自分が歩んできた人生を、できるだけ肯定したいと考える人は少なくないでしょう。仮に自分が中学受験をして中高一貫校に入り、学友たちと6年かけ絆を深めてきたとしたら……?「学生時代は受験を気にせず、のびのび過ごせた」「生涯つきあえる友達ができた」という思いから、わが子にも同じように受験をすすめることはありそうです。
さて、今回ママスタコミュニティにあがったのは受験ではなく、働き方についての投稿です。投稿者さんはパートで働いているそうですが、かつて正社員としてバリバリ働いていた義母さんが口出ししてくるのだとか。そこにあるのは「自分のやってきたことに満足しているから、ぜひ嫁にも教えてあげたい」という厚意かもしれません。
人の働き方に口出ししてくる義母。どういうつもりなの?
大手企業の営業職として、定年までバリバリ働いていたという義母さん。今は趣味で習得した資格で人に教えたり、空いた時間は運動にとパワフルに過ごしているそうです。かつての同僚たちとはまだ繋がりがあり、周囲には社員として働く女性が多いのだとか。
『パート勤務の私に、「社員として働くつもりはないの?」と最近よく言うようになりました。「体力に自信がないので」と言うと「そこは夫や子どもたちに協力させないと」と。女性も経済的に自立しなくてはという考えらしい。ほうっておいてほしいんだけど、何か言いたくなるものなのかな』
「女性も働き続ける時代」というのは、投稿者さんが結婚当初から聞かされていた話だそう。しかし両家の実家が遠方だったため「サポートは期待できない。両立は難しい」と、出産を機に退社したといいます。
『実母が正社員でバリバリ働いてたから、私がパートでダラダラしているのを見ると「もっと働いたら?」みたいなことは、たまに言われる』
『専業主婦しかしたことのない義母に、結婚するとき「仕事を辞めなさい」と言われたよ。私、以前はダンナの上司だったのに。その場で説教してやった』
集まったコメントにも、自分と同じ道を歩かせようとする義母・実母の実例がありました。自分のやってきたことを正解だと信じたい、人の心理もありそうです。
嫁の言動にとにかく口出ししたいだけ?余計なお世話!
しかし一方で、その逆をいくパターンもありました。
『うちは義母がバリバリ働いてきたタイプ。育児をほぼ姑任せにしてきたことを後悔していて、私に「働かないでほしい」と涙ながらにお願いしてきた』
『義母は子どもが小さい頃はずっと専業主婦だったのに、妊娠中の私に「産んだら働くんでしょ?保育園は調べてる?」と言ってきたよ』
こちらは人生に残っている後悔を、嫁を使って少しでも軽減したいと考える義母さんたちです。経験を元にしたアドバイス?単なる厚意?どちらにしても余計なお世話に思えます。「なぜコントロールしようとするんだろう?」「自分の価値観を押し付けてくるな!」といった愚痴も相次ぎました。
『うちの義母は長く専業主婦だったけど、いつも「仕事も家のこともしっかりやって、偉いわね」とねぎらってくれる』
もちろん「口出しなど、まったくしてこない」というコメントも少なからずあります。自分とは異なる生き方をしていても、ちゃんと認めてくれる義母さんはいるのです。つまり働き方がどうであろうと、口出しをしてくるのは”そういう人”。「何かにつけて口出ししたい人なんだよ。正社員うんぬんが解決しても、今度は家事育児で口出ししてくると思う」という予想もありました。
『専業主婦でも派遣社員でも正社員でも、いずれにしても何か言われる。「そうなんですね!ふふふふ、わかりましたぁ」と、微笑みながら同意していれば満足するよ』
同様に口出しされるという方は、のらりくらりやり過ごしているといいます。「記憶がリセットされるみたいで、会うたび言われる。おまけに毎回言うことが微妙に違う」そうですが、笑ってスルーできるなら面倒も起こりにくそうです。
話せばきっと伝わる相手。本音でぶつかってみては?
コメントのなかには、投稿者の義母さんについて考察するものもありました。
『大手の営業で定年まで続けてきた女性社員って、すごいよね。業界最大手でも、各企業に数人いるかいないかだよ。相当頭がよくて、仕事ができる人なんだと思う。だから生ぬるく生きているように見える人が、心配になるんじゃない?』
これに対して投稿者さんも「うん、賢いよ。きっと時代の最先端を走ってきたのだと思う。私も義母の考え方を全否定はしていない」と回答。働き方を押し付けられるのは嫌でも、たくましく生きてきた義母さんへのリスペクトはあるようです。投稿者さんは、さらにこう続けます。
『経済的自立はたしかに私も大事だと思うけど、それを決めるのは私たち夫婦。育児との両立は難しいと思い辞めたけど、自分の選択に後悔はしていない。今の働き方なら子どものサポートも十分できるから、小学生のうちは現状維持でと考えている』
将来的に正社員として働く可能性はゼロではないと考えている様子ですが、現状を「後悔はしていない」ときっぱり言い切ります。投稿者さんは義母さんに負けず劣らず、自分の意志をしっかり持っている方に思えます。「討論したところで、わかってもらえるわけもないだろうけど」ともいうのですが、果たしてそうでしょうか?
思い切ってこの投稿で綴った思いを、そのまま義母さんに伝えてみてはどうでしょう。「尊敬もしているし、考え方は理解できる。でも私には私の生き方がある」と。時代と共に走ってきた頭のよい義母さんなら、ちゃんとした話し合いができるはずです。「いつか余裕が生まれてもっと働きたいと思えたときは、ぜひ相談に乗ってください」と伝えておけば、義母さんも自分の生き方を肯定してもらえた気になれそうです。「体力に自信がない」などというごまかしより、投稿者さんの本音を正直に伝えたほうが義母さんの心に響くと思いますが、いかがでしょうか。
文・鈴木麻子編集・みやびイラスト・むらみ
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