11月5日(火) 9:41
本格焼酎&泡盛の日である11月1日、『孤独のグルメ』、『食の軍師』、『花のズボラ飯』原作者である久住昌之さんと、実弟でイラストレーターの久住卓也さんから成る兄弟ユニット「Q.B.B.」によるトークイベント「さつま白波 お湯割り」が、下北沢の本屋「B&B」で開催された。
Q.B.B.は2024年2月、昌之さん著、卓也さんイラストで『古本屋台2』を刊行した。古本が中に並べられ、一杯百円で白波のお湯割りが飲める屋台「古本屋台」を舞台に、ひげのサラリーマン、新婚夫婦などのなじみ客に加え、実在する人物などが登場するストーリー。頑固そうだがどこか憎めないオヤジさんと、彼や店を慕ってやってくるさまざまな人たちとのやりとりを描写し、オヤジさんが客にかけるひと言ひと言が感慨深く描かれている。
今回のトークテーマである「さつま白波」は、1970年代に「ロクヨンのお湯割り」、「酔いざめさわやか」のキャッチコピーで、全国的に知られるようになった。本格焼酎のさきがけとして「第一次焼酎ブーム」を牽引し、以降は「芋焼酎=さつま白波」、「お湯割り=さつま白波」とイメージされるように、多くの人たちから愛されてきた。
イベント前半は、2人による共作『古本屋台』の制作秘話が語られた。昌之さんは「きっかけは古本をテーマにした漫画を描くことになったこと。なんとなく古本屋を舞台にしたいと思い、ありえない古本屋にしたかったんです。美学校に通っているときに教えを受けていた、のちに芥川賞を受賞する作家の赤瀬川原平さんが人前で話すことを苦手とし、さつま白波の一升瓶をお湯で割ってちびちび飲みながら話をしていたことから着想を得ました」と語った。
すかさず4歳年下の弟・卓也さんが補足。「兄と同じ美学校に通っていたんですが、校長がやはりさつま白波を飲んでいたんです。今思えば美学校といえばさつま白波というイメージ。そういう思い出もあって作品に登場させました。校長もやはりお湯割りで飲んでいたということ、屋台にはお湯割りが合うなと思ったことから、作品にはお湯割りでさつま白波を登場させています」とエピソードを紹介すると共に制作秘話についてトークを展開した。
後半は、さつま白波を製造する「薩摩酒造」の本坊和久さんを加えてトーク。本坊さんは自身が扱うさつま白波に対して「父も薩摩酒造に勤め、祖父は酒屋を経営していたこともあり、さつま白波は私にとって人生の一部です。地元にいた頃は夜な夜な地元の大人たちが家に集まって全員がお湯割りで飲むという日々を目の当たりにし、芋の乾き物の香りが混じった空間で育ちました。昔から地元で愛されてきたさつま白波が作品に登場し、最初に見たときは感動したことを覚えています」と熱い思いを吐露した。
続いてさつま白波の魅力について、本坊さんは「どの家にも置かれていて、地元の人たち皆が楽しんでくれていることが魅力。ちなみにみなさん夏もお湯割りで飲むため、一年中お湯割りで楽しんでくれています」と話した。すると卓也さんは「さつま白波にはさつま揚げが合います。ちょうど良いんです」とコメントし、昌之さんは「福井県の名産物のジャコ天はとてもよく合いました」とさつま白波と合う食べ物についても語られた。
最後に昌之さんが「さつま白波に抵抗がある人はもう少ないと思いますが、よりおいしい飲み方をぜひ追求してほしいです」と会場の参加者たちにメッセージを送り、イベントは幕を閉じた。会場ではお湯割りのさつま白波も配られ、聞いて味わって、さまざまな角度からさつま白波の魅力を知れるイベントとなった。
<関連リンク>
薩摩酒造ホームページ
https://www.satsuma.co.jp