【第1話】から読む。
前回からの続き。俺(カイト)は小学生の頃からピアノを習ってきた。高校では前から興味のあった部活に入り、信頼できる友達もできて高校生活を楽しんでいた。そして学校では合唱コンクールの季節になり、俺は伴奏者をすることになった。実際のところは、クラスにやる人がいなかったから仕方なく……といった感じだったけれど、まぁ引き受けたからにはしっかりやろうと思っていた。しかし真面目な俺のことがおもしろくないヤツらもいたようだ。
タクローとその仲間たちは休み時間にバカ騒ぎをしていて、過剰にうるさいだけのように思える。合唱の練習中もただ内輪で盛り上がって笑っているばかり。けれども俺はいったん伴奏を引き受けたからには逃げるわけにはいかなかった。
タクローは真面目な俺のことを良く思っていない。相手にするのもバカらしいが、絡まれるたび俺は言い返してきた。そして合唱コンクールが終わったあと。「なぁカイト?お前なんで打ち上げ欠席なの?」親友のハルキがそう声をかけてきた。
別に俺はタクローのことを悪いヤツだとは思っていなかった。ただ盛り上がりすぎて周りが見えなくなってしまうタイプの人間なんだろうなと思っていたのだ。ただ合唱はクラス全員で行うものだし、学校行事のひとつだ。邪魔されると困ってしまう。そのたび伴奏者の俺はタクローに注意をするハメになった。
タクローは騒ぎながらも練習は必ず出ていたし、合唱コンクールに向けてクラスで頑張ろうという気持ちは同じだと思っていたのに……。タクローは俺の知らない間にクラスみんなでの打ち上げを企画し、勝手に俺を欠席扱いにしていたのだ。俺がタクローに思うことはただひとつ。「バカなことをするヤツだなぁ」だった。
【第5話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ脚本・渡辺多絵作画・りますけ編集・井伊テレ子
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