優勝争いを繰り広げたが、急失速でCS進出も逃した広島・新井貴浩監督。層の薄さが響いた
今季も予想外の出来事がたくさん起こったプロ野球。中でも特に球界をざわつかせた異変、珍現象、快挙の謎に野球評論家のお股ニキ氏が迫る!(全7回/第2回目)
***
セ・リーグ3位から一気に日本一まで駆け上がったDeNA。それもこれも9月4日まで首位だった広島の大失速があったからこそ。月間20敗はリーグワーストタイ記録だ。
「打線が単打しか望めない分、投手力を武器に打たせて取る野球を徹底。今季躍進したショート矢野雅哉と、ベテランのセカンド菊池涼介が組む二遊間は鉄壁で、もしコロナ禍のような120試合制なら優勝できていました」
では、歴史的大失速はなぜ起きたのか?
「9月になっても酷暑が続きましたが、気温が高いと気圧は下がって空気が薄くなる分、ボールは飛びやすく、各球種の変化は小さくなり、投手は不利になります。
疲れも出たのか、それまで徹底していた『打たせて取る野球』ができず、打ち込まれる場面も増加。ギリギリのところで保っていた勝利へのバランスが崩れてしまいました」
確かに9月の25試合中、ドームでの試合は2試合だけ。ほかはすべて屋外で、マツダスタジアムでの試合が16試合も。地の利どころか、マイナスに作用してしまった。
そして、歴史的混戦が続いた今夏、お股ニキ氏は「今後は各チームの4番が鍵を握る」と『週刊プレイボーイ』本誌で指摘していたが、それがまさに的中し、歴史的大失速を招いた。
「巨人の岡本和真、阪神の大山悠輔、DeNAのオースティンと、上位3球団は終盤で4番がしっかり仕事をしました。対して、広島は最後まで4番を固定できず。期待された末包(すえかね)昇大もケガの影響か、本領を発揮できませんでした。
ドジャースもそうですが、大一番こそ、本塁打が試合結果を左右します。コツコツつなぐ打線は日本人好みでも、安定した得点力には結びつきにくいです」
今年のドラフトで1位で大学屈指の強打者、佐々木 泰(青学大)を指名したのも納得だ。
文/オグマナオト写真/時事通信社
【関連記事】
【プロ野球2024 七不思議「謎解き」ワイド】日本人はソフトバンク・近藤のみ! 「3割打者が史上最少3人」の謎
「ポスト山本由伸」は誰だ? プロ野球2024「沢村賞」展望
両リーグ共に1位と2位が「12勝12敗1分け」で大激戦必至!! プロ野球セ・パCS展望2024 下克上はあるのか!?
ポストシーズンも見逃せない! プロ野球、セ・パ最注目選手はこの4人だ!
ソフトバンク「パ・リーグ史上最速優勝」へ。「2勝1敗」ペース継続で4年ぶりのV奪還を目指す!