【漫画】虐待を受けて育った母親が、我が子にも虐待をしてしまう負の連鎖に「こういう連鎖はしんどい」の声

我が子の胸ぐらを掴む母親/画像提供/鈴木マサカズさん

【漫画】虐待を受けて育った母親が、我が子にも虐待をしてしまう負の連鎖に「こういう連鎖はしんどい」の声

11月9日(土) 9:00

我が子の胸ぐらを掴む母親
【漫画】親から子に繋がってしまう、あまりにも悲しい虐待の連鎖に「母親はあの日の里香だ。」の声

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、くらげバンチで連載中の『それでも、親を愛する子供たち』に収録されている『母親に命令されビールを盗んできた結果』を紹介する。作者の鈴木マサカズさんが、8月15日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.1万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、構成担当の鈴木マサカズさん、作画担当のうえのともやさんにそれぞれインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

■虐待をされて育った子の母親も虐待を受けていた…
『母親に命令されビールを盗んできた結果』(6/29)


サニーベル学園・園長の徳川と副園長・加門は、刑務所の前に立っていた。徳川と加門は「実の父親は誰かわからない……」「母親は刑務所店……」「里香は親ガチャのなかでも最悪を引きましたね」と、保護した少女・里香の母、なみえについて思いを巡らせていた。

ただ、最悪な状況なのは、里香だけではない。サニーベル学園にいる子供たちのほとんどがまともではない親の元で暮らしていた過去を持つ。また、里香の母親であるなみえも、あまり恵まれていない環境で育っていた。

なみえは幼い頃「なみえぇ!!ビールがないぞ!!ビール!!」と、ものすごい剣幕で母親に迫られていた。母親のあまりの迫力に「わかった…」と断りきれないなみえ。

ビールを買うため、母親に「お金……」となみえは小さく呟く。すると母親は「んなもん、盗ってくりゃいいだろ。いつもみたいによ」となみえの胸ぐらをつかむ。「はい…」となみえが小さい声で返事をすると、「バレてとっ捕まるんじゃねーぞ」と念をおす母親。

なみえは、「ただいま……」「ビール……盗ってきたよ」と満面の笑みで帰宅した。しかし、母親の反応は…。

この漫画を読んだ人たちからは、「母親はあの日の里香だ。」「こういう連鎖はしんどい」「それでも親がいい。それが子。」「幸せは自分の見ている視点よりも難しい」など、多くのコメントが寄せられている。

■ミリ単位の試行錯誤の末に描かれた、渾身の悲しい表情
『母親に命令されビールを盗んできた結果』(9/29)


――『母親に命令されビールを盗んできた結果』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

鈴木:原作は押川剛氏なのできっかけというものはありませんが、この回の回想に関してはこちらが追加のシーンとして膨らませまして、押川氏の意見も擦り合わせた結果こういったものとなりました。

――ビールを盗んできた時のなみえの笑顔が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

鈴木:ここの表情に関しては「決め顔」ですので、作画のうえのくんとミリ単位の試行錯誤を繰り返し、とても納得のいく「かなしい表情」になったと自負しています。他にも、とにかく表情に関しては一工夫二工夫しているはずなので、ぜひじっくり見ていただければと思います。

うえの:なみえの笑顔はこの回でも特にこだわったところです。善悪の区別がつかない子供がお母さんを喜ばせるために万引きをし、それを成功させたなみえは当然褒めてもらえると思って家に帰ってきます。なので、これ以上ないくらいの満面の笑みになったかと思います。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

鈴木:やはり「ビールを盗んできた時のなみえの笑顔」からの「母親の激高」の流れや、1巻のヒキでもある27ページの母親の表情。物語のキモであるこのあたりのシーンは押川氏の生み出す台詞ものっているのが伝わってきます。

うえの:ラストシーンで大人になったなみえの恐ろしい表情は、子供時代の笑顔との対比として印象的に描けたかと思っています。親から子供へ、その子供が親となりまた子供へ連鎖してしまう、この回の象徴となるシーンです。

――鈴木さんがネームを担当されているとのことですが、普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。

鈴木:職業病だと思いますが、常日頃から人間観察は欠かせません。この前も街中で宗教勧誘のおばあさんに結構なパワーで話しかけられたのですが、話よりも何よりも、熱弁するおばあさんの「目」をじっくり観察してしまいました。

――うえのさんが作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか。

うえの:やはり一番は人物の表情です。とくに視線です。どんなにリアルなタッチで人物や背景を描いても、視線がずれていたり表情が伴っていないと絵の全体が台無しになってしまいます。ここは構成の鈴木先生とも相談しながら作っていくことも多いです。

――今後の展望や目標をお教えください。

鈴木:1話ずつ、1巻ずつ、焦らずじっくりと積み上げていきたいです。目指せ100万部。こういったインタビュー取材や映像化のオファーもどしどしお待ちしております(笑)。

うえの:この作品は漫画だからこそ見たり知ったりできるような出来事を描いていくので、今後もより長く淡々と連載を続けていけたらと思います。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

鈴木:いつも応援ありがとうございます。エゴサーチの鬼ですので、ご意見はほとんど目をとおしていると思います。熱い意見が多いです。これからもチーム一丸となって、負けず劣らずの熱い気持ちで作品に携わっていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします!!

うえの:とても心苦しくなるシーンも多い漫画ですが、だからこそリアルに、真摯に描いていきたいと思いますのでぜひ目を逸らさずに今後とも読んでみてください!これからもよろしくお願いします!



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