11月3日、ラ・リーガ第12節、セビージャ対レアル・ソシエダ戦の撮影取材のため、スペイン南部アンダルシア州の都市セビージャを訪れた。
この試合に先発出場したソシエダの久保建英は前半34分、敵陣右サイド深くでパスを受けるとカットイン。ボックス内へ侵入すると、迷わず左足を振り抜いた。目の前には、相手GKを含めて5人の壁が立ち塞がっていたが、強烈なシュートがファーサイドのネットに突き刺さった。GKが一歩も動けないシュートに、熱気渦巻くセビージャの本拠地ラモン・サンチェス・ピスファンが静まり返った。
セビージャ戦で決勝ゴールを決めた久保建英
前半終了間際にも、久保は左アウトサイドのクロスでミケル・オヤルサバルの決定機を演出したが、追加点は生まれなかった。
後半に入ると、ビハインドのホームチームが勢いを取り戻しかけたが、68分に得たペナルティーキックをオヤルサバルがしっかりと決め、追加点を奪った。ソシエダはリードを守りきり、0-2で勝利した。
前節オサスナ戦の久保は、ローテーションの影響で後半開始からのスタートだった。また、10月31日に予定されていた国王杯ホベ・エスパニョール戦が、バレンシア州を襲った豪雨災害(200名を超える死者が出ている)の影響で中止となったなかでの先発出場だった。
試合前には両チームによる黙とうが捧げられ、セビージャのユニホームにはバレンシアへの連帯を示すメッセージが書かれていた。
セビージャ戦に80分まで出場した久保は、決勝点を決めただけでなく、チームの攻撃を牽引する活躍でMVPに選出された。
試合後のインタビューでは、「今日は10点ではないけど8点くらいです。勝利に結びつくゴールを決めたし、失点もなかった」と語っている。
またバレンシアの災害に触れて、「個人的にはビセンテ・モレノ(マジョルカ時代の監督)のことをとても心配しています。彼は、僕がこの舞台にいるためのすべてを与えてくれました」と、故郷が被災した元恩師を慮った。
試合前、黙とうを捧げる久保建英らレアル・ソシエダの選手たち
「バレンシアで苦しんでいる方々のことを思うと心苦しいです。黙とうを捧げましたが、やはりこのような試合は難しいです。両チームともに難しいなかでのゲームでしたが、できる限り、最善を尽くしました」(久保)
暫定ながら10位まで順位を上げたソシエダは、次節、ホームに好調を続ける首位バルセロナを迎える。
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