11月4日(月) 9:00
映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のスピンオフドラマ『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』で製作総指揮を務めるマット・リーヴスのインタビューが到着!
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『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』が誕生するまで
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の脚本を書いていてずいぶん長尺になってきた時、これをHBOの犯罪ドラマにしたらいい作品になるんじゃないかと思いました。その後ワーナー・ブラザースの担当者に会った時に言ったんです。「すでに映画を作っていて、その権利がワーナーにあることを利用したい。HBOスタイルのドラマにすれば長尺でキャラクターを深掘りできる。映画ではできない長さでじっくりとキャラクターと付き合うことができるから、登場人物の心理を深く追求して理解ができる」とね。
そうしたらワーナー側も「実はそういうことがやりたかった」と好感触でね。そうして話が進んだんです。本作については『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を作りながら(製作の)ディラン・クラークとも話していたし、HBOのサラ・オーブリーやケーシー・ブロイズとも、こういう作品が作りたいと相談していました。
本シリーズの物語が出来上がるまで
コミックのストーリーでは大半が、コウモリに扮した正義のヒーローの観点から悪党のキャラクターが描かれます。ゴッサムにおけるバットマンの影響力が悪党たちに行動を起こさせる。だから『THEBATMAN-ザ・バットマン-』の中では、“ペンギン”がこれまで軽んじられ、バカにされてきた人物だったら面白いだろうなと思いました。
彼は尊敬されず、過小評価されて、機会をうかがいながら、カーマイン・ファルコーネがいなくなれば権力を掌握し、暗黒街を支配できると信じています。僕はいつもコリンに『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は物語の始まりにすぎず、ペンギンことオズは次の映画で主要人物になるはずだと話していました。だからHBOのケーシーに「君がやりたいことを次の映画のために温存してほしくない」と言われた時、僕は「それなら1作目の出来事を受けて、次の映画の冒頭で“ペンギン”にやらせようと思っていたことをプレゼンさせてくれ」と応じたんです。
軽視され、過小評価されてきた男のゴッサム版『スカーフェイス』のような暗黒街のアメリカン・ドリームを僕が語り終えた時、ケーシーとサラは「我々が作るドラマはそれだ」と乗り気になってくれました。本シリーズのアイデアはそこから生まれたんです。
そして脚本家としてローレン(・ルフラン)を見つけました。彼女は僕が映画の一部を共有した人の一人です。“過小評価され、バカにされてきた男の根底には激しい憤りと、埋めることのできない穴がある”というのが始まりのアイデアでした。そして“ペンギン”がなぜそうなったのかをローレンが掘り下げていき、(オズの母)フランシスとの関係性や裏話を考え出しました。それを聞いた時、ディランと僕はすぐに気に入りました。最高だと思ったんです。
シリーズの関連性
本シリーズは全て、ある意味ゴッサムがなぜあのように恐ろしい場所なのかについて思いをはせる物語なのだと思います。決して良くなるとは思えない場所というのは人に閉塞感を感じさせますが、同時に引きつけられます。ゴッサムはとてもアメリカ的な街です。本シリーズは暗いアメリカン・ドリームとも言える物語で、その中でなぜ、どのように彼らが傷つくのか、彼らの絶望はどこから来るのか、彼らは何で満たされようとしているのかという本質を掘り下げるんです。人間の心理と街の力関係に目を向け、架空の街であるゴッサムを現実の世界にあるように感じさせます。
本作のオズのような人物がどこから来たのかを解き明かすために、ローレンは彼の背景を追求していきました。僕がバットマンに行動原理を与えようとしたように、ローレンはオズに行動原理を与えて、壮大なアメリカのクライム・ストーリーの一部にしようとしました。そうした試みはこれまでのスーパーヒーローの物語とは一線を画すものだと思います。本シリーズで僕らはよく知られたキャラクターたちを、共感しうる、現実的な存在として定義し、彼らの心理を理解してもらえるように努めたのです。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』と本シリーズのつながり
本シリーズでも『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のDNAを感じ取ってもらえるようにしたかったんです。実際、映画で使用したのと同じカメラレンズを本シリーズでも使ったし、撮影監督と協力してルックブックも作成しました。課題はいくつかありました。映画はシリアルキラーを追う探偵もの的な物語です。
だけど、本シリーズはどちらかというと、1日の多くの時間を犯罪に費やしているキャラクターのドラマであり、その人物はバットマンよりも活動的。僕はかっちりした構図を用いるタイプで、これまで緻密なフレーミングを追求するヒッチコック的なやり方で作品を作ってきました。でもオズのエネルギーはもっとジャズ的なんです。本シリーズの最初の3話の監督を務めたクレイグ・ゾベルは当初、定型どおりの構図で撮影をしようとしていました。でも僕はアルベルト・ファルコーネが死ぬシーンで、手持ちカメラを使い、もっと自由に撮影しようとクレイグに提案したんです。そうすることで美学的にもテーマ的にもオズらしくなると思いました。
僕らは本作独自の視覚言語を追求しました。そうすれば『THE BATMAN-ザ・バットマン-』と対比して刺激し合い、つながりを感じながらも、異なる路線だと感じられる。本作の魅力は、独自のビジュアルスタイルとエネルギーを持ちながらも、映画と同じDNAを持っていると感じられる点だと思います。
コリンの演技
とにかくすばらしかった。まずローレンがオズの願望を捉え、見事に肉付けをしました。オズは深い闇を抱えています。だが常にユーモアも持ち合わせており、特別な空気感があります。ある意味、『ザ・ソプラノズ』のようなHBOの犯罪ドラマを思い出させるんです。コリンは計り知れない実力を持っています。僕はコリンと『ゴッドファーザー』でジョン・カザールが演じたフレドというキャラクターについて話しました。フレドのように“周りからうまくやれないだろうと思われている、少し脆さがある男”のイメージが役作りの参考になりました。
コリンの変身
本シリーズでコリンの変身ぶりを見てもらえば分かるとおり、メイクアップ・デザイナーのマイク・マリーノがすばらしい造形を作り上げました。でもそれをコリンに見せる前に僕はマイクにこう言ったんです。
「この造形は最高だが、心配なことがある。このオズを見て、いかにも特殊メイクをした男だと思われるようなら全てが台無しになる」とね。するとマイクが「僕のやり方なら、これが特殊メイクだなんて絶対に分からない」と言ったんです。そして撮影初日にコリンがメイクをして現場入りした時、誰もそれがコリンだと気づきませんでした。信じられなかったです。
本シリーズでのコリンの演技は脱帽もので、見ていて驚かされてばかりです。コリンは本当に特別な存在だと思います。彼はとても正直で、心の闇にも進んで目を向けることができ、同時に共感力もある。キャラクターがどこまでも深い闇に沈んでいる時でさえ、コリンはそのキャラクターに共感できるんです。だからそのキャラクターが言葉にはできないほどひどいことをしても、別人のようには見えない。
コリンが演じるオズを見ていると、オズがひどいことをしてもそれがオズだと分かるし、オズがひどいことをする理由も理解できる。そして、心の闇がどこから来ているのかが明白に分かるからこそ、オズがとてもパワフルに見えるんです。そう見せられるのは大部分がコリンの力だと思います。本作の視聴者は「コリン・ファレルが出てるんだな」と思い、登場したオズを見て「すごい、これがコリン・ファレルか」と何か魔法のようなものを感じるでしょう。しかし見始めてから5分か10分か経てば、その後はコリンの存在を忘れて、ただオズだけを見ることになります。本当にすごいことです。
ファンに一番見てもらいたいもの
まず、オズの心の奥底を見て、彼を突き動かすものは何か、なぜ権力を欲するのか、権力をつかもうとする執拗な欲望を生み出す心の傷がどこから来るのかを理解してほしいです。それから僕としてはローレンと役者陣が作り上げた、オズを取り巻く魅力的なキャラクターたちが見どころだと思っています。
クリスティンが演じるソフィアは何もかもが予想外です。そしてコリンとディードル・オコンネルが息子と母親役で共演していますが、ディードルの演技は文句なくすばらしい。親子のシーンは特に見応えがあって、彼らの関係性は本作でも見る価値のあるものだと自負しています。大勢の人にぜひ見てほしい。多くの発見があるはずです。
『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』は、 U-NEXTにて独占配信中 。(海外ドラマNAVI)
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