子どもの“教育”のため、家族4人で海外移住。金銭面で直面した“思わぬ落とし穴”とは

子どもの“教育”のため、家族4人で海外移住。金銭面で直面した“思わぬ落とし穴”とは

11月10日(日) 8:44

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こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

近年、我が子のためにより良い教育環境を求め、家族で海外に移り住む「教育移住」に注目が集まっています。とはいえ、海外に生活拠点を移すとなると、仕事やお金の問題は無視できません。リモート勤務が増えたとはいえ、企業によっては、海外在住でのリモート勤務を許していないケースも多いとか。

こうした問題を乗り越え、2023年12月からマレーシアのペナン島で生活をしているのが、今回お話を聞いたねこ田さんです。ねこ田さんは、自身のInstagram(@necolife_penang)で移住の経緯やマレーシアでの生活のようすを漫画で紹介しています。

夫婦は、約半年の準備期間で渡航されたとのことですが、お金と仕事の問題はどう解決していったのでしょう。

移住のために夫婦は退職&転職!ねこ田家的キャリアの考え方



もともと、夫婦はともにゲームのデザイナーとして働いていました。ねこ田さんは出産後もフルタイム勤務を継続していたため、コロナ以前はかなり激務だったとか。そこからコロナ禍となり在宅勤務へと切り替わり、改めて自分の働き方や子どもとの接し方、時間の使い方などを見返す時期に突入しました。

その流れで海外教育移住を決めたわけですが、移住のタイミングでねこ田さんは会社を退職。旦那さんは海外からのリモート勤務の許可が下りる同業種へと転職をしたといいます。

一般的に、複数の大きな環境変化が同時に起きることは、精神的な負担もかかるため避けた方がいいといわれています。居住地と仕事の変化が同時に来ることは負担も大きそうですが、実際のところはどうなのでしょう。

「転職と移住を同時に行うことのリスクは、そこまで考えていませんでしたし、現時点での体感としても、あまり負担が増えたようには感じていません。夫はゲーム業界内の同職種での転職ですし、この業界は別の会社に移っても、基本的にやることは同じです。海外でのフルリモート勤務が2年という期限も(夫はデジタルノマドビザという最大2年まで延長可能なビザで滞在中)、夫の気持ちが続く理由かもしれません。

私はというと、当初は渡航のタイミングで現地採用の仕事を探して働くつもりでした。しかし移住の理由の一つは、生活を変えて子どもと向き合う時間をしっかり取ることだったので、共働きが継続するとそれが叶わないと感じ、やめました。現在は、一旦キャリアを中断し子どものサポートをしながら専業主婦をやっていますが、帰国後は、もう一度同業種での就職活動を行う予定です」

子どもの英語力向上のために海外教育移住へ。じゃあ親は?



ねこ田さんはもともと帰国子女というバックグラウンドのため、英語学習で苦労したことはないそう。移住生活においても不自由ない語学力を持っています。海外教育移住のハードルとして言われることの一つは、親の語学力の問題です。

筆者もいつか海外へ教育移住をしてみたいなと夢を描きつつも、自分がまったく英語ができないため、準備も含めて現実的ではない気がしています。この問題をぶつけると、意外にも「親の語学力はなくても大丈夫」と力説します。

「周りにも、親御さんの語学力ゼロで移住してきた家族が多くいます。手続き関係が心配ならばエージェントを頼ることもできますし、現地入りした後も一定期間サポートを申し込むこともできます。またエージェントに頼らずともネット上にはたくさん情報がありますし、オンラインでのやり取りはGoogle翻訳で乗り切れます。

語学力ゼロと言いつつも彼女たちのコミュニケーションを見ていると、語学力よりも”パッション”で乗り切っているなと感じますね。皆さん独自のやり方を編み出していて、例えばChatGPT(AIによるテキスト生成ツール)を使ってコミュニケーションを取っている方もいます。大事なのは英語が話せることよりも、どんどんコミュニケーションを取ったり人と繋がったりしていく勇気だと感じさせられます」

ママ友コミュニティはどんな感じ?



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日本でママ友などのコミュニティにガンガン突っ込む人がいると、白い目で見られることも少なくありません。しかしマレーシアではそういったことはなく、むしろ多くの親御さんは、積極的すぎるくらい、現地での繋がりを取っていく傾向があるといいます。

「ママ友という響きには、ネガティブなイメージを持たれる方もいるかもしれません。でも海外生活の場合を言えば、よっぽど抵抗感がなければ、作っておくに越した事はないと思います。いざとなったら助け合える味方は、多いに越した事はないからです。みなさんこの点は共通認識があるようで、英語力の有無にかかわらず、本当に積極的に交流を取ろうと頑張る方が多いです。

私はInstagramでマレーシア移住生活を漫画にして発信していますが、そこにダイレクトメッセージで『今度ペナンに行くんですが、どの辺に住んだらいいですか?』みたいな質問をいただいたり、親御さんの積極性に驚くばかりです」

現地では、学校や地域の情報が親同士のコミュニケーションから入ってくることが圧倒的に多いといいます。子どもの現地生活を快適にする努力として、親たちとの交流も一つの役目なのかもしれません。

マレーシアでの学費はお得?実は思わぬ落とし穴も



海外移住を叶えるためには、避けて通れないのがお金の問題です。マレーシアはインターナショナルスクールの選択肢が多いと同時に、日本に比べて物価が安いのが特徴。それが海外教育移住の地として人気の理由でもあります。

ねこ田さんは移住の準備期間が半年だったため、特別なお金の準備はできなかったといいますが、現地での生活費はどのようなものなのか。まずは教育費から聞きました。

「我が家はまとまった貯蓄はあったものの、準備期間が短かったので、お金の準備はできずに渡航しました。渡航時期が12月だったのは、せめて住民税が一番お得な時期にしようという考えからです。

移住には多額の教育貯金が必要だと思われるかもしれませんが、マレーシアに関して言えば、用意すべきお金はどの価格帯の学校に通わせたいかによります。日本でインターナショナルスクールに通う場合、年間200万~300万ほどはかかると思いますが、マレーシアなら、安い学校は年間50万円以下で通えます。

ただしマレーシアの場合、これも学校によりますがいわゆるインターナショナルスクールは日本の学校に比べてあまり勉強を詰め込んだりせず、宿題もたくさん出さない学校が多いんです。学習スピードも緩やかなので、だいたいの家庭が塾やチューター(家庭教師的な存在)を雇ってサポートを入れていますね。我が家も9歳の長男は週3日、5歳の次男は週4日と、塾に通っています」

5歳で週4の塾通いと聞くと、多いと感じる人もいるかもしれません。しかしこれは、学童も兼ねたような場所で、日本で想像される塾とは異なる場所なのだとか。

物価の安いマレーシアでの生活はお得なのかどうか?



「マレーシアに渡航すると、物価が安いから日本よりコストを押さえて生活ができるイメージを持たれますが、実際は全然そんなことはありません。また、その国ごとに相場や掛けたほうが良い部分は違うので、結局総合するとそんなにお得にはなっていないように思います。

具体的に言うと、マレーシアでは家賃が安く、ジムやプール付きのコンドミニアムなら6~9万円程度で住むことができます。高くても家賃はせいぜい15万程度ではないでしょうか。ここだけ聞くと安いと感じるかもしれませんが、日本と同じような日用品を買おうとすると、価格帯は日本と同程度です。またインターナショナルスクールの学費は日本よりも安いですが、塾などの補習が必要です。総合すると、日本で公立校に通わせるよりはるかに高額です」

余談として、インターナショナルスクールは長期休暇が長いため、レジャー費も日本にいた時よりもかかると教えてくれました。

「生活費の概算を出す場合は、希望する学校の学費をHPで確認し、それに現地のおおよその家賃と、日本と同程度の生活費を合算した金額が、だいたい1年で必要な金額だと思っていただくと良いですね。とはいえ、1年たって振り返ると、なんだかんだ概算として出した金額の1.5倍くらいかっているイメージではありますが(笑)。

よく『世帯年収いくらだったら海外教育移住できますか?』みたいな話が出ますが、お話しした通り、教育費の割合が大きいので、学校選びをどこにするかで大きく変わっていきます。

ただ、お子さんが小学校入学前であれば、費用はそれほどかかりません。あくまでも私の肌感覚ではありますが、例えば世帯年収1000万円などでなくても、行けるように感じます。一方で、子どもが3人いて全員中学生以上だと、2000万円近く世帯年収がないと厳しいかも。子どもが何人いて、どの価格帯の学校に入れて、何年マレーシアで過ごすのか次第でも、金額は変わります。軽くネットで調べるだけでも概算はできるので参考にしてみてください」

海外移住による“大人側のメリット”も



お金の話に胃がグッと縮こまる感覚ですが、こうしたハードルを超える意味は、大人でも十分あると、ねこ田さんは力説します。

「海外への教育移住の経験は、親である私達にとっても大きなプラスになってることは、お伝えしたいです。大人になると生活スタイルは固定化されるので、そこを変えるのって難しいですよね。海外に拠点を移すことで、環境が変わり、ルーティンが変わり、日々が本当に濃密になります。リフレッシュとは違うのですが、まったく違う環境で人生経験が積めるのは、この歳からでも非常にメリットを感じます。

あと、帰国後に日本の環境にもし馴染めなくても、『また別の国で暮せばいいか』といった広い視野で考えられるのも大きいです。1回振り切ることで、キャパが大きくなるイメージですね」

海外生活は、子どもも大人も学びが大きいのは間違いなさそう。とはいえ、仕事やお金は計画的にいきたいところです。

【ねこ田】
2023年末よりマレーシアはペナン島に教育移住中。9歳5歳の子どもたちは現在現地のインターナショナルスクールに通っています。教育移住のあれこれをInstagram(@necolife_penang)にて配信中。

<取材・文/おおしまりえ>



















【おおしまりえ】
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518

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