現体制で最後となるClariSのツアー『ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~』が、10月26日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで幕を開けた。メンバーのカレンがツアー最終日である11月10日をもって卒業することもあり、昼の部では少し涙を見せるシーンもあったそうだが、夜の部は涙を見せることなく毅然とライブに臨んだ2人。決して万全ではなかったが、全曲最後までしっかり歌い切り、寂しさを胸に秘めながらも最後までClariSとしてあり続けようとした、2人の健気さに胸が締めつけられた。
今回は、東京・LINE CUBE SHIBUYA夜公演の模様をお届けする。
クララが前日のリハーサルで膝を負傷したため、座ったままでのパフォーマンスとなったツアー初日。しかし「楽しみにしていた方には申し訳ありません。このかたちでも最高のパフォーマンスができるように頑張ります!」と、気合いは十分に感じられた。
序盤は、活動当初に付けていた仮面を付けてパフォーマンス。「コネクト」では、会場に〈ハイ!ハイ!〉とかけ声がかかり、二人も腕を振り上げて観客といっしょに盛り上がる。「仮面ジュブナイル」では「サビでいっしょに踊ってください」と声をかけ、クララの「いくよ!」の合図で、手をヒラヒラさせるダンスが会場に広がり、「今日は最高の思い出を作ろうね!」と会場に呼びかけた。
セットリストは、最新作『ClariS ~SINGLE BEST 2nd~』に収録の楽曲を中心に選曲。「Prism」からは仮面を外してパフォーマンスし、二人の手と手でハートを作るなどで魅せた。「CLICK」ではセットの上下に分かれて歌い、サビの〈きっと〉や〈ずっと〉を全力で歌った観客。「SHIORI」は、カレンがクララの肩に手を掛けて、優しく寄り添う姿が印象的。「Brave」では、観客が振るグリーンとピンクのペンライトが、二人の全身全霊のステージを応援した。クララは上半身で精一杯楽曲を表現し、カレンはクララの分まで全力でダンスを繰り広げる。困難な時こそ発揮されるClariSの絆。お互いを補い合いながらのパフォーマンスは、まさしく「Prism」の歌詞〈二人でなら助け合って〉の通りだ。
『AUTUMN TRACKS -秋のうた-』の収録曲を一気に聴かせて魅せた「秋ソングメドレー」。クララのソロ「月のしずく」は、両手でマイクを握りしめながら、情感たっぷりに歌い上げたクララ。カレンは「思秋期」で、ステージに真っ直ぐ立ち、丁寧に同曲を歌い上げる。観客は二人の歌声に静かに耳を傾け、ClariSが作り出した秋の世界に心酔した。
ライブ後半戦は衣装チェンジし、うさぎと猫のカチューシャを付けてパフォーマンス。「以前はこういうのを付けてライブをしていた。だいぶ懐かしいです」とクララ。カレンの提案で、以降は仮面をステージ前に飾ってパフォーマンスすることに。
かけ声をかけながら会場が一体となった「ヒトリゴト」。ClariSの代名詞となった「ALIVE」ではブルーのペンライトで場内が一面青の世界に。一転会場が真っ赤に染まった「シニカルサスペンス」では、観客の〈フッフー〉との合いの手がこだまし、〈待って〉〈置いてかないで〉のセリフに会場が大歓声で沸いた。終盤戦は近年のシングルナンバーで畳みかける。妖しくもダークな世界観が広がった「Masquerade」、「ふぉりら」では「私たちにフォーリンラブしてくれますか!」と声をかけ、観客はサビの〈でもやっぱり好き〉の〈好き〉を絶唱。多彩な楽曲を立て続けに披露し、ClariSのカラフルな世界が次々と花開いた、
また「メモリアルメドレー」と題したコーナーでは、「今の私たちにピッタリな4曲を選曲しました」とクララ。「recall」と「陽だまり」はカレンが作詞を手がけ、「recall」の〈二人進む道が違っても帰る場所はずっと変わらない 「また逢おうね」笑顔でさよなら〉という歌詞は、まさしく今の二人の気持ちを表したもの。「陽だまり」には、〈「大丈夫。心の中には今まで集めた沢山の笑顔が咲いているから〉という歌詞があり、ファンを安心させるメッセージに感じられた。
本編の最後には、「私たちの思いを受け取ってください」とコメントし、『SINGLE BEST 2nd』のラストに収録の新曲「Evergreen」を披露した。会場はカレンのメンバーカラーであるパステルグリーンに染まり、優しいリズム、温かいメロディと共に、会場には柔らかい空気が流れる。〈この場所で交わした約束〉という歌詞では、小指で指切りを交わし、カレンがクララを抱きしめる。最後は二人が寄り添い、愛おしそうに頬を寄せ合った。
アンコールのMCでは、まだ終わりたくないといった雰囲気で、実に名残惜しそうにトークを展開した二人。卒業発表に至った経緯を話しながら「もう泣きそう」と涙を堪えたカレンに、会場から「頑張れー」と応援の声が響く場面も。「私はクララのファン第一号だから」「”クララの笑顔守り隊”の隊長だから」など、終始カレンらしい言葉でクララを気遣ったカレン。クララも「カレンには幸せになってもらわないと困るからね」と言い、最終的に「じゃあお互い末永くよろしくお願いします」とお辞儀をして、顔を見合わせて笑った二人。
最後には「まだ聴いていない曲がない?」とクララが呼びかけ、カレンが加入して最初のシングル曲「border」を披露すると、アッパーのバンドサウンドに乗せて、この日一番の盛り上がりに。タオルを回してクラップを響かせ、声を出して盛り上がった観客。最後に銀テープが発射され、華やかにライブが締めくくられた。
この日のライブは「カレンとの10年を振り返るセットリストを組んだ」とクララ。多くの曲に〈二人〉という言葉が入っていたことは印象的で、どの曲を聴いてもクララとカレンの微笑ましいワンシーンが脳裏によみがえるような選曲だった。「小学生で出会ってから20年以上、家族より長く一緒にいるからこその、ClariSの世界観がある」(カレン)。誰よりも固い絆で結ばれた二人が作りあげた、優しくて力強く、温かくて胸アツな、最高に楽しくてエモーショナルな世界。これから先もみんなの心に残り続け、ことあるごとに思い出されていくことだろう。
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◆10月26日(土)
「ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~」
@LINE CUBE SHIBUYA/夜公演
<セットリスト>
1.コネクト
2.仮面ジュブナイル
3.Prism
4.CLICK
5.again
6.Gravity
7.SHIORI
8.アネモネ
9.Brave
10.秋ソングメドレー
・秋のグラディエント
・風は秋色
・木枯しに抱かれて
・月のしずく
・思秋期
11.ヒトリゴト
12.Fight!!
13.シグナル
14.ALIVE
15.シニカルサスペンス
16.Masquerade
17.ふぉりら
18.アンダンテ
19.メモリアルメドレー
・recall
・君がいると
・アイデンティティ
・陽だまり
20.Evergreen
EN1.Clear Sky
EN2.PRECIOUS
EN3.border
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