【写真】胸に「淫」の文字を縫い付けられ、移送中のハン・ガイン“ウォル”
キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品だ。第14話で描かれたのは、王であるイ・フォン(キム・スヒョン)とホ・ヨヌ(ハン・ガイン)が再び引き離されてしまう残酷な運命。8年前に起きたホ・ヨヌの死の真相に近付くようすなどを振り返る。(以下、ネタバレを含みます)
■拷問からは救われたが、追放されてしまうウォルの行く先は
大王大妃(テワンテビ)・ユン氏(キム・ヨンエ)に懇願したイ・フォンの行動によって、ウォルへの拷問は終了した。しかし呪いをかけたとする罪は免れたものの、王族を惑わしたとされる罪は消えない。そこでウォルは西活人署(ソファリンソ)に追放され、病人と風来坊の世話をさせられることになる。加えて、妖術を使えないように義禁府(ウィグムブ)による詳しい監視の目がつくことになるのだった。
イ・フォンはユン氏のもとを訪れて話をしていた。風邪に効く茶の紹介をされながら飲み、茶葉も寝かせると効果があがることをユン氏に似ているというイ・フォン。年をとっても力が衰えていないことを暗に伝え、そしてウォルの一件について感謝を伝えた。それを受けたユン氏は、イ・フォンは自分に借りを作った立場であるため、今後は自分からの願いを聞くべきであることを言い聞かせる。
臣下たちから、近い内に皆既日食があると知らされるイ・フォン。宮廷では王族が巫女に惑わされ、分別を失ったことで太陽の気が弱まったのだという根も葉もない言説が強まっている。ウォルは皆既日食の前日に追放が決まったことが告げられたほか、ヤンミョングン(チョン・イル)は懲戒処分にすべきだという意見がユン・デヒョン(キム・ウンス)から上奏された。ウォルを守るためとはいえ、何もかもがユン・デヒョン率いる外戚派の思惑通りだ。
イ・フォンはヤンミョングンの潔白は証明されたはずだと抵抗するが、ユン・デヒョンらはすでに兵を動かしていた。自宅に閉じ込められたヤンミョングンは誰の命令なのかを知らず、「王様、名ばかりの王子から自由まで奪う気ですか?」と強い憤りを覚える。小さなすれ違いの積み重ねが、2つの太陽をどんどん引き裂いていく。
夜、イ・フォンはウォルのもとを訪れていた。やっと自分の感情を理解したこと、そして他人を見ていたことを伝えるイ・フォン。ウォルを通して過去の女(ホ・ヨヌ)を見ていたことを認め、「もう離れてよい」と伝えるのだった。「最後に――言いたいことは?」恨み言でも良いと言葉を求めたイ・フォンだったが、ウォルはなにも告げずに頭を下げるのみ。
その場をあとにしたイ・フォンは、キム・ジェウン(ソン・ジェリム)に支えられながら「私を温かく癒やしてくれた女に私は…優しい言葉さえもかけられなかったのだ」と涙をこぼす。それでも守ったのだというキム・ジェウンの言葉にも、「深く傷つけたのだ。ウン(キム・ジェウンのあだ名)、これでも――守ったと言えるのか?」と涙は止まらない。そして残されたウォルは、冷たい牢のなかで「すべて私が耐えるべきことです。どうか――気弱にならないでください」と王に祈るのだった。
兵士にわいろを渡してウォルと面会したチャン・ノギョン(チョン・ミソン)は、服に「淫」の文字が入ったものを縫い合わされていたほか、傷だらけのウォルを見て痛ましい表情を浮かべる。亡き友人・アリと最後に会った場所がここであること、そして彼女にウォルを守ってほしいと頼まれていたことを明かすチャン・ノギョン。
話の途中、チャン・ノギョンは意を決して「今後、お嬢様におかれては別の試練に直面します」と語り出す。言葉遣いが変わったことに困惑するウォルだったが、チャン・ノギョンは続ける。何を守って何を捨てるべきかを知っているのはウォルだけであること、周りに答えを求めずに自分で見つけ出すべしと意味深なアドバイスを伝え、牢をあとにした。
■ウォル、そしてホ・ヨヌを巡って巻き起こる波乱
牢を出たチャン・ノギョンを、ソルは激しく糾弾する。ウォル――主であるホ・ヨヌのためにチャン・ノギョンに従い続け、ときにはウォルに嘘をついてまでいたソル。しかし結局苦境に立たされ、活人署へ送られてしまう現状に感情を抑えきれなかったようだ。掴みかかるソルにも動じず、「これもお嬢様の運命よ」と冷静に語りかけるチャン・ノギョン。じき真実が明らかになるときまで、ただ待ちましょうと促すのだった。
イ・フォンの付き人であるヒョンソンは、ウォルが西活人署に送られることをイ・フォンに伝えて「私は――雪だるまを作ってきます」と微笑む。「ただこれが最後でしょう」と語る言葉はすなわち、もう再会することが叶わないであろうウォルを見送ってはどうか…という優しい提案だ。西活人署へと兵士達に連れていかれるウォルを、イ・フォンは民衆に紛れて見送る。その目に深い影を落として。
王宮へと戻って来たイ・フォンは、王妃ユン・ボギョンに問題が起きたことを聞かされる。錯乱しているユン・ボギョンは自室の鏡を壊し、手に深い傷を負っていた。イ・フォンがユン・ボギョンの部屋を訪れて手当を始めたところ、ユン・ボギョンは突然「王様だけではありません」と語り出す。
「私にとって王様は、初恋の方なのですから。相手を失うことのつらさはご存知でしょう、なのに残酷です」と涙ながらに訴えるユン・ボギョンを、イ・フォンは虚ろな表情で抱き締める。イ・フォンは心中で「あまりにも過酷で悲しいではないか。わたしも、王妃もだ。そして兄上に加え、あの者も」とこぼしながら、泣きじゃくるユン・ボギョンの身体を支え続けた。
王族を惑わしたとして、移送中に村の者達から石を投げられるウォル。しかし門を出てひと目がなくなったところで、金と引き換えに謎の集団へ引き渡されてしまう。西活人署へ連行という刑をないがしろにしようという行為に「法を破るのですか?」と叱責するウォルだったが、兵士は「もっと恐ろしい法に従う」と彼女を強引に連行していく。
■怨霊受けを命じられたウォルのもとに現れた、幼い怨霊
夜、ウォルが連れて来られたのはなんと王宮だった。出迎えたのはユン氏からある命令を受けた男。ユン氏は隠月閣から聞こえてくる女の泣き声に困っており、王妃ユン・ボギョンもその影響を受けていると解決法を探していた。そこで1つの方法として男が提案したのが、巫女をいけにえにする“怨霊受け”。ウォルは儀式のいけにえとして選ばれたのだ。
厳重に閉じ込められ、怨霊を慰めるよう命じられたウォル。脱出を試みるが、部屋は数々の呪符によって封じられている。以前耳にした“隠月閣から聞こえる女の泣き声の噂”――若くして暗殺された世子ピン、ホ・ヨヌの話が頭を過るウォル。「私が慰める怨霊は…あの方ですか?」王の心に残っているという世子ピンとの思わぬ巡りあわせに、ウォルはただじっと立ち尽くす。
怨霊受けをすべく部屋で寝転がったウォルは、幼いホ・ヨヌが部屋に現れていることに気付いた。その背中へ「どうして泣くのですか?ひょっとして、王様が恋しいのですか?」と質問を繰り返すウォルに、ホ・ヨヌがゆっくりと振り返る。しかしようやく見えたその顔は、幼き頃の自分自身だった。
同時刻、イ・フォンは皆既日食という“太陽が欠ける”現象を前に儀式に臨む。太陽とはすなわち王のこと。王の不道徳によって太陽が欠けるという言説に従い、反省を表すという儀式だ。しかし皆既日食とはつまり、月が太陽を隠す現象。決して出会わないはずの太陽と月が、奇跡的に重なる瞬間でもある。
陰謀によって引き離された太陽と月が再び重なった瞬間、ウォルの脳に突如としてホ・ヨヌとしての記憶が奔流のごとくよみがえっていく。巫病にかかって父母に抱えられながら死を迎えたこと、その場にチャン・ノギョンもいたこと、そしてイ・フォンとの出会いと別れ…。すべての記憶を取り戻したウォル――ホ・ヨヌは、これまでイ・フォンと残酷すぎるすれ違いを起こしていたことを知る。身悶え、悲鳴をあげるのだった。
そしてイ・フォンも王族の行事として儀式をおこなうなか、ある考えにたどり着く。毒殺でも他殺でもなく、身体を害し命を奪う…ホ・ヨヌが迎えた死の様相は、紛れもなく自身がかけられた“呪い”によるものなのではないか。儀式を終えて部屋に戻ったイ・フォンは「最高の霊力を持つチャン氏なら答えをくれるだろう」と考え、「星宿庁の国巫を呼べ」とヒョンソンに命じる。
ウォルが怨霊受けのために閉じ込めた男が翌朝ようすを確認しに行くと、そこには生きたままのウォル――ホ・ヨヌが。怨霊を鎮めたのかと問われた彼女は、「あの者は…もう泣きません」と毅然とした態度で答えるのだった。
■2つの太陽が共に陰る中、光を取り戻す月
皆既日食という「太陽と月が重なる」運命的な天体現象を用いて、ウォルの記憶が戻ったシーンを描く第14話。演出と脚本の秀逸さに、大きなカタルシスを感じる回となった。
しかし問題はまだまだ山積している。ユン氏に明確な借りを作ってしまったイ・フォン、立場としては罪人のままであるホ・ヨヌ、ヤンミョングンはイ・フォンと決定的なまでにすれ違ったままだ。
過酷な運命に多くの人間が翻弄され続けるなか、この先逆転の道をどのように切り開いていくのか。「太陽を抱く月」はHuluにて全20話が配信中だ。
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