新築に続き2024年11月から中古住宅版の「省エネ部位ラベル」始まる。各不動産ポータルサイトも続々表示対応

既存住宅における省エネ部位ラベル(イメージ)

新築に続き2024年11月から中古住宅版の「省エネ部位ラベル」始まる。各不動産ポータルサイトも続々表示対応

11月7日(木) 7:00

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2024年4月から省エネ性能表示制度による「省エネ性能ラベル」がスタートした。ただし、主に新築住宅を対象にしたもの。対象外となる中古住宅については、別の内容で秋に始めるとされていたが、いよいよ11月1日から「省エネ部位ラベル」がスタートする。どういったものか、詳しく説明していこう。

【今週の住活トピック】
「『SUUMO』、2024年11月1日より既存住宅の「省エネ部位ラベル」表示を開始」

2024年4月に始まった「省エネ性能表示制度」や「省エネ性能ラベル」とは?

2024年4月にスタートした「省エネ性能表示制度」とは、住宅や建築物を販売・賃貸する事業者(物件の売主や貸主、サブリース事業者など)が、物件の広告をする際に、消費者が省エネ性能の把握や比較ができるように、「省エネ性能ラベル」を表示するもの。対象となるのは、2024年4月以降に建築確認申請を行う新築および再販売・再賃貸される物件で、表示については努力義務となっている。

この制度については、「 2024年4月スタートの新制度は、住宅の省エネ性能を★の数で表示。不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベル表示が必須に!? 」で詳しく説明しているので、こちらを見てほしい。

この「省エネ性能ラベル」は、すでにアットホーム、LIFULL HOME’S、SUUMOの主要不動産ポータルでも、それぞれの不動産情報サイトで広告表示することができるようになっている。

住宅(住戸)の省エネ性能ラベル(イメージ)(国土交通省資料より)
住宅(住戸)の省エネ性能ラベル(イメージ)(国土交通省資料より)

既存住宅向けの「省エネ部位ラベル」とは?

住宅を新築したり、リノベーション物件のように古い住宅を大規模改修したりする場合は、建築士などの専門家がその省エネ性能を評価することができる。この評価が省エネ性能ラベルに活用されるのだが、既存住宅の場合は、住宅の建築時に省エネ性能を評価していないものが大半だ。一方で、住宅の所有者が窓の省エネ改修をするなどで、住宅の省エネ性能を高めている場合もある。

つまり既存住宅では、住宅全体の「省エネ性能ラベル」を表示することは難しいが、省エネ改修など部分的な省エネ性の高さを評価することはできる。そこでスタートするのが「省エネ部位ラベル」だ。

では、具体的にラベルの内容を見ていこう。

省エネ部位ラベルの例(国土交通省の資料より)
省エネ部位ラベルの例(国土交通省の資料より)

まず大きく、「窓」と「給湯器」の欄がある。このラベルを発行するには、どちらかの省エネ改修(断熱性能の高い窓か高効率の給湯器に改修)をしていることが必須条件となる(下の画像中A)。住宅の窓からの熱の出入りが大きいこと、給湯器は家庭で使うエネルギー消費量が大きいことが、その理由だろう。

さらに「窓」の場合は、住宅の一部分の窓だけ改修することも可能だが、「リビング・ダイニング」の窓の省エネ改修を行っていることが必須条件となる。その他の居室でも、リビング・ダイニングと同様の省エネ改修を行っている場合にはチェックが付く。

必須条件を満たしたうえで、その下の欄にある「外壁」「玄関ドア」「節湯水栓」「高断熱浴槽」「空調設備」「太陽光発電」「太陽熱利用」などで一定水準以上の商品を使っていれば、チェックが付くということになる(下の画像中B)。なお、外壁と空調設備は、リビング・ダイニングの外壁やエアコンが対象で、節湯水栓はキッチン、洗面所、浴室シャワーのいずれか1つ以上が対象となる。

また、省エネ改修や設備機器の交換は、同時期にしているとは限らないので、任意ではあるが、それぞれの改修・交換工事の時期を記載する形になっている。

省エネ部位ラベルの表示項目(国土交通省の資料より)
省エネ部位ラベルの表示項目(国土交通省の資料より)

では、誰が省エネ性能を評価するのか。物件の売主や貸主などが行う「自己評価」となる。しかし、売主や貸主が個人の場合は、売買を依頼した仲介事業者や賃貸管理を依頼した賃貸管理事業者などが代わって行うことになるだろう。また、特定の講習を受けた専門家が評価する方法もあり、その場合はその旨を記載できる(画像中D)。

評価の方法としては、省エネ性能が分かる資料(改修時の設計図や製品の取扱説明書など)を確認するか、実際に現地を訪れて現況を確認したり製品ラベルを確認したりして評価することになる。その情報を「住宅性能評価・表示協会」のサイトに入力することで、ラベルが発行される仕組みだ。

ただし、故意に異なる内容を表示したり、故障して使えない設備機器まで表示したりなど、不当な表示をした場合は、国から勧告などを受けることになる。

ちなみに、既存住宅で大規模なリノベーション工事を行った場合は、「住宅性能ラベル」を取得することができるが、「住宅性能ラベル」と「省エネ部位ラベル」を両方表示することはできない。また、制度が始まった2024年4月以降に「住宅性能ラベル」が発行された新築住宅は、既存住宅として改修を行った場合には「住宅性能ラベル」を再発行する必要があり、「省エネ部位ラベル」を使うことはできない。

11月から「省エネ部位ラベル」も不動産ポータルサイトで掲載可能に

さて、筆者は「省エネ部位ラベル」について、不動産情報サイト事業者連絡協議会(略称RSC)が開催したプレス向け説明会の場で、国土交通省から詳しい説明を受けた。RSCとは、不動産情報サイトの信頼性を保持するために、不動産ポータル事業者が組織したものだが、アットホーム、LIFULL HOME’S、SUUMOの3つのサイトでは、2024年11月からそれぞれのサイトで「省エネ部位ラベル」を掲載できるようにしている。

RSCが開催したプレス向け説明会の様子(筆者撮影)
RSCが開催したプレス向け説明会の様子(筆者撮影)

RSCが開催したプレス向け説明会では、消費者の意識などの調査結果も紹介された。LIFULLの「物件の省エネ性能に関する意識調査」では、「引越し先を探す際、物件の省エネ性能を意識するか」聞いたところ、省エネ性能の関心の高さがうかがえる結果となった。

プレス説明会の資料より
プレス説明会の資料より

新築マンションや新築戸建てを購入する層の方が「意識する」という回答が多く、そこに及ばないものの、今回の「省エネ部位ラベル」の対象である中古マンションや中古一戸建て、賃貸物件でも、「意識する」という回答がかなり多いことが分かる。「省エネ部位ラベル」の表示が増えていけば、住み替え先を探す際に有力な検討材料になるのではないだろうか。

さて、国は公約している「2050年のカーボンニュートラル」に向けて、住宅の省エネ性能の引き上げを段階的に進めている。省エネに関するラベルを使って、住宅の省エネ性能を見える化するとともに、2025年4月からは新築住宅の「省エネ基準の適合義務化」もスタートさせる。

国も消費者も強く意識している住宅の省エネ性能。専門的で分かりづらいが、ラベルなどを参考にして、その違いを事前に確認してほしい。

●関連サイト
『SUUMO』、2024年11月1日より既存住宅の「省エネ部位ラベル」表示を開始
建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度(国土交通省特設サイト)


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