世界を熱狂させたスカイアクション映画『トップガン』と、続編『トップガン マーヴェリック』(以下『マーヴェリック』)が、本日と来週に金曜ロードショー(日本テレビ系)にてお目見えする。1986年に公開された『トップガン』は、アメリカ海軍全面協力のもと、海軍エリートパイロット養成機関「トップガン」を舞台に、若きパイロットたちの栄光と挫折、そして成長を描いた作品。それから30年以上の時を経て公開された続編は、ファンだけでなく、名匠スピルバーグ監督までも熱狂させたが、トムの恋人役のケリー・マクギリスはじめ、残念ながらカムバックしなかったキャストも。そこでオリジナルキャストたちの今を紹介しよう。
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■ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル/トム・クルーズ
直観と確かな実力で、ルール無視の無謀な操縦をする天才パイロット、マーヴェリック。トムが本作で見せた瑞々しさはまさに必見!『アウトサイダー』と『卒業白書』(共に1983)で頭角を現していた彼は本作で世界的スターに上り詰め、ダスティン・ホフマンと共演した『レインマン』(1988)、スタンリー・キューブリック監督最後の作品『アイズ ワイド シャット』(1999)など注目作に出演し、マイケル・マン監督の『コラテラル』(2004)では悪役を演じるなど、ますます活躍した。
『7月4日に生まれて』(1989)と『ザ・エージェント』(1996)でアカデミー主演男優賞に、『マグノリア』(1999)で同助演男優賞にノミネートされ、『マーヴェリック』ではプロデューサーとして候補入りを果たした。また今年開催されたパリ五輪の閉会式では、スカイダイビングで軍用機から飛び降りるスタントを行い、アクションスターとしての存在感を世界中に見せつけた。
この後は、『ミッション:インポッシブル8』が2025年5月に全米公開予定。ほかにも、オスカー監督アレハンドロ・G・イニャリトゥの新作や、NASA&SpaceXと協力し宇宙で撮影するダグ・リーマン監督の新作が控えるほか、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』と『デイズ・オブ・サンダー』の続編、さらに『トップガン』第3弾が動き出したとの情報も!
■シャーロット・“チャーリー”・ブラックウッド/ケリー・マクギリス
士官クラブでマーヴェリックに声を掛けられ、トップガンの教官である立場を気にしつつも、やがて彼の恋人となるチャーリー。演じたケリー・マクギリスは、ハリソン・フォード主演の『刑事ジョン・ブック目撃者』(1985)でアーミッシュの女性を演じたのがプロデューサーの目に留まり、本作に抜てき。ブレイクを果たした。
その陰で、過去に受けた性暴力が彼女の心を蝕み、アルコールやドラッグ問題を抱えるなど、辛い状況にあったようだ。レイプ裁判を描いた次の出演作『告発の行方』(1988)では、当初、ジョディ・フォスターが演じた被害者の役をオファーされたが、これを断り、代わりに検察官を演じている。その後、2度目の離婚を機に断酒を決意し、ハリウッドを離れて娘たちの子育てに専念。徐々に仕事に復帰するとともに、カウンセラーとして依存症のリハビリ施設で支援を行っていた。
2008年には、センセーショナルを巻き起こしたドラマ『Lの世界』に出演。2010年にレズビアンであることをカミングアウトした。しかし、やっと立ち直りかけた彼女に不幸がまた起き、2016年にノースカロライナ州の自宅で襲われてしまう。この事件は、彼女に辛い過去を再び思い出させてしまったようだ。当時、フェイスブックでPTSDに苦しむ心情を赤裸々につづっていた。仕事の上では、その後も演技の仕事を続けており、残念ながら『マーヴェリック』にカムバックしなかったものの、近年では、Netflixシリーズ『ダーティ・ジョン -秘密と嘘-』などで姿を見ることができる。
“アイスマン”演じた俳優は声を失っていた
■ニック・“グース”・ブラッドショウ/アンソニー・エドワーズ
マーヴェリックの気の良い相棒グースを演じたのは、大ヒットした医療ドラマ『ER緊急救命室』のマーク・グリーン役でもおなじみのアンソニー・エドワーズ。『ER』には、シーズン8まで出演(シーズン15にもカメオ出演)し、エミー賞主演男優賞に4度ノミネート、また製作総指揮を務めた『テンプル・グランディン~自閉症とともに』で同映画部門作品賞を獲得した。最近では、Apple TV+のドラマ『WeCrashed~スタートアップ狂騒曲~』や、Netflixの『令嬢アンナの真実』、『サバイバー:宿命の大統領』に出演。
プライベートでは、2021年に女優のメア・ウィニンガムと再婚した。メイクアップアーティストの元妻との間に子どもが4人おり、長男のベイリーは俳優としてNetflix映画『ブライト』などに出演しているのでファンは要チェック。ちなみに、彼は『マーヴェリック』には未出演だが、グースの妻をキュートに演じ、後にロマコメで引っ張りだこになったメグ・ライアンも同じくカムバックならず。しばらく一線から退いていた彼女だが、昨年主演&監督として『What Happens Later』でロマコメに戻って来たのでこれからの活躍が期待できそう。
■マイク・“ヴァイパー”・メットカーフ/トム・スケリット
トップガンの教官で、ベトナム戦争の任務中に亡くなったマーヴェリックの父の戦友でもあったヴァイパー。グースを亡くして道を見失ったマーヴェリックを信じて導いた彼を演じたのは、リドリー・スコット監督の『エイリアン』(1979)の船長役で知られるトム・スケリット。
本作出演の後も、ジュリア・ロバーツら豪華キャスト出演の『マグノリアの花たち』や、ブラッド・ピット主演ロバート・レッドフォード監督の『リバー・ランズ・スルー・イット』などに出演。『ブラザーズ&シスターズ』や『グッドワイフ』、『マダム・セクレタリー』などテレビドラマでも活躍し、『レバレッジ 〜詐欺師たちの流儀』でエミー賞ゲスト男優賞を獲得している。今年91歳を迎えたが、2021年には88歳にして主演映画『East of the Mountains』も公開。2022年にもドラマに出演するなど、最近まで活動していたようだ。
■トム・“アイスマン”・カザンスキー/ヴァル・キルマー
破天荒で天才肌のマーヴェリックとはまさに好対照、冷静沈着なアイスマン。演じたヴァル・キルマーは本作で大ブレイクを果たし、ジム・モリソンの半生を描く『ドアーズ』(1991)や『バットマン フォーエヴァー』(1995)に主演。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロ共演の『ヒート』(1995)やロバート・ダウニー・Jr.主演の『キスキス, バンバン』(2005)に出演するなどその後も活躍したが、2014年に喉頭がんと診断され、度重なる治療のために声を失ってしまう。
本作では、試練を通じてライバル心を友情に昇華させたマーヴェリックとアイスマンだが、スクリーンの外でもその関係性が見て取れ、トムは続編について「ヴァルなしでは制作しない」と断言。『マーヴェリック』では、声を失ったヴァルをアイスマンに反映させ、感動の再会シーンが実現した。また2023年には自らプロデューサーを務め、声の出ないヴァルに代わり息子がナレーターを務めたドキュメンタリー『ヴァル・キルマー/映画に人生を捧げた男』も公開されている。
大ヒットを記録し、スティーヴン・スピルバーグをして、コロナ禍にあえぐ映画産業を救ったと言わしめた『マーヴェリック』。アイスマンとマーヴェリックの再会シーンだけでなく、ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」をバックに空母から戦闘機が飛び立つ冒頭シーンなど、オリジナルのエッセンスは脈々と受け継がれている。伝えられているところでは、第3弾には、グースの息子役を演じたマイルズ・テラーら『マーヴェリック』のキャストが出演に意欲を見せているそう。今回紹介したオリジナルキャストのカムバックの可能性も否定できない。(文・寺井多恵)
映画『トップガン』は11月8日、『トップガン マーヴェリック』は11月15日に金曜ロードショー(日本テレビ系/毎週金曜21時)にて放送。
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