第37回東京国際映画祭で11月4日、黒澤明賞を受賞した三宅唱監督とフー・ティエンユー監督が帝国ホテルで行われた受賞式に出席し、喜びの声を寄せた。
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黒澤明賞は、日本が世界に誇る故黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから、映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞。山田洋次監督、奈良橋陽子氏、川本三郎氏、市山尚三東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの4人の選考委員による選考の結果、三宅監督とティエンユー監督が受賞した。
三宅監督は、「ケイコ 目を澄ませて」「夜明けのすべて」が高い評価を受けた。三宅監督は「この賞は、これまで一緒に作品を作ってきたすべてのスタッフ、俳優の素晴らしい仕事の結果としていただけたものだと受け止めています」と語ると「今回の受賞で、いろいろなスタッフからメールをもらったのですが『受賞式には黒澤監督のようにサングラスをかけていけ!』などと上品な人たちばかりなので、僕ひとりで来ました」と発言して会場を沸かせつつ、「今後も一つ一つ丁寧に作品を作っていきたいと思います」と真摯に抱負を述べていた。
選考委員を務めた山田監督は「三宅監督は、すでに大変な評価を得ている方ですが、『ケイコ 目を澄ませて』は素晴らしかった。彼の作品は人間を正確に捉えているなかで、その表現が先輩の映画から学んでいることがまざまざと分かる」と称賛。さらに「特にさりげない実写、例えば電車が走っているところなど、とても良くて、小津安二郎の映画なんです。耳の聞こえない女性のボクサーを描くのに、小津安二郎の手法を使っているように感じました。とても感心しました」と選考理由を述べていた。
また「本日公休」が高い評価を受けたフー監督は、受賞式前に山田監督と記念撮影。「山田監督は私にとってアイドル。憧れの存在なんです」と目を輝かせると「そんな監督とお会いして感動しました。まずは東京国際映画祭と選考委員の方に感謝します。私にとっては大変な栄誉です」としみじみ語る。
さらにフー監督は「いつも山田監督の作品を観るたびに大きなパワーをいただいています。監督が『本日公休』を推してくれたことがありがたいです」と笑顔を見せると「山田監督が日本でお撮りになる『本日公休』を観てみたいです」と照れくさそうに語っていた。
山田監督は「フー監督の『本日公休』は、人間を的確に描き、主人公の女性を取り巻く人間関係を温かく見つめている。しかもその表現は驚くほど斬新であり、この映画を観ながら『どうして日本でもこういう作品が作れないのか』という感想がありました」と最大級の賛辞を送っていた。
フー監督は「いま『本日公休』は日本で公開中です。日本での反響を聞いて確信しました。これからも努力して映画を撮っていきたいと思います」と未来に思いを馳せていた。
第37回東京国際映画祭は11月6日まで開催。
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