【写真】作画レべチの鬼ごっこが話題に…ターボババアに囲まれるモモ今期も多数の作品が放送されている深夜アニメ。いくつもの注目作が並んでいる中、幽霊×宇宙人、ギャル×オタク、オカルト×青春という異色の化学反応が面白いと評判なのが「ダンダダン」(毎週木曜深夜0:26-0:56ほか、MBS/TBS系ほか/ABEMAほかで配信)だ。現在第6話まで放送を終え、毎話加速度的に盛り上がっていく本作の魅力を振り返っていく。(※以降、ネタバレが含まれます)
■破天荒なノリが最高に面白い
本作の原作は龍幸伸が「少年ジャンプ+」で連載する同名コミックで、現在累計400部を記録している看板作品。霊媒師の家系で“幽霊は信じているが宇宙人は信じていない”女子高生のモモ(綾瀬桃/CV.若山詩音)と、モモの同級生で、“宇宙人は信じているが幽霊は信じていない”オカルトマニアのオカルン(高倉健/CV.花江夏樹)が繰り広げるオカルティックバトルが人気を呼んでいる。
そんな本作の魅力と言えば、背景にまで至る緻密な画力、オカルト×青春コメディーという異色の融合、登場する幽霊や宇宙人といった怪奇の面白さなどが上げられるが、一番はぶっちゃけ破天荒さだ。オカルトといえば得体の知れない怖さが強調されるホラー系や怪奇にまつわるミステリー系が多くを占めるジャンルだが、本作はダークさこそ感じさせるものの、感触は痛快そのもの。そしてコメディーの発想がバカっぽくていい。
第1話にて、宇宙人なんていない、幽霊なんていないと張り合うモモとオカルンは互いの指定場所で未知との遭遇を果たすのだが、その過程でオカルンは妖怪ターボババアにイチモツを取られた挙句呪われて、宇宙人のセルポ星人にさらわれたモモは霊力ならぬ超能力に開花する。そして始まるのがターボババアの力を得たオカルン対セルポ星人という、オカルトの異種対決。何だなんだこの展開!?――といった具合でグイグイ引き込まれていく。
もともと話題作のアニメ化だが、蓋を開けての感想は期待以上という声が圧倒的に多くを占めている。漫画とカラーアニメーションを比較するのは野暮というものだが、ストーリーラインはそのままにテンポ感は抜群にアップ。原作の鬼画力はハイクオリティーな作画で反映され、カメラワークが見事なバトルシーンは大拍手のレベルといっていい。
くわえて、若山詩音、花江夏樹によるモモとオカルンの声もイメージにぴったりで最高だ。そこにモモの祖母・星子(CV.水樹奈々)、ターボババア(CV.田中真弓)も加わっての掛け合いから生まれるコメディー感はアニメならではの持ち味となっている。
■オカルト×青春で泣かせる意外に深いドラマ性
宇宙人×幽霊という似て非なるオカルトの組み合わせが楽しい中、前半ストーリーで主軸になった怪異はターボババアという都市伝説から生まれた近代妖怪だ。オカルンとの初遭遇では「おっぱい吸わせてやるからよお、イチモツしゃぶらせろ」という強烈なセリフでインパクトを刻み込んできた。宇宙人を含め怪異は基本的にバトルの相手、モモとオカルンにとって倒す敵になるのだが、案外ここに情緒的な要素が入っているのも本作ストーリーの魅力的なポイントだ。
じつはターボババアのモデルとなった実際の都市伝説では、前述のようなセリフをいうという話はない。それもあって最初は少年漫画っぽく受け狙いで付け加えた設定かと思っていたのだが、あとあとターボババアの素性が分かったことで、印象はがらっと変わることになる。
本記事を目にしている方はアニメ視聴組という前提で明かしてしまうが、ターボババアは何も最初から人に危害を加える妖怪ではなかったようだ。ターボババアが居ついた廃トンネルは、過去に少女たちがある事件によって殺された場所。ターボババアは成仏できない少女たちの魂を慰めるためにここにやってきて、地縛霊となっていた少女たちと合体し、今のようになったのだという。
第1話でセルポ星人に襲われるモモの救出にオカルン=ターボアババアが飛び込んできたのも、これを知ると得心がいく。あれはオカルンだけの意志ではなく、少女を助けるというターボババアの意志でもあったのだろう。また、ターボババアが執拗にイチモツを狙うのは、少女たちの死因からに違いない。廃トンネルの入口にたたずむターボババアの姿はしんみりさせるものだった。
オカルト×青春というように、本作はこうした形でしっかりしたドラマ性も持っている。第4話で「さよなら」を「また明日!」と言い直したモモとオカルン。翌日第5話での付き合い始めた恋人のような2人の関係もほろっときてしまうシーンの1つだった。事件を経て親密になったモモとオカルンのラブコメ展開はこれからが楽しみだが、第6話にて2人の前に白鳥愛羅(CV.佐倉綾音)というちょっと思い込みの激しい性格の女子生徒が現れる。
オカルンの金の玉を握ってしまったことで霊力に目覚めた愛羅は、モモを悪魔と勘違いし、さらにアクロバティックさらさらという妖怪を呼び込んでしまう。この愛羅とアクロバティックさらさらのエピソードは原作でも随一の人気を誇る泣ける物語。バトル、コメディーだけでない本作の魅力がぎゅっと詰まったものとなっている。2人の間にどんな過去があったのか、次回第7話を期待して待ちたい。
なお、ABEMAでは「ダンダダン」第1話~第6話まで全話無料で視聴可能だ。
◆文=鈴木康道
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