11月5日(火) 8:40
タンス預金を自分の財産として相続する行為は、銀行口座に保有している現金を相続するのと変わりません。そのため、子どもへ相続した場合は、受け取った子ども側が受贈者として「贈与税の申告と納付」をする必要があります。
なお、「税務署は、タンス預金の存在を把握できる」といわれています。「KSKシステム(国税総合管理システム)」で納税者情報を管理しており、被相続人と家族の預貯金口座をチェックできるためです。
国税庁が発表した「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」によると、税務署より申告漏れとして指摘を受けた財産の種類は、「現金・預貯金」が全体の31.5%を占めているそうです。
タンス預金を申告せずに相続すると追徴課税が発生し、本来支払うべき税金よりも高額な支払いが要求されます。そのため、タンス預金を相続した場合は、受贈者側が必ず「贈与税の申告と納付」をする必要があるようです。
タンス預金をする主なメリットとして、以下の3つがあげられます。
・銀行が倒産した際にも影響を受けない
・口座凍結時に困らない
・好きなときにお金を使用できる
それぞれの内容について、詳しくみていきましょう。
タンス預金をしている場合、現金の保管先は自宅内のどこかになるでしょう。そのため、万が一、銀行が倒産した場合でも、影響を受けずに済む点がメリットです。
銀行が倒産してしまった場合は「預金保険制度」によって、預金者一人、1金融機関につき1000万円までの元本と、破綻日までの利息などが保護されます。
仮に預金額が1000万円以下であれば問題はないと考えられますが、1000万円以上預金している場合は、超過分を受け取れない可能性があります。1000万円を超える部分は、破綻した金融機関の残余財産の状況によって支払われるためです。
銀行が倒産した場合のリスクを軽減したいのであれば、タンス預金も選択肢の一つになります。
タンス預金は自宅内に現金を保管する方法であるため、銀行口座が凍結されても困ることがないでしょう。
仮に親が亡くなった場合は、銀行がその事実を知ったときに、銀行口座が凍結されます。口座が凍結されると、解除してから預金を引き出すまでの手続きが複雑になる点がデメリットです。
しかし、タンス預金であれば、葬儀や遺品整理などの費用をそこから支払えます。現金が不足する心配を軽減できるのは、タンス預金ならではのメリットといえるでしょう。
タンス預金には、自分のタイミングでお金を使用できるメリットもあります。銀行口座にお金を入れていると、ATMの使用時間や手数料などを気にしなければならないケースもあるでしょう。銀行のATMが営業時間外であるなど、お金を引き出せずに困る場合もあるかもしれません。
手数料も、仮に110円かかるとすれば、10回の引き出しで1100円の出費になってしまいます。手数料などの費用が節約できるのは、タンス預金のメリットです。
タンス預金を相続する場合でも、相続税の支払いが必要です。申告せずに相続しても税務署にばれる可能性が高く、あとから発覚した場合は「追徴課税」が発生するため注意しましょう。
なお、自身の給与などからタンス預金をする行為自体は問題ないとされています。あくまでも税金対策のためにタンス預金をすることが問題とされているため、この部分の判断を誤らないようにしてください。
国税庁 令和4事務年度における相続税の調査等の状況(6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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