11月13日(水) 11:30
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。先日、とてもうれしいことがあったので、まずはその話をぜひ、聞いてください。10月末に開催されたカヤバレジェンズオープンに出場した時のことです。
岐阜県の日本ラインゴルフ倶楽部を舞台にしたこの大会は、たくさんのボランティアさんにご協力いただいています。その中には、私が理事をしていた頃から、長い間ツアーでボランティア活動をしてくださっている方もいらっしゃいました。初日の朝、顔見知りのおひとりが「僕は今日、原田さんの組につくからね」とスコアラーをして下さったのです。そのきびきびした動きは、長年ツアー(レギュラー、ステップ、レジェンズ)を陰で支えて下さっている方ならではで、私はこの出来事にほっこりしたうれしい気持ちになり、元気にプレーできました。
2日間大会なので、その翌日、またまたうれしいことがありました。地元に貢献したい、という主催者のカヤバ株式会社様の御意向で、お近くの方がたくさん招待されていました。そんな中のお二人が、プレーを終えた私に声をかけてくださったのです。取り出されたのが、なんと私が現役時代に使っていた似顔絵入りのボールだったのです!
「原田さんが試合に出ている頃にもらったんです。これにサインをしてください」と言っていただいた時には「わー、うれしい」と心から言葉が出ました。「レジェンズに出てるのは知っていたんですけど、レジェンズは観戦ができないのでなかなかお会いできなくて」とも言われました。私が出場しているのをわかっていて見に来てくださったこと。昔のボールを大切に持っていて下さったこと。うれしいことだらけの一日でした。
一方で一つ、気になったことがありました。実は、ボールを持ってきてくださった方のお言葉の裏には、レジェンズツアーには、ギャラリーのみなさんに見ていただけない試合がある、という事情もあるのです。私は理事をしていたこともあるので、試合の裏側もよくわかっています。ギャラリーの方に入っていただくためには、費用がかかります。安全対策、トイレや食事ができる場所などの準備、駐車場やギャラリーバスなどの輸送…。賞金だけでなく、試合には必要な運営費の中にそうしたものが加わるのです。
けれども、やはりお客様にプレーを観ていただいてこそ、プロの試合だとも思います。私たちの様に年齢を重ねても、選手は観ていただいてプレーするとハリが出ます。レジェンズの選手からも、ギャラリーの方がいるとうれしい、という声をたくさん聞きます。
応援していただいて、声をかけていただいて、今回の様に時間が経っても覚えていていただける。トーナメント全体の中で起こる一つ一つの出来事が重なって大きな波になるのではないでしょうか。
ファンを増やす、それ以前に今、ファンでいてくださる方を減らさない。ゴルフを広げていくという意味でも、プロの試合を皆さんに知っていただくという意味でも、お客様の目の前でプレーすることは原点だと思います。その辺りをもう一度、考えられたらいいなぁ、と思います。レジェンズツアーは今年、6試合が開催されました。主催者の皆様には本当に感謝いたします。同時にレジェンズツアーをもっとみなさんに知っていただくための努力、アピールを考えないといけないと感じています。それは、今のレジェンズツアーのことだけでなく。将来にも影響することです。現在、レギュラーやステップで頑張っている後輩たちも、やがてはレジェンズの年齢になります。そのことを、現在のレジェンズの選手たちはよくわかっています。
カヤバレジェンズの翌日には千葉でプロアマのお仕事がありました。久しぶりに会う30代、40代の後輩プロたちと話をして感じたことは「それぞれが、それぞれの場所で頑張っているんだなぁ」ということです。
プロゴルファーの仕事は、試合でプレーすることばかりではありません。レッスンをしたり、ゴルフを広めたり、ゴルフを通じた社会貢献をしたりなど、本当に多岐にわたります。
私自身も、様々な立場でゴルフに関わり続ける中で、もっともっとみなさんに色々なことを伝えていかなくてはいけないことがたくさんあるなぁ、と改めて思いました。幸い、このコラムという機会も頂けているので、引き続き、色々と発進させていただくつもりです。お付き合いいただければ幸いです。