旅行というかビジネスホテルに行きたい『ケンコバのほろよいビジホ泊』/テレビお久しぶり#124
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『何か“オモシロいコト”ないの?』(フジテレビ)をチョイス。
■時間は死を運んでくる『何か“オモシロいコト”ないの?』
菊池風磨とシソンヌ長谷川忍が、毎週ゲストを招いて”なにかオモシロいコト”に挑戦するバラエティ番組、『何か”オモシロいコト”ないの?』。今回は森香澄、ぱーてぃーちゃん信子、狩野英孝と共に、10年前に流行ったものについて語り合う。懐古趣味は令和のトレンド。私は平成のことばかり考えすぎて、最近は逆転裁判をやっている。画面にキャラクターが登場するたびに、ああ懐かしい、懐かしいと子供の頃を思い出している。
今が2024年だから、10年前といったら、単純計算で2014年ということになる。アナと雪の女王、日本エレキテル連合、ビリギャル、自撮り棒など、2014年当時の流行が紹介されていくのだが、私は今でも「ダメよ~ダメダメ」と日常的に言うので、当時の流行という感じがあまりしない。「今でしょ」や「じぇじぇじぇ」や「おもてなし」も同様に、語彙として私の脳内に定着している。特に「今でしょ」は、これが無くてはコミュニケーションが立ち行かなくなるといっても過言ではないほどの汎用性を誇っている。
2014年といえば、私が高校を卒業して、地元の会社に就職した頃じゃないの。やっと18歳になったばかりの若造は、エントリーシートを提出し、面接を受け、ぜひ働きたい旨を伝えたのち、採用の通知を受け取ってもなお、「まさか自分が会社員になんてなるわけもないだろう」と考えていた。だから、初出社の日には本当にビックリした。「え、俺って働くの?」と半笑いで会社に向かい、そんなテンションで続くはずもなく1年で辞めて東京に出てきたのが年度末の3月だ。そのときは何が流行っていただろうか。思い出せない。あこがれの東京がまばゆいばかりで、何にも気付けなかったのだと思う。色気づいてメガネからコンタクトに変えたのだけ覚えている。そのために訪れた眼科にて、コンタクト装着の練習が怖すぎて貧血を起こして倒れてしまった。この件は2015年の話だから話す必要もない。ただ思い出しただけだ。
あれから10年も経ったとはにわかに信じがたい。気持ちが悪い。時間が経つのはあっという間だね~なんて軽い世間話で流してはいけない。もっと深刻な話。私からすれば、2014年は、ほんの4年ほど前である。4年と半年くらいは経っているかもしれないが、5年はさすがにいかない。10年だなんて笑える。そんなことはありえない。全身が赤くほてってきた。喉元に刃を突き付けられる思いだ。私の懐古趣味は、前方の死から目をそらすためのものである。
■文/城戸
【関連記事】
・
「テレビお久しぶり」バックナンバーをまとめて読む
・
旅行というかビジネスホテルに行きたい『ケンコバのほろよいビジホ泊』/テレビお久しぶり#124
・
出来事は偉大だ『《即今日話》今日の出来事だけのトークバトル』/テレビお久しぶり#123
・
キモホラーというジャンル『ナキヨメ』/テレビお久しぶり#122
・
菊池風磨、憧れの長澤まさみ登場に「お恥ずかしい部分を見せちゃっていると思う」<何か“オモシロいコト”ないの?>
・
令和イケメン・菊池風磨 vs 平成イケメン・狩野英孝、“真のイケメン”を競い三番勝負<何か“オモシロいコト”ないの?>
・
【漫画】お見合いにやってきた“虚無僧女子”…「ギャグ漫画かと思ったら、ラストが衝撃の展開」と驚きの声