開幕に出遅れた影響もあり、今季は最後まで調子が上がらなかった西武・髙橋
今季も予想外の出来事がたくさん起こったプロ野球。中でも特に球界をざわつかせた異変、珍現象、快挙の謎に野球評論家のお股ニキ氏が迫る!(全7回/第4回目)
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昨季まで3年連続2桁勝利を挙げ、今オフにはMLB挑戦か、と注目されていた西武・髙橋光成(こうな)。ところが、ふたを開けてみれば15試合登板で、まさかの0勝11敗。いったい何が起きたのか?
「MLBからのわかりやすい評価を求め、球速アップや奪三振増を狙ってオフの自主トレでは前年比約10㎏増の体重115㎏に。しかし、結果的に2月に肩を痛め、開幕前の調整がうまくいかなかったことがシーズンを通して響きました」
この調整面も含め、本人の高い向上心が悪い方向に出てしまったようだ。
「本来は配球も考えて打たせて取るタイプなのに、力をつけて158キロまで出るようになった。その半面、可動域が減り、スタミナが落ち、スピードや制球も乱れがちに。自身にとって適正な投球スタイルを見失ってしまいました」
その「打たせて取る」本来の投球は、今季の西武と相性が悪かったのも事実だ。
「外野手の守備指標は軒並み悪かったですし、かつて鉄壁を誇った源田壮亮と外崎修汰の二遊間もピーク時に比べて陰りが見えてきました。バックの守備の問題もあり、いい投球をしても白星につながらない試合もありました」
例えば、4月29日のソフトバンク戦。まだケガ人が出る前の〝完全体ソフトバンク〟を相手に7回2失点(自責点1)と好投も、白星はつかなかった。
「あの試合は救援が打たれ、逆転負け。もし勝てていれば、ここまで極端な成績にはならなかったはずです」
また、髙橋が投げた試合の平均援護点が1.2と低かったのも大きな痛手だった。
「2失点したら負け、では厳しい。援護が少ないことも含めてチームのバイオリズムと合わなかった。チーム状態がどん底のときに我慢して投げ続けて結果が出ず、逆にチームが上向いてきた9月にはあまり投げられなかったことなど、本当に不運続きでした」
早くも西武残留が決まった髙橋は、捲土重来を期す来季、どんな投球を目指すべきか?
「MLB的な投球を無理に目指すのではなく、自分の投球スタイルで成績を残せば評価されると信じること。本来の姿を取り戻せば、結果もおのずとついてくるはず」
文/オグマナオト写真/時事通信社
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