塾通いを無理強いしていたかも… 焦りの中、息子とのすれ違いで気付いたこと

塾通いを無理強いしていたかも… 焦りの中、息子とのすれ違いで気付いたこと

塾通いを無理強いしていたかも… 焦りの中、息子とのすれ違いで気付いたこと

11月5日(火) 0:00

子育ては、思いも寄らないことの連続。子どもに向き合う保護者の数だけ、多彩なストーリーがあります。誰かの経験が、別の誰かの背中をそっと押すこともあるかもしれません。

今回は、長男の思うようにいかない塾通いの3年間や、思い切ってやめさせたことによる気付きについての紬起さん(ペンネーム)のエピソードを、ご本人がつづったnoteからご紹介します。

※以下、ご本人承諾のうえ、投稿内容をもとにご紹介いたします。



※写真はイメージです

この記事のポイント

外遊び大好きな長男、小6の春に通塾スタート 「どうして、急に突き放すようになったの?」 塾の時間になると部屋に閉じこもるように 笑顔を取り戻した長男 問題にぶつかってみないと、課題は見えてこない

外遊び大好きな長男、小6の春に通塾スタート

現在中学3年生の紬起さんの長男が塾に通い始めたのは、小学6年生の春でした。
長男はもともと外遊びが大好きで、宿題は後回しにするタイプだったそう。学校の授業中もじっとしてはいるものの、集中力は続きませんでした。

「記憶力や理解力は人並みなのだと思うのですが、集中時間が短い。
でも、その短い時間の割には結構インプットできます。
・・・要はやる気の問題?
そのやる気が入るスイッチが何なのか、母にはまだわかりません」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 遊ぶことの優先順位の高い長男ですが、紬起さんの心配をよそに、塾へ「行きたくない」とは言わなかったんだとか。中学受験をする子が多く、小学3年生から塾通いをする子が少なくない地域だったことも影響していたのかもしれません。

「『おお、俺もついに塾に行くのか』みたいな認識だったようです。
ステータスが一つ増えた、みたいな」

(紬起さんの投稿より *一部編集)

「どうして、急に突き放すようになったの?」

ところが、塾に通い始めて5か月ほどがたった小学6年生の2学期ごろから、長男の通塾へのモチベーションはどんどん下がっていきました。中学の先取り学習が始まったことや、周りに成績優秀な子が多かったことなどがプレッシャーになったのかもしれません。塾だけでなく、学校への行き渋りも始まりました。

一体どうしたのか……と思い悩んでいた紬起さん。ある日、長男から不意にこんな言葉を投げかけられます。

「どうして、急に突き放すようになったの?」

「そうか。
この子は、そんなふうに感じてたんだ」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 母親が自分に構わないようになったと不安や寂しさを感じていたのかもしれない。今振り返ってみると、この時点でもっと何かしらの対応をするべきだったのかもしれないという紬起さん。しかし、当時は不安がいっぱいだったであろう長男にこう伝えることしかできませんでした。

「突き放してるんじゃないよ。もう6年生になって、色々今までよりできるようになったからだよ。中学校に入ったら、小学校の時みたいに手伝ってあげれないから、自分でする練習だよ」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 長男の表情はさえないまま。紬起さんは、塾という新しい環境に1人で通う長男の不安いっぱいの心に気付きつつも、「周りの子は、もっと小さい時から1人で通塾しているんだし、いつまでも親が送迎したり手伝えるわけじゃないから、どこかで手を離さなきゃ」と心を鬼にしていたといいます。

結局、成績は伸びず、生活態度も緩やかに悪化していきました。

塾の時間になると部屋に閉じこもるように



※写真はイメージです

中学生になると、部活中心の生活になった長男。学校・部活のストレスをゲームで発散してどうにか通学するといった状況で、学習に割く余力はありませんでした。塾に行く時間になると、部屋に閉じこもるようになったといいます。



「宿題をやってないし、授業にもついていけない、と。
オンラインの振替授業を受けるから、という条件で塾を休みがちになりました。オンラインでの視聴は、ただ流しているだけでした」

(紬起さんの投稿より *一部編集) オンライン授業をただ流しているだけでは、授業に付いていくことはできない。だから、ますます通うのがおっくうになる。さらに授業についていけなくなるーー。負のループに陥りつつも、月謝はかかり続けます。いら立ちを覚える紬起さんでしたが、「塾をやめさせる」という決断は渋り続けていたんだとか。

「主人は、このままだと意味がないしお金がもったいないからやめればいいと
言いました。
子どもも、やめることに少し不安はあったようですが、異論はありませんでした。

でも、私は、とても不安でした。
このまま塾に行ってても、行ってなくても点数は変わらないだろう。
そうは解っていても、
とにかく不安で仕方なかったんです。
だって、高校受験で学力を問われるのは確定なんですから」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 不安で仕方がないからこそ、安心材料として塾を残しておきたい。そんな思いもあったのかもしれません。

「いつか、この子の勉強をやる気のスイッチが入った時に、すぐに学べる環境を提供しておきたい。

今はできなくても、やり始めれば、できるはず」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 「子どものため」と思いつつ、追い込まれた気持ちから冷静な判断ができていなかったのかもしれません。それが無理強いにつながっていたのかも……。どうにか自分の気持ちに折り合いをつけ、中学2年生の2学期に、塾を退会しました。

笑顔を取り戻した長男

塾をやめたら、1週間もしないうちに長男の心が安定しました。表情も晴れやかになり、笑顔も増えたといいます。

「その顔をみた瞬間、ああ、これはこれでよかったかもしれない、と思いました」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 長男の前向きな変化は、想像以上でした。部活でも結果を残せるようになり、学校へ行くことや、生活全般も前向きに。あれだけ夢中になっていたゲームとの付き合い方まで変わってきたんだとか。



「ゲーム三昧な日々は三年生になるまで続きましたが、自分から、三年生になったから平日はしない、と言いました。
家族と落ち着いて話し合うことも、できるようになりました」

(紬起さんの投稿より *一部編集)

問題にぶつかってみないと、課題は見えてこない

「塾に合う子と、合わない子がいます。長男は、合いませんでした」という紬起さん。長男は、勉強も部活も遊びもすべてをソツなくこなしていけるタイプではないことに薄々気付きながらも「受験の時に困らないように準備させなきゃ」と塾通いをさせることを正当化してしまっていたと振り返ります。



「そんなのできないのに、なんでやれっていうの?

長男は、そんな気持ちだったのかもしれません。
自分のことを分かってくれない、って。

結局、私が自分の不安を解消したくて塾に通わせていたんですよね」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 学歴や結果にとらわれている自分の考え方にも気付いたという紬起さん。「親子ともに高い授業料になった気がしますが……」と前置きしながらも、親子で意見をぶつけたり、子どもの気持ちや現状にとことん向き合ったりすることができたからこそ、塾をやめる決断はまちがっていなかったと実感しています。

「問題にぶつかってみないと、自分の課題は見えてこないということがわかりました」

(紬起さんの投稿より *一部編集) 子育てに「こんなはずじゃなかった」はつきものです。問題の起きない子育ては、ありません。よかれと思っての言動が、子どもを意図せず傷付けてしまうこともあるでしょう。子どものためを思うからこそ、現実をまっすぐ見つめることができないこともあるかもしれません。

でも、問題が起きるからこそ、子どもの考えを知ったり、新たな可能性に気付いたりすることができる。紬起さんのお話からは、改めてそんなことを実感させられます。問題を悲観するだけでなく、視点を変えるきっかけとすることで、子どもへのまなざしが変わっていくのかもしれません。

●ご紹介した記事
「思い切って塾をやめたら、学力以外が伸びた、という話。」
https://note.com/proper_stoat609/n/n30f58fc15122

●元記事の著者プロフィール

紬起

繊細な長男(中3)とマイペースな長女(小6)の母。日々の子育ての中で感じた気づきを、言語聴覚士として療育に携わった経験や心の成長という視点から捉えた記事を投稿中。

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