30年前の父を見て爆笑…26年大河ドラマ主演俳優が出演した『徹子の部屋』が神回だったワケ

仲野太賀マネージャーXより

30年前の父を見て爆笑…26年大河ドラマ主演俳優が出演した『徹子の部屋』が神回だったワケ

11月14日(木) 15:45

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芸事の世界というのは、30代からがやっと勝負の始まりである。その意味で、今年31歳になった仲野太賀は、十分過ぎるくらいの円熟期を迎えている。

11月5日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日)に出演した彼を見て、それがほんとうに豊かなものだとわかった。これは本人の意に反していることかもしれないが、同放送回は、二世俳優による紛れもない神回だった。

イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、豊かな神回だと思った『徹子の部屋』仲野太賀出演回を解説する。

「二世俳優と言われるのが嫌だった」



#徹子の部屋 是非是非!見てください!!
とーーーーーっても素敵な収録でした🥹
本日11/5(火)13:00~です📺#仲野太賀 pic.twitter.com/4uaLx0R5jq— 仲野太賀マネージャー (@tnakanomg) November 4, 2024

『徹子の部屋』に出演するのが夢だったという仲野太賀が、司会の黒柳徹子に呼び込まれてスタジオに登場する。その瞬間から水を得た魚のように、ぴちぴちして映っていた。濃いグレーのタートルネックがとても温かそう。やわらかであざやかなスタイリングもあいまって、これは神回になるなと思った。

仲野を迎えた黒柳は、序盤から本質的な話題に切り込んだ。「二世俳優と言われるのが嫌だった」と黒柳が話題を提示したのである。俳優デビュー当時、彼は仲野太賀ではなく、「太賀」を名乗っていた。

彼は父・中野英雄の息子と思われないように、あえて苗字を削り、名前二文字にしたのだ。それでも父は構わずに周囲に息子をどうか宜しくといい回っていた。「それは勘弁してくれ」と仲野太賀は思っていたらしい。

年少の父・中野英雄の姿を見て



でも息子は息子である。今ではそうした当時の葛藤も微笑ましく、「慣れました」と笑う。夢の番組の司会者である黒柳の前では、ひときわ素直になる。スタジオ内にはとってもいい空気感がいきわたっている。

ゲストに対するアイスブレイクとしてはかなりどすがきいている気もするが、最初に本質を捉えておけば、あとはもう仕上がりのいいスタジオの空気の中、仲野太賀の素顔を順番に明かしていけばいい。

ちょうど30年前、『徹子の部屋』のスタジオには当時29歳の中野英雄がゲスト出演した。息子として今の自分(31歳)より年少の父の姿を見て、笑いがとまらない。

大河ドラマに出演してほしいという願い



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30年前と30年後のスタジオで黒柳はともに中野英雄の出世作となった『愛という名のもとに』(フジテレビ、1992年)のドラマタイトルを口にしている。今でこそVシネのやくざ映画俳優のイメージが強い中野英雄だが、「チョロ」というあだ名役で同作第1話冒頭、ボートを漕ぐ姿が青春そのものだったんだよなぁ。

『徹子の部屋』でも言及されているSNS投稿では、「日本統一」シリーズ撮影中のオフショットを使った投稿(2024年4月22日Instagramアカウントに投稿)が話題になったことがある。

「アプリで若返りを押したら太賀になった」とキャプションがあり、若返った中野英雄が息子そっくりだったのだ。SNSでは他に息子が出演する作品を盛んに宣伝している。仲野太賀も「今は僕の宣伝隊長」と言っているが、心強いじゃないか。

放送をリアタイしていた中野英雄が、X上で「やばい 涙が止まらない」と息子が写るテレビ画面を投稿している。30年前の出演映像では、「太賀」の命名についてふれている。息子には大河ドラマに出演してほしいという願いから名付けたのだという。

自分そのものが豊かな存在



アプリで若返りを押したら太賀になった…
ビックリ‼️ pic.twitter.com/u5QGfSSm7o— 中野英雄 (@bugsyinc) April 22, 2024

するとどうだろう。仲野太賀は2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の主演俳優である。父の願いが叶った。これ普通に考えてすごい。父の言霊は、息子の大成を成就させたのだ。

父から子へ。思いが思いをつなぎ、実現する。仲野太賀とはなんて豊かな人物像なのだろう。二世俳優なんて表現を軽く内包しながら、自分そのものが豊かな器のような存在になる。番組で紹介されていたネパール旅行のエピソードにも豊かさがある。

同行した友人カメラマン撮影による一枚。道でヤク(ウシ科の動物)と対峙する仲野太賀の一瞬がさっと写されている。フランスの画家カミーユ・コローの絵画『牛の番をする農家の少女』みたいにフレーム内が盛んに歌っている。このネパール旅行は、『Midnight Pizza Club 1st BLAZE Langtang Valley』として出版される。うわぁ、豊か。

二世俳優による神回



あるいは、13歳でデビューした当時、憧れの俳優は『WATER BOYS』(フジテレビ、2003年)の山田孝之だった。その山田とは、『MONSTERZ モンスターズ』(2014年)で初共演。現在公開中の『十一人の賊軍』(2024年)では夢のW主演を果たした。東映任侠映画の最高峰『博奕打ち 総長賭博』(1968年)や『仁義なき戦い』(1973年)などの名脚本家として知られる笠原和夫が残したプロットを元にした時代劇だ。

仲野が演じるのは、道場主。本人は殺陣の経験が少なかった。そのためクランクインの半年前から猛練習をつんだ。撮影現場では白石和彌監督から「阪妻みたいだったよ」と絶賛されたという。「阪妻」とは、チャンバラ映画の大スターである阪東妻三郎の愛称。ここで黒柳が切り込む。「その方(監督)は阪妻のことをよくご存知だったのかしら」と率直にたずねた。

そうだよなぁ、徹子さん、大スター坂東妻三郎とほとんど同時代を生きてきた人だもん。坂東の息子は田村三兄弟として有名な三男の田村正和である。れっきとした二世俳優だ。仲野太賀の俳優歴がこうして昭和を代表する俳優に接続される。豊かさが広がる二世俳優による神回だった。

<文/加賀谷健>

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【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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