チャンピオンズリーグの新名将対決はリバプールの大勝 シャビ・アロンソのレバークーゼンをどう攻略したのか

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チャンピオンズリーグの新名将対決はリバプールの大勝 シャビ・アロンソのレバークーゼンをどう攻略したのか

11月6日(水) 16:50

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チャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第4節の好カード、リバプール対レバークーゼンは4-0でリバプールが大勝。アルネ・スロットとシャビ・アロンソの欧州サッカーの"新"名将対決で注目された一戦の模様を、現地取材の記者がレポートする。

CL第4節でハットトリックを決めたリバプールのルイス・ディアスphoto by Getty Images

CL第4節でハットトリックを決めたリバプールのルイス・ディアスphoto by Getty Images





【シャビ・アロンソも現在のリバプールを讃える】 「(リバプールのファンからどう歓迎されるかについては)あまり考えていない。それよりも、明日の試合にいかに準備するかを考えている。とはいえ、ポジティブに迎えられるといいね」

レバークーゼンのシャビ・アロンソ監督は、敵地でのチャンピオンズリーグ(CL)のリバプール戦の前にそう話した。現役時代にリバプールで活躍した元スペイン代表MFは、"イスタンブールの奇跡"と呼ばれる2005年のCL決勝を主力として制した一員でもある。

そんなレジェンドは昨季、シニアレベルの監督として初のフルシーズンに、レバークーゼンをクラブ史上初のブンデスリーガ優勝に導いた。しかもリーグ史上初の無敗優勝で、さらに国内カップも制し、2冠を達成している。そして今回、古巣の本拠地アンフィールドに、相手チームの指揮官として初めてやって来たのだった。

まさしく凱旋を遂げた現在42歳の指揮官が試合前のウォーミングアップ中にピッチに姿を現わすと、両チームのサポーターは温かい拍手で歓迎した。なかには「愛してるよ!」と叫ぶファンの姿もあった。

昨季のレバークーゼンが全公式戦を通じて51試合無敗のヨーロッパ記録を打ち立てたなら、今季のリバプールはアルネ・スロット新監督の下、CLで3戦全勝。プレミアリーグでは1度だけ敗れているものの、8勝1分1敗の勝ち点25で昨季王者マンチェスター・シティを抑えて首位に立っている。

ユルゲン・クロップ前監督の後任という困難な職務を、ここまで見事に全うしている現在46歳のオランダ人監督は、大らかな語り口で選手のハートを掴み、鋭い戦術眼で戦況を一変させる。

先週末のブライトンとのリーグ戦では、前半に先制されながら、ハーフタイム以降の選手交代とシステム変更で流れを引き寄せ、後半の2分間に逆転。これで、ひとつの引き分けを挟んで全公式戦11連勝としている。シャビ・アロンソ監督が、「リバプールは現在の欧州でベストチームのひとつ」と讃える所以だ。

【選手個々の能力差が如実に現われた】 そしてこの日も、ハーフタイムの修正がモノを言った。一進一退の前半がスコアレスで終わると、スロット監督は選手こそ代えなかったが、選手の動き方を調整。試合後に指揮官はこう語っている。

「前半よりもリスクを取ることに決めた。(ルイス・ディアスを前線中央で先発させたのは)攻撃陣に負傷者が出ていることもあるが、相手のセンターバック、(ヨナタン・)ターはドイツのベストDFで、とくにターゲットマンに強い。だから我々はルチョ(ルイス・ディアスの呼び名)を中央に置きつつ、左から流れたり、中盤に落ちるように指示していた。しかし後半は、相手最終ラインの裏を取る動きを多くするように伝えた」

61分の先制点は、まさにそれが実った形だ。トレント・アレクサンダー=アーノルドがボールを持って顔を上げると、2トップ気味に前に張り出していたカーティス・ジョーンズが中盤に降りてパスを受ける。するとその瞬間に、ディアスが相手DFラインの裏に抜けてスルーパスを引き出し、巧みなループシュートでGKルーカス・フラデツキーの頭上を抜いてネットを揺らした。

畳み掛けるリバプールは週末のブライトン戦と同様に、2分後に追加点を奪取。ディアスが運んで右へパスを出すと、モハメド・サラーがダイレクトでクロスを上げ、ファーポストに飛び込んだコーディー・ガクポがヘディングを叩き込んだ(一旦オフサイドの旗が上がるも、VARでゴールが認められた)。

さらに83分には再びサラーのクロスから、今度はディアスが相手に競り勝って冷静に流し込むと、後半アディショナルタイムには鋭利なカウンターアタックから途中出場のダルウィン・ヌニェスがシュートを放ち、DFにブロックされたこぼれ球をディアスが押し込んだ。ウイングを主戦場としてきたディアスは、中央で先発したことが奏功したのか、リバプールでの約3年間で初のハットトリックを達成している。

接戦も予想された好カードだったが、終わってみれば、4-0の大差で決着。この試合に限って言えば、指揮官の戦術的な手腕に加え、選手個々の能力差が如実に現われたように思えた。

【アタッカーたちがまたひとつレベルを上げて躍動】 確かにリバプールはディオゴ・ジョタとフェデリコ・キエーザを負傷で欠いているが、先週末のブライトン戦ではサラーが得意の形からとてつもない一撃で逆転ゴールを奪い、この日のレバークーゼン戦ではディアスが3度ネットを揺らしている。トップレベルのアタッカーたちが、クロップ監督とは違ったクオリティーを備える新監督の指導の下、またひとつレベルを上げて躍動している印象だ。

個人的には、トレント・アレクサンダー=アーノルドの成長にも感銘を受けた。ブライトン戦で三笘薫を抑えたように、以前のような守備の脆いライトバックではなくなりつつある。またこの日は先制点の起点になっただけでなく、絶妙な位置取りと巧みなスキルでサラーへの繋ぎ役をスムーズにこなしていた。

もうキックだけの選手ではなくなっているが、ここにもスロット監督の影響があり、「監督は完璧主義者で僕にも厳しいが、自分としては大歓迎だ」と本人はオランダのメディアに話している。

日本から長旅の末にリバプールを訪れた者としては、遠藤航の姿を見たかったが、あつらえ向きと思えた展開でも、背番号3が呼ばれることはなかった。

この日、11月5日は英国ではガイ・フォークスの日とされ、1605年に英国議会を焼き払おうとして失敗した男が逮捕された出来事を祝う日だ。昼間からそこら中で花火が上がり、当初はシャビ・アロンソ監督の凱旋を祝っているようにも感じたが、試合後はシンプルにホームチームの大勝を盛大に喜んでいるように聞こえた。

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