている。みんなが経験できることではないので、スケジュール的には厳しいが、今後も代表に入れるようなプレーをできればと思っている」

渡邉伶音

身長204cmの伶音は代表合宿で刺激的な毎日を送っていた。
「A代表はディベロップメントキャンプを除いて初めて参加したので、緊張感も抜けていないが、こどもの頃から見ていた選手と一緒にやれているのですごく楽しいし、毎日刺激をもらっている。
(求められる役割について)4番ポジションで空いたらどんどん3Pを打つことと、スペーシングをしっかり把握して器用にやることが自分に求められると思うので、自分でも意識してやっている。
(課題について)フィジカルの部分はA代表と比べても、世界と比べても劣っているのは自覚している。フィジカルの部分は高校でもやっているが、体の当て方で多少力強くいける部分はBリーグで学んできたので、まだまだ劣るが、自分ができる最大限をやっていきたい」

現在地を把握しながら、伶音はしっかりと『ロス五輪』を見据えていた。
「ディベロップメント合宿の後にトムさんと話して、その時から『ロスを狙えると思う』という言葉をもらって、そこから『五輪に絶対に出るんだ』という強い気持ちを持っている。(福岡大学附属大濠高校)片峯(聡太HC)先生も『五輪』で日本代表に選ばれて輝ける姿を想像して練習やアドバイスをくれているので、自分も強い気持ちで狙っている」

【2024年度バスケットボール男子日本代表チーム『FIBAアジアカップ2025』予選Window2直前合宿招集メンバー】
比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
アレックス・カーク(C/琉球ゴールデンキングス)
山崎稜(SG/広島ドラゴンフライズ)
富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)
ジョシュ・ホーキンソン(C・PF/サンロッカーズ渋谷)
馬場雄大(SF/長崎ヴェルカ)
佐々木隆成(PG/三遠ネオフェニックス)
牧隼利(SG/大阪エヴェッサ)
大浦颯太(PG/三遠ネオフェニックス)
吉井裕鷹(SF/三遠ネオフェニックス)
川真田紘也(C/長崎ヴェルカ)
山口颯斗(SF/長崎ヴェルカ)
渡邉飛勇(C/信州ブレイブウォリアーズ)
井上宗一郎(PF/越谷アルファーズ)
角田太輝(SG/佐賀バルーナーズ)
中村拓人(PG/広島ドラゴンフライズ)
市川真人(C/広島ドラゴンフライズ)
脇真大(SG/琉球ゴールデンキングス)
渡邉伶音(C/福岡大学附属大濠高校)

『FIBAアジアカップ2025』予選 Window2・日本代表×モンゴル代表は11月21日(木)・日環アリーナ栃木、グアム代表×日本代表は11月23日(土)(現地時間)・グアム大学フィールドハウスにて開催。チケットは車椅子席のみ残りわずか、他の券種は予定枚数終了。モンゴル戦の模様は日本テレビ系にて生中継、グアム戦の模様はBS朝日にて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

FIBAアジアカップ2025 予選(Window2)のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2454532

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