新しいクリスマスムービーの誕生『レッド・ワン』など週末観るならこの3本!

サンタ奪還ミッションに挑む2人の男の奮闘を描く『レッド・ワン』/[c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED IMAX[R] is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby

新しいクリスマスムービーの誕生『レッド・ワン』など週末観るならこの3本!

11月9日(土) 14:00

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
【写真を見る】サンタに加え、しゃべるシロクマや雪だるま、クランプスも登場(『レッド・ワン』)

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、ドウェイン・ジョンソンとクリス・エヴァンスのタッグがサンタ奪還に挑むアクション、自由死を選んだ母の本心を探る青年の物語、孤独なドッグとロボットの友情を描くアニメーションの、バラエティ豊かな3本。

■めくるめく展開で楽しませてくれる…『レッド・ワン』(公開中)

【写真を見る】サンタに加え、しゃべるシロクマや雪だるま、クランプスも登場(『レッド・ワン』)

一足早く、ぶっ飛んだクリスマスがやって来た!世界中の子どもたちがサンタクロースからのプレゼントを期待して待っているクリスマス・イブの前日。“レッド・ワン”ことサンタクロース(J・K・シモンズ)が何者かにさらわれてしまった!?このままでは子どもたちにプレゼントが届かない…。そこでサンタクロース護衛隊の隊長、カラムは、世界一の追跡者で金のためならどんな仕事でも請け負うジャックと手を組むことになり、世界を股にかけたサンタ救出作戦が繰り広げられていく。

ムキムキのサンタクロースに近未来感あるハイテクなソリ、おもちゃの車を本物にしてしまうガジェットも登場。雪だるまの兵士、“クリスマスの悪魔”ことクランプスといったクリーチャーたちとのバトルなどアクションもあり、めくるめく展開で楽しませてくれる。

そんななかで注目したいのが、ドウェイン・ジョンソン演じるカラムとクリス・エヴァンス扮するジャックの凸凹コンビ。そもそもサンタが誘拐された原因はジャックにあり、カラムは彼を信用していない。ジャックも無理やりに駆りだされている。そして、カラムは自分勝手に振る舞う現代人の姿を目の当たりにして自身の仕事に対する疑問を持ち、ジャックにしてみれば幼い頃から夢や希望といったものに全く縁がなかった。そんな2人がサンタ捜索の冒険を通して、大切なものを取り戻していく、ベタだけど不思議と胸に染み渡っていく温かいドラマにグッとくる。『ホーム・アローン』(91)や『ジングル・オール・ザ・ウェイ』(96)のような作品群にも通じる新しいクリスマスムービーの誕生だ。(ライター・平尾嘉浩)

■田中裕子のすべてに目も耳も吸い寄せられる!…『本心』(公開中)

母の本心を知るため、仮想空間に母をよみがえらせた息子が主人公のヒューマンミステリー『本心』

近年ますます創作意欲をたぎらせている印象の石井裕也監督が、主演の池松壮亮に映画化を打診され、平野啓一郎の同名原作を映画化。母を亡くした青年、朔也が、母はなぜ生前に“自由死(ほぼ安楽死と同意)”を望んだのか知りたくて、仮想空間上に任意の生物を作る新技術“VF/ヴァーチャル・フィギュア”で母を蘇らせる、という物語。大筋は原作とほぼ同じだが、映像がボンと目に飛び込んでくるため、良くも悪くも本筋以外のエピソード―益々悪化した格差や分断の実態、リアルアバターとして働く朔也が日々味わう理不尽、街に転がる差別、益々進化したAI技術まわり―の方が、より強烈に脳裏に焼き付く。

朔也が街を疾走するように色んな出来事が押し寄せ、なにがどうなるのか興味は途切れないが、それも相まって若干、焦点が散った印象も。原作の舞台2040年から、現在の何年か先の未来に設定を移したせいか、既に認められた“自由死”というテーマへの投げかけや考察も薄まり、それが微妙な違和感を覚えさせるせいもあろう。朔也を演じる池松、生身の母親とVFの母親を演じる田中裕子をはじめ、豪華キャストの演技は見応えあり。とりわけベテランの田中の声音といい表情といい、生身とVFの微かな差といい、そのすべてに目も耳も吸い寄せられる!(映画ライター・折田千鶴子)

■温かな希望も感じられる秀作…『ロボット・ドリームズ』(公開中)

ニューヨークを舞台にドッグとロボットの友情を描きだす『ロボット・ドリームズ』

舞台はニューヨーク。登場キャラクターは(都会の人種の多様性を表すかのような)擬人化された動物たちと、通販で買える友達ロボット。セリフはない。その代わり、言葉以外のもので伝えられる表現はめいっぱい詰め込まれている。カラフルでかわいらしい絵柄で語られるのは「出会いと別れと再生」という、誰もが身に覚えのある出来事だ。都会の孤独と人恋しさを、お金で買った友達ロボットで埋め合わせ、束の間の幸福を手に入れる主人公ドッグの姿には、身近な寓意を感じずにはいられない。純真無垢なロボットも、きちんと人格を持つパートナーとして描いているところが重要なポイントだ。そして、このあとに訪れる「別れ」のあとの展開こそが、この映画の真骨頂。

人は人を見捨ててしまう、忘れたふりをして生きていく、もっと大切にすればよかったと後悔する…。けっこう残酷な人生のリアリティを描いてもいるので、観ながらいろんな実体験の記憶がフラッシュバックしてしまう観客もいることだろう。だが、本作が最終的に投げかけるのは「前に進もう(Move On)」というメッセージ。かすかな胸の疼きとともに、「それでも人生は美しい」という温かな希望も感じられる秀作だ。手描きの味わいにこだわったアニメーションには、シンプルな描線のなかにキャラクターの愛らしさ、物理的&動物的なリアリティ(特に小鳥の一家!)を感じさせる芸の細かい描写も多々あり、作画ファンも必見。(ライター・岡本敦史)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼


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