11月5日(火) 8:00
相続したくない場合は、相続を放棄するという手段があります。相続放棄をすれば、「山をどうしたらよいか」という悩みからは解放されます。
相続を放棄するには、自己のために相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。申述する家庭裁判所は、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地の家庭裁判所です。
ただし、相続放棄をした場合、山以外の相続財産も全て放棄することになります。相続したい財産がある場合は、相続放棄をせず、山を処分する方法を検討したほうがよいかもしれません。
山を処分したい場合、以下の方法が考えられます。
(1)売却する
(2)寄付する
(3)引き取ってもらう
相続した不動産を処分したい場合、売却するのが一般的です。同じように、まずは山を売却できないか検討してみるとよいでしょう。相談するのであれば、地元(山がある地域)の不動産会社か森林組合がよいでしょう。ただし、相続する山が売却できないような山である可能性もあります。その場合は、次の手段を検討しなければなりません。
山を寄付するということも、検討してみましょう。寄付の場合、売却とは違い、無償で譲渡することになりますが、寄付を断られることもあります。実際、国は山林の寄付を受け付けていません(令和6年10月時点)。地方自治体や森林組合にも寄付を受け入れるための条件があります。無条件で寄付を受け入れてくれるわけではない、ということを留意しておく必要があるでしょう。
最後の手段として、山を引き取ってもらうことを検討する必要があるかもしれません。引き取ってもらうということは、所有者側がお金を支払ったうえで山を譲渡するということです。山を引き取るサービスを行っている会社もあるようですが、まず検討したいのは「相続土地国庫帰属制度」です。
この制度は、国が相続土地(今回の場合は山)を引き取るというもので、令和5年4月27日から始まった制度です。この制度にも引き取ることができない土地の要件がありますが、一度相談してみてもよいでしょう。相談は、全国の法務局・地方法務局で受け付けています。
本記事では、「山を相続することになったが、正直、相続したくない。山をどうしたらよいか」について、(1)相続を放棄する(全ての財産について相続しない)、(2)相続をし、山を売却する、(3)相続をし、山を寄付する、(4)相続をし、山を引き取ってもらう、といった4つの選択肢を紹介しました。
相続をする・しないについてはご自身で選択できます。しかし、山を処分する(売却する・寄付する・引き取ってもらう)ことについては、ご自身で選択する余地はあまりないかもしれません。それぞれに、可否の基準・要件があるからです。
それぞれの選択肢について、相談できる団体・機関も本記事では紹介しています。不動産の処分の可否については、個別で判断されることが多いです。相続する山の場合はどのような選択ができるのか、各相談窓口でご相談されてみてはいかがでしょうか。
最高裁判所 相続の放棄の申述
林野庁 よくあるお問い合わせ・ご相談 Q11. 所有している山林を寄付したいのですが
法務省 相続土地国庫帰属制度の概要
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP(R)(日本FP協会認定)宅地建物取引士公認不動産コンサルティングマスター上級心理カウンセラー
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