11月1日から11月3日までのミニシアターランキング(公開30館以下スタートの作品が対象)が興行通信社から発表された。今週も『映画 ギヴン 海へ』(公開中)が圧倒的な人気を印象づけるように7週連続1位を死守。昨年の東京国際映画祭でワールド・プレミアされ、世界62の映画祭に招待されたドイツ=ジョージア合作映画『ゴンドラ』(公開中)が初登場で2位に輝き、『セッション』(14)の音響クリエイター、ローレン・ハダウェイ初監督作『ノーヴィス』(公開中)も初登場で3位に入る結果となった。
【写真を見る】山間を行き交う二つのゴンドラが世界をすこしだけ幸福にする物語『ゴンドラ』が初登場ランクイン!
■【ミニシアターランキングトップ5】(11月1日~11月3日)
1位『映画 ギヴン 海へ』(先週1位→)
2位『ゴンドラ』(NEW)
3位『ノーヴィス』(NEW)
4位『2度目のはなればなれ』(先週5位↑)
5位『花嫁はどこへ?』(先週6位↑)
今週、初登場で2位となった『ゴンドラ』は、『ツバル』(99)、『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』(18)などの“セリフなし映画”で知られるドイツの名匠ファイト・ヘルマーの最新作。コーカサス山脈の西、ジョージア(旧グルジア)の小さな村を舞台に、行き交う2台のゴンドラ(ロープウェイ)で働く2人の女性乗務員の奇想天外なやりとりと小さな恋、ユーモア溢れるささやかな復讐劇を、今回も全編セリフなしで描いている。鑑賞後にほっこりと幸福感に包まれるのも、本作が多くの人たちから支持される大きな理由だろう。
3位にランクインした『ノーヴィス』は、デイミアン・チャゼル監督の『セッション』やクエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』(15)などの音響を担当したローレン・ハダウェイの長編監督デビュー作(脚本、編集も兼任)。自らの大学時代の実体験をベースに、ローイング(ボート競技)に魅せられたひとりの女性の狂気と情熱を描いた渾身の青春ムービーだ。「エスター」シリーズのイザベル・ファーマンが過酷なトレーニングで手に入れた強靭な肉体と精神で、自らをしごき抜き、ギリギリまで追い込んでいくヒロインを熱演! その迫真の演技、ハダウェイ監督ならではの立体的なサウンドがもたらす興奮と感動は映画館でしか味わえない。
このほか、今週は先週5位だった『2度目のはなればなれ』(公開中)がワンランクアップの4位に、同じくランク外の6位だった『花嫁はどこへ?』(公開中)が5位に食い込む大健闘を見せている点にも注目したい。前者は2度のアカデミー賞に輝く名優マイケル・ケインの引退作で、同じく2度のアカデミー賞を受賞し、本作が遺作となったグレンダ・ジャクソンとの50年ぶり2度目の共演作。後者はインドの国民的大スター、アミール・カーンの製作で、取り違えられた2人の花嫁をめぐる騒動を笑いと涙で描くヒューマン・コメディ。どちらも感動が染み入る良作だけに、その評判がじわじわと浸透し、息の長いヒットにつながった。今後の展開からも目が離せない。
続いて、今週末に公開予定のミニシアター映画をピックアップ! 11月8日(金)には孤独なドッグと友だちロボットとの交流をニューヨークを舞台に描き、ギレルモ・デル・トロ監督も絶賛した話題の長編アニメーション『ロボット・ドリームズ』が公開。11月29日(金)には、全米No.1ヒットを記録した超過激ホラーの最新作『テリファー 聖夜の悪夢』が公開となる。さらに、本作の公開が待ち切れないファンのために、11月8日(金)から第1作『テリファー0』(13)、11月15日(金)から第2作『テリファー』(16)、11月22日(金)から第3作『テリファー 終わらない惨劇』(22)の直前おさらい上映も開催される。
公開規模は小さいものの、映画ファンに愛されて続け話題性の高い良質な映画作品を鑑賞できるミニシアターに足を運んでみてはいかがだろうか。現在、全興連ミニシアター支援プロジェクト「#ミニシアターへ行こう」では、応援したい映画館の魅力を紹介してくれる公式アンバサダーを募集中。自身のYouTubeチャンネルやSNSアカウントを通じてミニシアターを紹介し、劇場救済に協力してもらおうという試みとなる。応募条件等詳細は公式アンバサダー募集ページをチェック!
文/イソガイマサト
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