大会連覇を目指す「侍ジャパン」  井端弘和監督初陣のプレミア12を楽しむための6つの見どころと注目選手

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大会連覇を目指す「侍ジャパン」 井端弘和監督初陣のプレミア12を楽しむための6つの見どころと注目選手

11月12日(火) 16:55

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侍ジャパンは11月13日、連覇を目指すプレミア12の初戦でオーストラリア代表と戦う。台湾に移動して15日からは韓国、台湾、キューバ、ドミニカ共和国と対戦。ORグループA、Bの各上位2チームが東京ドームで4チーム総当たりで行なわれるスーパーラウンドに進む。

井端弘和監督は11月9、10日のチェコとの強化試合を終えた直後、本番に向けてこう話した。

「勝てたことに満足していますけど、この2試合でやりたいことがある程度、ひと通りできたかなと。そちらのほうが満足しています」

侍ジャパンは大会連覇に向け、10月29日の宮崎合宿から順調に調整を行なってきた。本稿では、プレミア12をより楽しむための6つの見どころを挙げる。

プレミア12連覇に挑む侍ジャパン・井端弘和監督photo by Sankei Visual

プレミア12連覇に挑む侍ジャパン・井端弘和監督photo by Sankei Visual





1.豪華投手陣は「高め」を有効活用できるか

侍ジャパンの先発投手は、以下のように予想される。

11月13日対オーストラリア/井上温大(巨人)

11月15日対韓国/髙橋宏斗(中日)

11月16日対台湾/才木浩人(阪神)

11月17日対キューバ/早川隆久(楽天)

11月18日対ドミニカ共和国/戸郷翔征(巨人)

今季後半にブレイクした井上が先陣を切り、台湾ラウンドでは球界を代表する投手たちが登板する。いずれもスピードボールを武器とするなか、注目は「高めの速球」の使い方だ。

近年、「三振をとれるボール」として知られているが、長打狙いでアッパースイングをしてくる外国人打者にはとりわけ有効になる。

11月9、10日のチェコとの強化試合では先発の?橋がストレートを捉えられることが多かったのに対し、3回を7奪三振で無安打に抑えたのが2番手の才木だった。井端監督は両者の違いを、こう話している。

「(?橋は)打たれているのがベルトの高さでした。外国人選手は力がありますし、あの高さは避けられれば。2番手で登板した才木投手は、高めを有効に使っていました。だから低めのストレートに手が出なかったので、ああいうピッチングを?橋投手もしてくれれば本番では抑えてくれると思います」

高めの速球をうまく使えば、日本の投手陣が武器とする低めの変化球も生きてくる。その意味でも「高め」の有効活用がポイントだ。

2.ジャパンの4番は?

井端監督に「4番」と指名された岡本和真(巨人)が故障で辞退。宮崎合宿中、井端監督は「決めつけが大きな過ちになることもよくある」と話し、打順の組み方をフラットに模索してきた。

チェコとの強化試合は「1番・桑原将志(DeNA)、2番・小園海斗(広島)、3番・辰己涼介(楽天)、5番・栗原陵矢(ソフトバンク)」を2試合ともにスタメン起用。プレミア12でもこの並びで、スタートするだろう。

チェコ戦で4番に据えたのが、初戦は牧秀吾(DeNA)、2戦目は森下翔太(阪神)。ふたりは中央大学の出身で、2歳上の牧が実績的には上と言える。

だが、チェコ戦では牧が6打数1安打だったのに対し、森下は9打数4安打。森下は11月5日の広島との練習試合からバットが振れており、チェコとの2戦目では初回に先制ツーランをレフトに放った。

「どこを任されても自分は変わらずやろうと思っています。4番になった時にチャンスが多いんだったら、そこでしっかり打つだけだと思います。自分は準備できている」

力強くコメントした森下の状態がよく、大会のスタートは4番に据えるのではないか。

一方、短期決戦では調子を見極めて柔軟に手を打っていくことも重要になる。今年のポストシーズンで勝負強さを見せた牧の打棒にも、期待したい。

3.切り札「代走・五十幡」をいつ投入するか

侍ジャパンの武器のひとつが「足」だ。なかでもスペシャリストとして招集されたのが、50m走で最速5秒6を誇る五十幡亮汰(日本ハム)。

11月10日のチェコ戦では無得点が5イニング続いた7回、先頭打者の牧がレフト前安打を放つと、井端監督は代走に五十幡を起用。代打・源田壮亮(西武)の打席で左腕投手の牽制に誘い出されたが、そのまま猛スピードで二塁へ。続けて完全にモーションを盗んで三盗を決めると、源田の二塁ゴロの間にホームへ生還した。

宮崎合宿中、井端監督は五十幡への期待をこう話した。

「彼は仕掛けられるところが強み。まずは行ってほしいなと思います」

もちろん、五十幡も自身の役割をわかっている。

「自分のアウトやセーフで流れが変わったり、試合の勝敗を分けるようなゲームも今シーズン、自チームで味わってきました。そういったものの大切さも自覚しています。(プレミア12では)プレッシャーはかかると思いますけど、かい潜っていけたらなと思います」

4.ピッチクロック対策は?

今回のプレミア12では、ピッチクロックが採用される。走者なしの場合は20秒で、走者ありのケースではなし。日本の投手たちにとって慣れないルールだが、投げてみてどう感じたのか。

11月10日のチェコ戦でも採用され、先発の早川はこう話した。

「ピッチクロックはそこまで気にせず(プレー)できました。そういう面ではサイン交換をもう少しスムーズにできればいいのかなと思います。サイン交換をしなくてもいいように、キャッチャーとのコミュニケーションをとっていけたらなと思います」

一方、11月5日の広島との練習試合で体験した井上は、こう語った。

「全然気にならなかったですね。二軍の時からずっとピッチクロックをやっているので。早いテンポで投げられたなと思います」

早いテンポと言えば、ひと際目立つのが北山亘基(日本ハム)だ。宮崎合宿中のライブBPでは投球間に10秒も要さないくらいの早さだった。

「変に考えて間延びしちゃうと悪くなるタイプなので。(サインを)決めたらすぐ動き始めるくらいのほうが余計なこと考えないので、かえっていいんじゃないかなと思っています」

11月9日のチェコ戦では相手打者が間合いの早さを嫌がり、打席を外す場面もあった。プレミア12の球場ではピッチクロックが表示されるなか、早いテンポでストライクゾーンにどんどん投げ込む北山のスタイルが際立つはずだ。

5.トラックマンデータを楽しむ

世界野球ソフトボール連盟 (WBSC) は今年10月、トラックマン社と提携を発表。今回のプレミア12でも、日本戦の中継でトラックマンデータが紹介される予定だという。

昨今、トラックマンやラプソードなどデータ活用は当たり前になり、宮崎合宿中でもそうしたシーンを頻繁に目にした。

11月3日、クライマックスシリーズファイナルステージ以来のブルペンに入ったのが、クローザーの大勢(巨人)だった。

「出力や、リリースが合っているか。トラックマンがあったので、自分が思い描いているとおりのボールになっているかを1球1球見ながらやりました。いい時のブルペンと比べて、200回転くらい足りていませんでした」

シーズン中、状態のいい時は2500回転(※1分あたりの数値)を記録するという。だが今季後半、フォームが崩れていたり、疲労がたまっていたりする時は、回転数が200〜300回転減少していた。

「そういう時は空振りより、ファウルやゴロが増えていました。シーズンを通して数字を維持できるような選手になりたいと思います。数字がすべてではないけど、数字から得るものもたくさんあるので、そういうことを参考にしています」

11月3日のブルペンで計測した際、エクステンション(ボールのリリース位置)は普段と同じだったという。

「投球モーションの始動からリリースまでに、どこかで崩れているんでしょうね。いい感覚では投げられていないので」

それから6日後の9日、チェコ戦では9回に登板し、最速155キロを計測して三者凡退に抑えた。調整は順調に進んでいるように見えるが、本番ではどこまで仕上げてくるのか。

トラックマンデータに注目すれば、こうした点も踏まえて観戦を楽しめる。

6.WBC代表入りを果たすのは誰か?

2024年9月、井端監督が2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)まで指揮をとることが発表された。今回のプレミア12は、WBC連覇に向けた道のりのひとつにもなる。

世界の頂へ、強い意欲を見せたのが辰己だ。10日のチェコ戦後にはこう誓った。

「WBCに出るために、国際大会で強いことをアピールしたい。(プレミア12で)大暴れして、必ずWBCに降臨したいと思います」

今季パ・リーグの最多安打を獲得した辰己をはじめ、2年後のWBCに向けて期待されるメンバーは多い。今回、追加招集された清宮幸太郎(日本ハム)もそのひとりだ。

「本当にチャンスだと思います。でも気負い過ぎてもと思うので、自分らしく、自分のプレーができるように準備できればと思います」

ショートでは前回のWBC優勝メンバーの源田壮亮(西武)が選出されている一方、22歳の紅林弘太郎(オリックス)も選ばれた。今季は136試合で打率.247、2本塁打と不本意な成績に終わったが、裏返せば、それくらい井端監督の期待が大きいということだ。

宮崎合宿の打撃練習では快打を連発し、11月5日の広島戦では3安打と気を吐いた。

「やっぱり試合に出たいので。出るためには、ほかの二遊間の選手と違ったところを見せたい」

右打ちもでき、長打も放てるのが紅林の魅力だ。源田という高い壁を越えて、どれだけ出場機会を得られるか。ハイレベルな争いがチーム力を高めるだけに、プレミア12連覇、そして2026年WBCへの道という意味でも注目される。

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