11月9日(土) 7:30
<伊藤園レディス初日◇8日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6769ヤード・パー72>
10位で終えた7月「大東建託・いい部屋ネットレディス」以降の11試合で、9度の予選落ちと苦しい時間を過ごしてきた上野菜々子。その手に握られる“渋めのパター”が、そんな24歳を上昇気流に乗せるきっかけになった。
初日を終えて、首位と2打差のトータル6アンダー・3位タイ。「ショットがめっちゃ良くてピンをさしていました」と声も弾む。前半の11番からは6連続バーディを奪ったが、これもいずれも3メートル以内につけたもの。グリーンが軟らかく、ピンをデッドに狙えるため「どの番手でも狙っていけるので、気持ちが楽。もともとピンをさすゴルフが好き」と、そのスタイルとかみ合った。
予選落ちが続いた時期もショットには手応えを感じていた。しかし、大きな問題になっていたのがグリーン上。「パッティングが不調で悩んでいました」というが、最近は改善の跡が見られる。「パターを替えました」。これが効いた。
現在使用しているのは、クラブ契約を結ぶPINGのL字型マレット『スコッツデール TRパターシェイ H』。2013年に発売されたこの「ちょー古いやつ」を手にしたきっかけは、「ネットで中古を探して買いました。いい状態のものをずっと探して」。お眼鏡にかない1万円ほどを支払いゲット。もともと「ゴルフショップに行ってクラブを漁るのが大好き」という上野は、そのなかで握ったL字型がしっくりきたことが記憶に残っていたこともあり、今回“ポチっと”したという。
これをPINGの担当者に調整を依頼し、日本シャフトのアイアン用シャフト『モーダス3 115』をリシャフトして装着。今年4月頃には用意できたものを取り出し、10月の「マスターズGC レディース」から使用している。「この2~3カ月で5種類くらいのパターを試したんですけど、なかなかハマるものが見つからず。私は見た目から入るタイプで、ハマってくれました」。今大会初日も全体5位タイの『26パット』を記録した。
「思ったところに打つのが基本だけど、それができていなかった。でも、パターを替えてからできるようになってきました。あと距離感やラインに乗せる乗せないは打ち出しが大事。そこも良くなってきました」。それが自信にもつながっている。
現在メルセデス・ランキングは81位。初シードへ土壇場という状況のなか、“一発逆転”のチャンスが来た。ただ本人は、「そういうことを考え出して、パターで手が動かなくなったり、ここ2カ月は苦しかった」と話す。今は「プライベートラウンドみたいに、気軽にピンを狙って『いっぱいバーディを取ってやるぞ』という気持ちで臨む」ことを大事にしている。すると、実際に「樋口久子 三菱電機レディス」で6試合連続予選落ちを断ち切り、19位タイという結果も残した。
一桁順位での発進は、4月の「フジサンケイレディス」の2位タイ以来で今季2度目。ただ「スコアよりも楽しく、いつも通りラウンドできればいいな」と残り2日も目指すところは同じ。自ら探し出した相棒パターとともに、2日目も“いっぱいバーディ”を狙う。(文・間宮輝憲)