11月6日(水) 10:00
<三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報◇6日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
7日(木)に開幕する国内男子ツアーは4週ぶりの大会。舞台となる御殿場で、練習場、パッティンググリーンで調整に励む中、“真っ白な箱”を手にする選手たちの姿が見受けられる。その正体は一体何なのか、話を聞いてみた。
箱の中身はタイトリストの『プロV1』、『プロV1X』の2025年モデルだ。2週前に行われた日本開催の米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」では一足先に投入を決めた日本人選手もいるが、今週が“初対面”の選手も多い。
10年近くタイトリストのボールを愛用する浅地洋佑もその一人。火曜日の練習ラウンドでテストし、『プロV1』を試合に投入する予定だ。浅地のボール選びの基準は、「打感、飛び方、スピン」。その中でも、ショートゲームの比重が大きく、「120ヤード以内をコントロールできるボール」が理想。タイトリストのボールはその要素が詰まっているという。
前作に比べ、30~40ヤードの距離が「ずっと止まっていたので、(フェースに)乗っている感じがしました」と評価。ただ、全体的には「大きくは変わっていない」ことも、違和感なくスイッチできた要因だ。
阿久津未来也も新ボールを投入したが、浅地とは少し意見が異なる。先週から新ボールをテストし、『プロV1X』をチョイス。そして「音が出るようになった」と前作との違いを話す。ショートゲーム、特にパターは“音”からフィードバックを得る阿久津にとってボールの打音が欲しい。前作よりも音の出る新ボールは即投入の決定打となった。
さらに、飛び方などは前作と変わらないが、データを見ると「アイアンで200~300回転増えた」と、スピン量が増えた。もともとスピン量が少ない阿久津にとって、より扱いやすくなったこともうれしい。
そして、杉浦悠太は「ZOZOチャンピオンシップ」からスイッチ。日本勢最上位となる6位フィニッシュを果たし、新ボールでいきなりの好結果を手にしているが、前作とは「あまり変わらない」。しかし、これは決して悪い意味合いではなく「だから変えられんです。あまり変わりすぎると、それまでの良さが無くなっちゃうので」と、タイトリストに絶大な信頼を置いているからこその評価。使用歴は7年とその付き合いは長い。「スピンをかけることが得意ではない」と弱点はボールで補う、それが杉浦流。「スピンがかかりやすいものを」と『プロV1X』をチョイスしている。
いい意味で「変わらない」という声もあれば、「スピン量が変わった」、など評価は様々。それでも多くの選手が新ボールに移行できているということは、評価は高いという表れ。米国男子ツアー、そして国内ツアーでも圧倒的な使用率を誇るタイトリストが、さらなる勝利に貢献することとなるか、今後の動向に目が離せない。(文・齊藤啓介)