ハリウッドも虜にしたゴジラの魅力、海の向こうでデザインは変われど人間に媚びることない孤高の怪獣王<「モンスター・ヴァース」シリーズ>

「GODZILLA ゴジラ」より/(C)2014 Warner Bros. Entertainment Inc., Legendary and Ratpac-Dune Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ハリウッドも虜にしたゴジラの魅力、海の向こうでデザインは変われど人間に媚びることない孤高の怪獣王<「モンスター・ヴァース」シリーズ>

11月9日(土) 10:00

「GODZILLA ゴジラ」より
【写真】ゴジラVSキングコング、大迫力で飛び込む日米の怪獣頂上決戦

今年で誕生から70周年を迎えた「ゴジラ」。日本が誇る怪獣王はハリウッドで実写化されるまでに至り、2014年の「モンスター・ヴァース」シリーズ第1作「GODZILLA ゴジラ」ではハリウッド版のスタイリッシュなゴジラが誕生した。BS12 トゥエルビ(BS222ch)の「ゴジラ日曜劇場」では、その「モンスター・ヴァース」シリーズの「ゴジラ」を11月10日(日)より3週連続で放送。ここで放送に先立ち、誕生からのゴジラの進化と、ゴジラと人間との関係性を考えてみたい。

■怪獣界のトップスター、ゴジラへの悲しき片想い

今でこそ怪獣は広く認知されている存在だが、その始祖は田中友幸、本多猪四郎、円谷英二、伊福部昭という特撮界のレジェンドが生み出したのがゴジラである。本記事を執筆するにあたって初作「ゴジラ」(1954年)を観返してみたが、ゴジラの着ぐるみ感は拭い切れないものの、未知の怪獣がもたらす恐怖を見事に表現するカメラワークに驚かされた。岩石のようなゴツゴツとした顔、家屋を踏み潰す巨大な脚をアップで捉えたり、巨体を見上げるようなアングルで捉えたりすることで、ゴジラの大きさと圧倒的なパワーが十二分に伝わってくる。

ゴジラは海底洞窟で眠っていたが、水爆実験によって目覚めてしまった古代生物として描かれている。海上に姿を現したゴジラは、日本に上陸し、思うさまに街を蹂躙し始める。最近では人間の味方のようなイメージを持たれつつあるが、第1作目から、ゴジラは人間に協力する姿勢を見せたことは一度もない。ゴジラに愛着を抱くのは、実は「ゴジラ」を応援する人間たちの悲しき片想いなのである。

■「GODZILLA ゴジラ」に込められたエドワーズ監督のゴジラ愛

ゴジラ登場後は、日本に空前の怪獣ブームが訪れる。スクリーンには競うように多数の怪獣が現れたが、ゴジラは常にトップの座に君臨する。1998年には「GODZILLA」としてハリウッドに進出し、2014年には初代「ゴジラ」のリブート作品である「GODZILLA ゴジラ」が公開される。監督に抜擢されたのは、日本のサブカルチャーをこよなく愛するギャレス・エドワーズ。CGで描かれたゴジラは頭が小さく、骨太のがっしりとした体形で、本家日本版のゴジラに比べてスタイリッシュな印象だ。
「GODZILLA ゴジラ」より


このときのゴジラはデザインこそ今風に洗練されているが、人名やストーリーの至るところに本家「ゴジラ」へのリスペクトが感じられる。例えば、渡辺謙演じる芹沢猪四郎の名は、「ゴジラ」に登場した薬物科学者・芹沢大助の苗字と、「ゴジラ」を監督した本多猪四郎の名前を組み合わせたもの。ストーリー上ではゴジラが眠っていた海底洞窟が大きな意味を持つなど、往年のゴジラファンが思わず膝を打つ要素が散りばめられているのだ。また、ギャレス・エドワーズは過去のインタビューで、ゴジラに対して武器を発射していない者だけが生き残ると語っており、ゴジラと人間の関係性を考えさせられる作品ともなっている。

さらに「GODZILLA ゴジラ」の続編となる「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(2019年)では、ゴジラに加えて世界各地に点在するラドン、モスラ、キングコングなど巨大怪獣が登場。中でも“モンスター・ゼロ”と呼ばれるキングギドラは凄まじい力を持つ最強宇宙怪獣として描かれ、怪獣王ゴジラとキングギドラの戦いが瞬きを忘れるほどの圧倒的なスケールで描写されている。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」より


■日米の二大モンスターが激突、メカゴジラの登場も見逃せない「ゴジラvsコング」

ハリウッドのゴジラ映画で異彩を放っているのが、ゴジラとキングコングがW主演する「ゴジラvsコング」(2021年)だ。日米共同プロジェクト「モンスター・ヴァース」ならではで誕生した本作では、秘密機関モナークがキングコングを南極へ運ぶ途中にゴジラが襲来。日米が誇る二大モンスターの激突という、特撮ファン垂涎ものの戦いが展開される。人間に対して友好的なキングコングと、人間を脅威に陥れるゴジラというカップリングがどのようなドラマを生み出すのか。ぜひともその目で確かめてほしい。

詳しいストーリーは伏せるが、本作には「ゴジラ対メカゴジラ」(1974年)で初登場したメカゴジラも登場する。もともとは宇宙人が造ったロボットだったが、「ゴジラ×メカゴジラ」(2002年)ではゴジラの骨から生み出され、「ゴジラvsコング」ではキングギドラの頭蓋骨がベースとなっている。そのため、外見も本家日本版のメカゴジラとは大きく異なっているのが面白い。

【写真】ゴジラとキングコング、大迫力で飛び込む日米の怪獣頂上決戦。「ゴジラvsコング」より


■今も昔も変わらぬ、人間を恐怖させる怪獣王というスタンス

モノクロ映画で初めて姿を現した大怪獣は、特撮初期の着ぐるみ時代を経て、よりリアルに、よりスタイリッシュに変身を遂げてきた。しかし、天災のごとく街と人間を蹂躙する、恐怖の使者というスタンスは連綿と受け継がれている。それはハリウッド映画においても変わることなく、畏怖の念と共に長く愛され続けるゆえんともなっている。

BS12 トゥエルビ(BS222ch)の夜7時「日曜ゴジラ劇場」(全国無料放送)では、「モンスター・ヴァース」シリーズの「GODZILLA ゴジラ」「ゴジラ キング・オブ・モンスター」「ゴジラvsコング」を3週連続放送。最新の映像技術で描かれたゴジラの雄姿と人間を脅かす強大なパワーをこの機に体感してみてはいかがだろうか。

◆文=豆山しば
「ゴジラvsコング」より



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