11月6日(水) 18:39
ゴルフでは、よく「ボールをしっかり見よう」といわれる。確かに頭の位置が変わると軸もブレるから、バックスイングはもちろん、インパクト後も頭を残すようにしたほうがいいのかもしれない。しかし、かつて世界一にも輝いた宮里藍の父でありコーチの優氏は、「むしろ、球をよく見ようとする方が軸はブレます」という。じゃあ、ボールは見続けなくていいってこと?
理想のスイングは、上半身が2軸、下半身が1軸?【漫画で納得】
「ゴルフは、野球のように動いたり変化したりする球を打つわけではありません。それに、飛んでいく球を見るのもゴルフの楽しみの一つですから、一生懸命見続ける必要はありません。何より、スイングの軸がブレる原因にもなると僕は考えます。そもそも、スイングの軸は背骨であり、頭部の後ろ側に背骨はあります。そして目は頭部の前面に位置している。これを踏まえて軸を中心に回転すると、頭は動くし顔の向きは変わります」
確かに背骨を軸として考えるなら、頭を動かさないようにすると体がヘンに傾くかも。
「そのとおり! 球をよく見ようとすれば、目と球の距離を変えまいとするため、顔面を中心にスイングすることになり、背骨が傾いてしまいます。つまり、正しい軸回転をすれば頭は動くし、顔の向きが変わるのも自然なのです」
なるほど……では、少しくらい頭が動いてもいいつもりでスイングすればいいのか。
「実践のポイントは、上半身は二軸をイメージすること。両肩にそれぞれ軸があると想定し、バックスイングでは右の軸までしっかりと頭を移し、フォローでは左の軸まで頭を移動させるのです。その代わり、下半身は一軸にします。樽の中に入ったイメージで、樽の内側に腰がぶつからないようにその場でクルッと回りましょう。そうすればスエーを防げます」
結構体を揺さぶることになるが、下半身を一軸にすることで、暴れ過ぎないように歯止めをかけるわけか。そのおかげで、上半身をのびのび使える気がする。
「このスイングだと、トップのときの左肩越しに球が見えてくるでしょう。その景色を正しいトップとして覚えてください。左の背中を大きくストレッチしている感じが出てきたはずです。筋肉は縮むときにしか力を発揮できない構造になっています。大きな力を発揮させるには、一度大きく伸ばしてやる必要がある。こうすることで、球は飛ぶようになります。あとは、飛んでいく球を目で追いかけてフィニッシュです」
爽快なショットはゴルフの醍醐味。頭を動かさないスイングは、そんな楽しみを失っているのかもしれない。
◾️宮里 優
29歳でゴルフをはじめ、独学でゴルフ理論を構築。36歳の時に男子プロトーナメントの大京オープンにアマチュアとして出場。その後、ティーチングプロの道を歩む。子供たちと一緒に楽しみたいとやらせたゴルフだが、結果的に聖志・優作・藍の3人共プロゴルファーの道を選んだ。
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