11月8日から11月10日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今回はトップ4が初登場の4作品とガラリと入れ替わり、1位には第96回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた話題の『ロボット・ドリームズ』(公開中)が堂々のランクイン。2位に本国フランスでスマッシュヒットを記録した異色のスリラー『動物界』(公開中)が食い込み、3位に日本とウズベキスタン合作の感動作『草原の英雄ジャロロフ~東京への道~』(公開中)が入る結果となった。
【写真を見る】現代の社会問題を親子の関係や家族の愛を通して描く『動物界』が初登場ランクイン!
■【ミニシアターランキングトップ5】(11月8日~11月10日)
1位『ロボット・ドリームズ』(NEW)
2位『動物界』(NEW)
3位『草原の英雄ジャロロフ~東京への道~』(NEW)
4位『パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX』(NEW)
5位『新居浜ひかり物語 青いライオン』(-)
今週、初登場で1位に躍りでた『ロボット・ドリームズ』は、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』(23)ともに第96回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされたスペインとフランス合作の話題作。動物たちが人間のように生きる1980年代のニューヨークを舞台に、ひとりぼっちのドッグと友だちロボットの友情とその脆さが描かれるが、注目すべきはセリフやナレーションがないところ。スペインの名匠パブロ・ベルヘルが、アニメーション映画初挑戦とは思えない鮮やかなタッチで“人生”という普遍的なテーマを丁寧に紐解いていて見逃せない。
続く2位の『動物界』は、人間が様々な動物に変異する奇病が蔓延した近未来を舞台に、人種差別、移民、ルッキズム、感染症など、現代の社会問題を親子の関係や家族の愛を通して描いた衝撃のアニマライズ・スリラー。動物に姿を変えた主人公の妻は凶暴な“新生物”故に施設に隔離され、彼の一人息子にも異変が現れるが…。果たして、この家族はどうなってしまうのか? ファースト・シーンから圧倒され、最後の最後まで目がスクリーンに釘づけに。観る者の想像力を刺激する、フランスの俊英トマ・カイエの才気を全身で体感することになる。
3位にランクインした『草原の英雄ジャロロフ~東京への道~』は、東京2020オリンピックのボクシングスーパーヘビー級で金メダルを獲得したウズベキスタンの国民的英雄、パホディル・ジャロロフの半生を描く感動のヒューマンムービー。2016年リオデジャネイロオリンピックで惨敗を喫し、代表の座を追放されたジャロロフが、周囲で渦巻く嫉妬や陰謀のなかで再起を図る姿が感動と興奮を呼び起こす。「キングダム」シリーズなどの加藤雅也が重要な役で出演している点にも注目したい。
このほか、4位には世界最高峰のバレエ団の最高傑作をIMAXカメラで初めて収録した『パリ・オペラ座「白鳥の湖」IMAX』が入り大健闘。実際の劇場鑑賞を凌駕する迫力の映像、圧倒的な没入感が幅広い層の観客を魅了したと思われる。
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ!11月15日(金)に公開される清水尋也と高杉真宙がW主演した青春バイオレンス・ムービー『オアシス』が注目だ。本作が長編デビューとなる岩屋拓郎が“ある事件”をきっかけに別々の人生を歩むことになった男たちの姿を描く。
公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!
文/イソガイマサト
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